コラム基礎知識

建設業でも使われるVE提案とは?メリットやVA提案との違い、事例など紹介!

VE提案というものを知っていますか?

アメリカ発祥の手法で、近年日本でも取り入れられるようになりました。

VE提案とは何なのか、建設業界でどう使われているのかを知っていきましょう。

 

VEとは?

VE提案とは

VEは「バリューエンジニアリング」の頭文字をとったもので、日本語だと「価値工学」という意味です。

開発・設計・製造・売買の各段階において、機能や品質を落とさずにコストを下げる考え方のことをいいます。

加えて、品質をそのままに価格を上げるための方法を受注者側が提案することを「VE提案」といいます。

 

従来、受注者は発注者の指示に従って製品を造るだけでした。

しかし、VE提案を導入することで、受注者が発注者に対して提案することができるため、より高品質なモノを提供できるようになります。

現在、建設業界ではVE提案が主流になっており、発注者と受注者が対等な立場で関われるようになっています。

 

VAとの違い

VAは、「バリューアナリシス」の頭文字をとったもので、「価値分析」という意味です。

既存の製品の価値を分析し、コストをそのままに機能を上げるか、機能をそのままにコストを下げるかを検討し、製品の価値を高めようとする考え方です。

 

VEとの違いは、既存製品か新製品かという点にあります。

VEは新製品に対しての考え方で、VAは既存製品に対する考え方です。

 

CD(コストダウン)との違い

CD(コストダウン)もVEと似た言葉として挙げられます。

CDは、機能・品質を下げてコストも下げるという考え方です。

VEは機能・品質を維持または向上させつつコストを下げるという考え方なので、CDとは異なります。

 

VE提案のメリット

VE提案 メリット

VE提案のメリットはどんなところにあるのでしょうか。

 

コスト削減できる

やはり、一番はコスト削減ができるという点です。

CDのようにコストを下げることに重点を置いているのではなく、機能や品質もそのまま(または向上)させる考え方なので、製品のレベルを上げることができます。

低コスト高品質ということで、顧客満足度もアップできます。

 

将来のトラブル回避につながる

品質とコストの両面から製品を見直していくので、製品ができる過程の問題なども発見できます。

今後起きる可能性のある問題を解決できれば、将来的なトラブル回避につながります。

 

発注者と受注者が対等になれる

上記でも少し触れましたが、VE提案では受注者が発注者に対して提案するものなので、発注者と受注者が対尾な立場で発言できます。

お互いのアイデアを反映させることでより良い製品を生み出すことができるので、結果的に顧客満足度の向上につながります。

 

 

このように、VE提案は製品の品質と顧客満足度を向上させられる、導入のメリットが大きい考え方なのです。

一方で、VE提案を導入するにあたって注意する点もいくつかあります。

次は注意点を見ていきましょう。

 

VE提案の注意点

VE提案 注意点

初期段階で導入する

建設業では、基本設計が完了する段階でコストの確定度は80%です。

実施設計以降でのコスト変更は難しくなるので、できるだけ早い段階でVE提案を導入しないと提案が反映できなくなります。

早い段階であれば変更も通りやすく、発注者も受注者も焦らなくて済みます。

 

現場の声を反映させる

VE提案では、現場の声を参考にすることで効果のあるコスト削減ができます。

どの部分で生産性が悪いのか、どこを品質向上できるのかは現場の人間が一番よくわかっています。

現場の意見を参考にし、実現可能なVE提案を行いましょう。

 

ランニングコストの把握も忘れない

工事費など金額が大きな部分を削るのもいいですが、ランニングコストにも注目することで、より効率よくコスト削減できる可能性があります。

ランニングコストを削ることで、長期的に大きな金額を削ることにつながります。

ぜひ細かな費用にも注目してください。

 

建築におけるVE提案のタイミング

VE提案 タイミング

国土交通省が推奨している提案タイミングは3つあります。

  • 設計時
  • 入札時
  • 契約後

 

設計EV

設計段階で機能や品質の検討・分析を行い、コストが下げられる部分があるか確認します。

設計段階で発注者の希望金額をオーバーしている場合は、ここでコスト削減をする必要があります。

設計段階が一番コスト削減しやすいので、ここでできるだけ不要な費用を削りましょう。

 

入札時VE

発注者が受注先を決める時に利用されるVE提案のことを言います。

 

技術的に工夫の余地が大きい工事に対して、どのような工夫をすればコストを下げつつ品質を上げられるかといったVE提案内容を募集します。

集まった提案内容を審査し、入札参加通知の時に併せて提案内容の採否が通知されます。

採用だった場合、施工業者はその提案内容に基づいて積算を行い、不採用だった場合は発注者が事前に用意した標準案に基づいて積算を行い、それぞれ入札に臨みます。

 

受注先を決める際、価格競争に基づいて入札を行う場合と、提案内容に採点をつけて入札を行う場合があります。

 

契約後VE

工事の契約後に、受注者からコスト削減が可能な提案を受け付ける方式。

提案が採用された場合、設計図を変更するとともに契約金額の減額を行います。

加えて、インセンティブとして縮減額の一部に相当する金額を、受注者に支払う必要があります。

 

VE提案の成功事例3選

VE提案を導入したことで、品質向上・コスト削減につながった事例はいくつもあります。

ここでは3つほど事例を紹介したいと思います。

ぜひ参考にしてください。

 

東京都大田区の施設の事例

東京都大田区に、公共施設と民間施設が融合した新しい地域密着型の建設が計画されました。

しかし、搬入口が一カ所しかないという敷地条件と屋上工事の工程が厳しいという点から、走行式クレーンによる取付工事は時間がかかり、工期内に終了しないという課題が発生しました。

 

そこで、移動式クレーンを直接屋上に載せ、資材の横移動は重量物運搬車を使用することにしました。

クレーンの大きさを検討し、クレーンが設置できるよう建物を補強するなどの工夫も行いました。

 

その結果、

  • 固定式クレーンに比べて揚重機械費60%削減
  • 工期が1カ月程度短縮
  • 固定式クレーンを使用しなかったことで仮設電気容量が減り、CO2削減や節電ができた

このような改善につながったようです。

 

東京都大田区の体育館改修工事の事例

1965年に建設された大田区体育館が老朽化したため、改修工事をすることになりました。

課題として、地下表面形状は長辺が約105m、短辺が約85mであり、当初計画していた集中切梁では使用鋼材が多く、莫大なコストがかかってしまうという点があります。

コストだけでなく、工期的にも間に合うのか問題がありました。

 

改善案として、

当初は集中切梁工法を採用する予定でしたが、集中切梁工法・地盤アンカー工法・アイランド工法を比較検討し、一番コストを抑えて工期に収まる工法に変更することにしたようです。

建物構造全体の安全性の検証なども行った結果、アイランド方式を採用しました。

 

その結果、

  • 集中切梁工法に比べて約3カ月の工期短縮
  • 地下構造体からの漏水リスクを大幅低減
  • 切梁材の運搬・架設・解体で排出されるCO2を大幅削減

このような改善につながったようです。

 

東京都豊島区の超高層マンションの事例

地下2階、地上52階建ての超高層マンションを建設が計画されました。

鉄骨構真柱では、支える躯体重量増により鉄骨部材が大きくなり、上載荷重に限度がありました。

加えて、柱内に仮設鉄骨が必要になるためそこでコストが増える上にパネルゾーン納まりが複雑になるといった課題がありました。

 

そこで、超高強度PCa構真柱を採用して地上工程への影響を少なくし、仮設鉄骨やパネルゾーンのデメリットを改善しました。

 

その結果、

  • 鉄骨構真柱に比べて8%のコストダウン
  • 鉄骨構真柱に比べて工期を1~1.5カ月短縮
  • 現場労務や高所作業が減って安全性向上
  • 型枠組立やコンクリート打設が減り、騒音が減少

このような改善につながったようです。

 

 

上記はVE提案事例の一部ですが、VE提案を導入することでコスト削減や工期短縮につながる場合が多いのです。

建設現場の環境をよくするためにも、ぜひVE提案を導入してください!

すでに導入している場合は、正常に機能しているか再度確認してみてください。

 

まとめ

VE提案は、発注者や施工業者、どちらにも大きなメリットがある考え方です。

 

品質を下げずにコストを下げるということは、製品の魅力が上がることになるので購入者にも大きなメリットがあります。

VE提案を導入することで、高品質な新製品を造り続けられるため、どんどん価値が上がっていきます。

 

将来的に考えても、VE提案による高品質低コスト製品は重宝されること間違いなしです。

VE提案をうまく活用して、よりよい製品を生み出していきましょう!

 

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