基礎知識建築業 職種

玉掛けとはどんな仕事?資格はいる?その魅力や年収など紹介します。

建設現場の仕事には、「玉掛け」という仕事があります。

あまり聞きなれない仕事だと思うので、紹介していこうと思います。

玉掛けとはどんな仕事なのか、資格や年収など、これからなりたい仕事を探している人はぜひ参考にしてください。

 

玉掛けとは?

玉掛け とは

玉掛けとは、重い荷物をクレーンで持ち上げる際に、フックに吊り荷をかけたり外したりする作業のことをいいます。

 

玉掛けと呼ばれるようになった由来に明確なものは存在しません。

一番有力な説としては、掛け軸をかける際に宝石(=玉)を使用したことから、クレーンのフックに吊り荷をかける作業が似ているものとして「玉掛け」と言われるようになったというものです。

 

クレーンオペレーターとの違い

玉掛け クレーンオペレーター 違い

クレーンオペレーターは、クレーンを操縦する人のことです。

玉掛け作業員はクレーンに荷物をかける仕事なので、仕事内容が全く異なります。

 

しかし、クレーンで荷物を運ぶには玉掛け作業者が必要不可欠であり、玉掛け作業者はクレーン作業がないと仕事がなくなってしまいます。

そのため、クレーンと玉掛けは切っても切れない関係なのです。

 

玉掛け作業者が活躍する現場

玉掛け作業者が活躍する場所は、クレーン作業が必要な現場です。

  • 倉庫
  • 工場
  • 工事現場
  • 解体現場

など、重い資材や荷物を上げ下ろしする現場で活躍します。

 

玉掛け作業者の作業内容

玉掛け 作業内容 流れ

玉掛け作業者の作業の流れを知っていきましょう。

 

➀吊り荷にロープやチェーンをかける

まずは、クレーンで運ぶ吊り荷にロープやチェーンをかけます。

ただかけるのではなく、荷物が落下したりロープが切れたりしないよう、重心や荷重を計算し、適切な掛け方はどれかを選択します。

 

➁クレーンを呼ぶ

吊り荷がある場所にクレーンを呼び、クレーンのフックが吊り荷の重心の真上に来るように調整します。

その際、大きな声でクレーンオペレーターに聞こえるように指示する必要があります。

同時に、周囲に障害物はないかなども確認する必要があります

 

③フックに吊り荷を引っかける

フックから外れないように吊り荷をかけ、重心が偏らないように調整しながら固定します。

その後、ロープにねじれやゆるみがないかを確認します。

 

④クレーンに合図を出す

安全が確認できたら、クレーンに荷物を持ち上げるよう指示を出します。

30mほどゆっくりともち上げてもらい、傾きやロープの状態を確認して問題がなければ書き上げの合図を出します。

 

⑤クレーンの誘導

荷下ろし場所にクレーンを誘導し、巻き下げ指示を出して吊り荷が地面に着く直前で一時停止させます。

そのまま吊り荷の位置を調整し、問題なければ吊り荷を地面につけるよう指示を出します。

一度ワイヤーが張った状態で一時停止し、周囲の安全を確認したから巻き下げ指示を出します。

 

⑥荷外し作業

ワイヤーが停止し、吊り荷が安定しているのを確認してからワイヤーを外しやすい高さまで巻き下げ、玉掛け用具を外します。

 

⑦片付け

玉掛けワイヤーロープに異常がないか確認し、元の位置に片付けます。

 

 

このように、玉掛けはフックに吊り荷を掛けるだけでなくクレーンへの指示だしと荷外しなども行います。
大きなプロジェクトであればあるほど、玉掛け作業者の仕事量は増えていきます。

 

玉掛けには資格が必要!

玉掛け 資格

玉掛け作業者になるためには、必要な講習を受講して資格を取得する必要があります。

講習には種類があり、吊り下げ荷重が1t未満の場合は「玉掛け特別講習」吊り下げ荷重が1t以上の場合は「玉掛け技能講習」の受講が必要です。

 

玉掛け特別講習(荷重1t未満)

吊り下げ荷重が1t未満の場合は、資格取得は必須ではありません。

しかし、現場の安全面を考慮して、講習の受講が推奨されています。

 

【受験資格】

満18歳以上

 

【講習内容】

学科講習

講習項目 講習時間
クレーンに関する知識 1時間
玉掛けに必要な力学に関する知識 1時間
玉掛けの方法 2時間
関係法令 1時間

 

実技講習

講習項目 講習時間
クレーン等の玉掛け 3時間
クレーン等の運転のための合図 1時間

 

【受講料】

東京技能講習協会の場合、17000円(テキスト代込、税込)

 

玉掛け技能講習(荷重1t以上)

吊り下げ荷重が1t以上の場合は、玉掛け技能講習を受講して修了試験を受ける必要があります。

また、技能講習には「Aコース」と「Bコース」があり、すでに該当する免許を持っているかどうかでコースが分けられます。

Aコースの場合は資格が不要ですが、Bコースは該当する資格を持っている必要があります。

 

【受験資格】

満18歳以上

 

Bコースの場合、「次のいずれかの資格を持っている」または「技能講習を修了している」必要があります。

  • 移動式クレーン運転士免許
  • クレーン・デリック運転士免許
  • 揚荷装置運転士免許
  • 床上操作式クレーン運転技能講習修了者
  • 小型移動式クレーン運転技能講習修了者

 

【講習内容】

学科講習

講習項目 講習時間
Aコース Bコース
クレーンに関する知識 1時間 1時間
クレーン等の玉掛けの方法 7時間 7時間
玉掛けに必要な力学に関する知識 3時間 免除
関係法令 1時間 1時間

 

実技講習

講習項目 講習時間
Aコース Bコース
クレーン等の玉掛けの作業 6時間 6時間
クレーン等の運転のための合図 1時間 免除

 

Aコースの場合、学科講習が12時間、実技講習が7時間の計19時間です。

Bコースの場合、学科講習が9時間、実技講習が6時間の計15時間です。

このように、資格や修了過程があることで一部講習を免除できるようになっているのです。

なお、どちらのコースも学科修了試験と実技修了試験があります。

 

【受講料】

東京技能講習協会の場合、

  • Aコース:23500円(テキスト代込、税込)
  • Bコース:21500円(テキスト代込、税込)

 

技能講習の試験の合格率は90%以上と、国家資格の中では比較的取得しやすいです。
そのため、しっかり講習を受けて試験前に勉強をしていれば、苦労することなく資格取得できるでしょう。

 

玉掛け作業者の仕事の魅力

玉掛けの魅力はどんなところにあるのでしょうか。見ていきましょう。

 

責任感を持って働ける

玉掛けは複数人で行うことが多いようですが、バランスを考えてフックに掛けないと吊り荷が落下する恐れがあります。

 

安全性が非常に重要な仕事であるため、常に責任感をもって働くことができます。

「自分が現場の安全面を支えている」とやりがいを感じることができるでしょう。

 

幅広い現場で使えるスキルが身につく

玉掛けは多くの現場で必要不可欠な作業のため、資格を持っていることで幅広い建設現場や倉庫、工場で重宝します。

そのため、求人も多く転職しやすいです。

 

安定的に稼げる

様々な現場で活躍できるので、求人に困らず安定的に収入を得られます。

また、玉掛けは経験と専門的な知識が必要なので、勤務年数が増えるごとに年収も順調に増えていくでしょう。

 

玉掛け作業者の年収はいくら?

では、玉掛け作業者の年収はいくらくらいなのでしょうか。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、賞与を含む玉掛け作業者の平均年収は、約433万円だそうです。

令和4年の日本の平均年収は458万円なので、平均より少し低いです。

 

しかし、知識を増やし経験を積んでいけば順調に年収を上げていけるでしょう。

なお、もっと効率よく給料を上げたい場合は、クレーン操縦士の資格も取得することをおすすめします。

仕事の幅も広がり年収も上がりやすくなるでしょう。

 

こんな人が向いている!

玉掛け 向いている 人

玉掛けにはどんな人が向いているのでしょうか。

向いている人の特徴をみていきましょう。

 

責任感がある

玉掛けは、上記でも説明したように安全性が第一仕事です。

もし吊り荷をフックに掛ける計算が間違っていたり、バランスの確認を怠ったりしたら、事故につながる恐れがあります。

玉掛けの重要性を理解し、責任感を持って働ける人に向いています。

 

チームワークがとれる

玉掛けでは、クレーンオペレーターとのチームワークも重要です。

クレーンオペレーターに正確な指示を出し、状況を見ながら気配りをする能力がある人が向いています。

人とコミュニケーションをとるのが苦手、一人で黙々と作業をしたいという人には向いていないでしょう。

 

慎重な作業が好き

玉掛けは、吊り荷をバランスよく引っかけるために細かな計算や調整を行います。

作業中も常に調整や確認を行うため、慎重な作業が好きな人に向いています。

慎重さに自信がある人は、ぜひ玉掛けを目指してみてください。

 

視野が広い

玉掛けでは、何がきっかけで事故や吊り荷の落下につながるか分かりません。

そのため、吊り荷やロープ、チェーンの状態はもちろん、周囲の障害物などにも意識を向けてく必要があります。

 

視野が広く、目の前のことだけでなくその周りにも注意を向けて冷静に判断できる人が向いています。

逆に、一つのことに集中しすぎて周りが見えなくなってしまう人は、玉掛けをするのは厳しいかもしれません。

 

玉掛け作業者の就職先とキャリアパス

玉掛けの就職先は、建設会社・製造業(工場)・産業機械メーカーなど、クレーンで物を運ぶ作業が発生する業界がメインになります。

 

玉掛けのキャリアパスで特筆するものはありませんが、クレーン操縦士など資格を増やしていくことで、もっと幅広い業務に携わることができます。

玉掛けから施工管理になることも夢ではないでしょう。

 

まとめ

玉掛けは、一見するとそこまで難しい仕事には見えないかもしれません。

しかし、綿密な計算や調整、クレーンオペレーターとのコミュニケーションなど、とても重要で難しい仕事なのです。

 

資格を取得して知識と経験を身に付けていくことで、多くの現場で重宝される人材となれるでしょう。

施策取得が難しくないので、玉掛けから初めてそこからキャリアを積んでいきましょう!

 

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