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現場で必須の安全衛生管理目標とは?目標を立てて安全性を確保しよう

建設業では、高所作業や機械を使った業務が多いので事故発生リスクが高いです。

現場での事故発生リスクを低減するために、作業員全員が同じ目標をもって働く必要があります。

 

そこで設定しておくべきものが「安全衛生管理目標」です。

今回は、安全衛生管理目標の例や設定方法を紹介していきます。

 

安全衛生管理目標とは

安全衛生管理目標 とは

安全衛生管理目標とは、労働安全衛生方針に基づいて具体的に立てられる目標のことであり、業務中に事故が起こらないように予め考えておく指標ことを言います。

 

安全衛生管理目標は、漠然としていては意識するのが難しいため、可能な限り具体的に数値化して定める必要があります。

 

なお、安全衛生管理目標のベースになっている労働安全衛生方針とは、安全衛生に関する国際規格であるISO45001の認証に必要な「労働安全衛生マネジメントシステム」の方向性を決める指針のことです。

 

ISO45001とは

ISO45001とは、国際標準化機構(ISO)が発行する「労働安全衛生マネジメントシステム」の国際規格のことです。

 

働く人の労働に関係する負傷・疾病の防止、労働安全衛生パフォーマンスの向上、安全で健康的な職場を提供することを狙いとし、職場環境をよくするために必要な事柄を定めた規格になります。

業種業態問わず、あらゆる組織が認証を取得することができます。

 

安全衛生管理目標の例

安全衛生管理目標の例を紹介していきますのでぜひ目標を立てる際の参考にしてください。

 

  • ○○作業における事故を0件にする
  • 事故防止ポスターの掲示率を100%にする
  • 足場組立において、作業開始前の点検を100%行う
  • 休業4日以上の労働災害0件
  • 定期健康診断の受診率100%
  • 監督職員及び主任監督員による現場点検を月1回は必ず行う
  • 墜落・転落災害10%以下

このように、具体的な数値を示して目標を決めるようにしましょう。

 

目標達成のために必要な安全衛生管理計画書とは

安全衛生管理計画書とは安全書類の一つで、工事を安全に進行するための行動や計画を示した書類のことです。

現場ごとに作成され、現場に関わる作業員の共通認識・安全管理の水準となるため、念入りに作成する必要があります。

 

なぜ重要なの?

安全衛生管理計画書は、現場の安全管理の基準となります。

その現場での危険性を把握し、安全目標を達成するためいつまでにどう行動すればいいかなどを記載するので、現場の作業員はそれを見て現場の危険性、安全に作業する方法を認識します。

 

計画書に危険場所の記載漏れや安全性に関する伝達漏れがあると、重大な事故に繋がりかねません。

作業員が安心安全な状態で作業を行うためにも、安全衛生管理計画は入念に立てる必要があるのです。

 

保存必須!安全衛生管理目標の設定方法

安全衛生管理目標 設定方法

では、安全衛生管理目標の設定方法を紹介していきます。

今後目標を決める際にも参考になるので、ぜひ保存してくださいね。

 

危険な場所、有害箇所を把握する

目標を決めるためには、まず危険性がある場所や有害箇所を把握する必要があります。

 

現場で行う作業を洗い出した上で、発生する可能性のあるリスクを作業ごとに分類していきます。

「転落・墜落の危険」「荷物が崩落する危険」「はさまれ・巻き込まれの危険」「感電の危険」など、発生リスクのある危険は場所や作業内容によって異なります。

 

なお、設備や職場環境の変化があった際は、危険個所・有害箇所の把握を繰り返し行うことが大切です。

 

リスクを被る人を特定する

次に、どんな人がそのリスクに巻き込まれる恐れがあるのかを特定しましょう。

作業員・事務員・管理者・運搬者・体が不自由な人など、特に注意しなければいけない人を知ることで、リスク回避のための行動・目標も変わってきます。

 

リスクがどのくらいなのかレベルを評価する

洗い出した危険個所・有害箇所のリスクレベルを見積もり、それぞれのリスクレベルが許容範囲内か許容範囲外かを判断します。

 

見積もり前に、「被害の大きさ」「発生率」「身近に存在する危険か」などリスクの定義をしておきましょう。

そうすることで、レベル分けがしやすくなります。

危険個所に合わせてレベル分けを行い、許容範囲レベル以上の危険性がある箇所を洗い出していきます。

 

リスクを下げる方法を考える

許容範囲レベル以上の危険があるものに関して、リスク低減措置を行います。

 

  • 危険な作業の廃止
  • 危険性・有害性の高い材料の使用停止
  • 安全装置の設置
  • 設備の改善
  • マニュアルの整備
  • 施工方法の見直し

など、危険性に対して効果のある低減措置対策を考えます。

 

安全衛生管理目標を立てる

対策内容が決まったら、それに応じた管理目標を立てます。

目標が決まったら、それを達成するための計画を目標ごとに考えていきましょう。

 

低減措置を実施したら、効果検証を行うために再度危険性の調査を行ってください。

その低減措置により危険性が許容範囲内に収まるようになれば、その低減措置を現状維持で行っていきましょう。

 

安全衛生管理目標を社内に周知する

安全衛生管理目標が決まったら、社内や作業員に周知してください。

危険のある個所や安全目標は、全員で共有して理解しておかなければ回避することはできません。

みんなで共通認識を持って気をつけることで、目標達成できるのです。

 

目標達成に重要な実施項目とは?

安全衛生管理目標 実施目標

安全衛生管理目標を達成するために重要となる実施項目というものが存在します。

それぞれの項目見ていきましょう。

 

作業マニュアルの更新

作業マニュアルに品質保持のポイントや安全上のポイントを記載しましょう。

そうすることで新しい従業員の教育で役に立ちますし、作業や情報の属人化を防ぐことができます。

 

マニュアルは定期的に見直して更新を行いましょう。

常に最新の状態で共有することができるので、安全衛生管理目標達成の近道にもなります。

 

チョコ停・ヒヤリハットの報告推進

チョコ停とは「ちょこっと停止」の略で、製造現場において何かの不具合により機械が短時間停止することです。

短時間のトラブルではありますが、機械に異常が起きているというサインでもあり、放置すると重大なトラブルに発展しかねません。

 

一方ヒヤリハットとは、重大な事故や災害に発展する一歩手前の出来事を体験・発見することをいいます。

チョコ停よりも重大なトラブルに繋がるリスクが高い状態です。

 

チョコ停・ヒヤリハットがあれば積極的に報告ことで、重大なトラブルを回避することに繋がります。

 

異常時の措置基準の制定・見直し

万が一トラブルや災害が発生した際に、どのような行動をとればいいのかを決めておきましょう。

トラブル発生時は誰でもパニックになってしまう恐れがあります。

そんな中でも、発生時の行動を決めておけば冷静に対応することができるでしょう。

 

トラブル時のマニュアルを作成し、定期的に内容を見直して環境に合った措置基準を更新していってください。

また、トラブル時マニュアル通りに動けるとは限らないので、定期訓練を行うことも重要です。

 

職場パトロールの実施

頻繁に職場パトロールを行うことで、事故の発生を防ぐことができます。

特に危険性の高い箇所(狭い・暗い・荷物が多く積んであるなど)を把握し、念入りにパトロールを行うことで事故が起こりにくい現場作りができます。

 

また、新たに発見した危険個所があれば逐一報告することで、危険個所になり得る場所を把握していくことができます。

 

明確な目標を立ててリスクを減らそう

現場作業の危険を回避するために、安全衛生管理目標を立てるのは従業員の為にも重要なことです。

危険度にあった目標を立て、安全な現場を作っていきましょう。

 

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