建設業は工期が決められており、それに間に合うように作業を進める必要があります。
そこで重要になってくるのが工程管理です。
工程管理は建設業において欠かせないものなので、ここで確認していきましょう。
工程管理とは
工程管理とは、工期までに作業を終わらせるために計画の立案や作業工程を調整・管理することを言います。
工事を効率的にトラブルなく進めるために必要な作業なのです。
生産管理との違いは?
生産管理は、製品製造や製品の企画、品質管理、売上管理など、生産活動全般に関わる活動です。
一方工程管理は納期内での生産工程に関わる活動です。
つまり、生産管理の方が関わる範囲が広く、工程管理は生産管理の一部と言えるでしょう。
工程管理を行う目的
工程管理はなぜ行わなければいけないのでしょうか。
それにはいくつか理由があります。
生産効率を上げるため
作業を始める前に、工期内にどういう風に進めていくかのスケジュールを立てることで、その後の作業をスムーズに進めることができます。
スケジュールを決めて従業員全員に伝えることで、無駄な作業が減り作業員同士も連携が取りやすくなるため作業の効率化に繋がります。
また、在庫のコントロールをすることで、コスト削減にも繋がります。
納期を確実に守るため
納期を守ることは施主の信頼に繋がるため、とても重要なミッションです。
工程管理を行うことで、工期から逆算して作業の計画を立てることができるため、慌てることなく工期に合わせて作業を行うことができます。
余裕も持った計画を立てることで、何かトラブルが起きた場合も慌てることなく対応が可能です。
安定した品質を提供するため
工程管理をしっかり行っていれば、作業の流れを把握し、人員の配置を適切に行うことができます。
作業内容に合わせて人員の配置ができるため、人員の偏りがなく、建物の品質も高くなります。
無理な人数で作業することがないため、従業員満足度も向上するでしょう。
工程管理の手順
「うちの工程管理は適切かな?」と不安に思っている方もいると思います。
工程管理の手順をご紹介するので、今一度見直してみてください。
抜け漏れがあったらぜひ工程管理の修正をしてくださいね!
ステップ1.計画を立てる(Plan)
まずは、作業計画を立てましょう。
工期内に作業を終わらせるために誰がどんな作業をいつ行うのか、どんな資材がいつまでにいくつ必要なのか。
いつまでにどの作業を終わらせる必要があるのかなど、
- 作業内容と作業時間
- 必要な材料
- 必要な人材
- 天候などのトラブルの可能性
これらを加味して作業スケジュールを作成しましょう。
過去の工事の進捗状況を参考にするのも、現実的な計画立案に役立つでしょう。
ステップ2.計画を実行する(Do)
計画した内容を従業員に周知し、実行します。
現場で指示を出したり、資材や機材の手配を行ってください。
必ず計画通りにいくことはないので、計画を実行する中で不便なことや分かりにくい部分など課題を見つけ、書き留めておきましょう。
ステップ3.計画通りできたか振り返る(Check)
進捗状況を把握し、計画内容と実際の工程にズレがないか確認してください。
工事に関わった従業員にも意見を聞き、今回の計画の課題を明確にしましょう。
ステップ4.改善策を考え、再度実行する(Action)
洗い出した課題を解決するための改善策を考えましょう。
例えば、遅れた工程があれば遅れてしまった理由を見つけ、遅れないためにはどうしたらいいのか話し合いましょう。
工程表の見直しを行い、次は同じトラブルが起こらないように計画内容を練り直してください。

工程管理は、PDCAを回していくことで実行内容をブラッシュアップしていくのが効果的です。
自社でもPDCAをうまく回して内容を更新できているか今一度確認してみてください!
工程管理を行う際の注意点
工程管理で注意することを知っておけば、適切な工程管理を行うことにも繋がる上に、今までの工程管理を見直すきっかけにもなります。
ここで注意すべきことを知っていきましょう。
トラブル発生時も考慮して計画を立てる
建築工事ではトラブルがつきものです。
必ず計画通りにいくとは限らないため、トラブルが発生してもパニックに陥らないように、トラブル発生時の対応方法も計画書に記しておきましょう。
・トラブル発生時、どんな行動をとればいいか
・各工程の作業員はどのようにすればいいか
トラブル発生でスケジュールがおすことを考えて、ゆとりを持ったスケジュールを立てることがおすすめです。
状況に応じて計画内容を変更する
トラブルなく計画通りに工事を進めていった場合でも、ある工程で予想以上に時間がかかる場合もあるでしょう。
そのような場合は、その工程を行う人員を増やしたり、使う建機を増やして効率アップを図るなど、臨機応変に対応しましょう。
当初の計画に固執すると、工期が遅れて施主に迷惑をかけるだけでなく、従業員満足度も下がってしまいます。
臨機応変に対応できるように、やはり余裕をもった計画を立ててください。
関係のある従業員と情報を共有する
計画内容や変更内容は、対象工事に関わっている従業員全員に逐一共有するようにしましょう。
現場で働いている作業員にも計画を話すことで、作業員一人一人がその計画に合わせようと意識して動いてくれます。
そうすることで、計画通りに工程を進めやすくなるのです。
また、問題が発生しスケジュールを変更したり行動を変える場合も、各工程についている従業員全員にすぐ共有してください。
トラブル時は特に、工事に関わる従業員全員の協力が不可欠になります。
みんなで協力して動くことで、スケジュールに間に合わせることができる可能性も高いのです。
入力の手間による従業員負担が増えないようにする
工程管理を適切に行うためには、実績情報が必要になります。
実績情報があることで進捗状況が把握できたり、作業時間の把握ができます。
しかし、実績を逐一入力するのは正直面倒くさいと思う人が多いと思います。
実績入力に手間を感じると、入力が雑になったり入力しなくなる可能性が極めて高いです。
作業員の入力作業の手間を極力減らすためには、入力作業を効率化できる工程管理ソフトを使うのが一番です。
おすすめの工程管理ソフト3選
ここでは、工程管理をもっと効率化するおすすめの工程管理ソフトを3つご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
工程’s
工事現場の工程管理を効率的に行うためのソフトで、製造業や建設業界からの導入実績が高いものになっています。
現在約2000社の導入実績があり、今後もどんどん導入社数が増えていくでしょう。
マウス操作で簡単に工程の作成・更新ができ、手書きと同じような感覚で操作することができます。
マルチビュー機能では、協力業者別・社員別などそれぞれの視点から工程表を作成できるため、矛盾のないものを作ることができます。
工程’sでは、要約工程の作成もでき、工程開始日と工程終了日を元に自動で期間が更新されるため、自分たちで修正しなくても進捗状況を管理しやすくなります。
また、利用者への「運用・保守サポート」「PMO支援サービス」「教育・製品トレーニング」「コンサルティング」等を通じて、利用者の声を新製品に反映しているようです。
利用者の声をしっかり聴いて改良を続けてくれるという点も素晴らしいですね。
価格
正確な価格は問い合わせが必要なようです。
しかし、「ここからアプリ」というサイトによると
初期導入コスト:740,000円
ランニングコスト:111,000円
のようです。
参考程度に知っておいてください。
https://www.webi.co.jp/management/product/kouteizu/
Seiryu(セイリュウ)
中小企業向けに開発された生産工程管理ソフトです。
管理画面はシンプルでありながら色付きで登録できます。
生産管理システムなど既存のシステムと連携できるので、過去データを入力する手間なくすぐに活用できます。
一括で全ての工程を調整しつつ計画を立てられるため、一つ一つ調整する手間が削減できます。
また、生産計画を立てる際の判断基準をSeiryuに登録しておけば、経験の浅い若手でも生産計画を立てることが容易になり、若手育成もしやすくなります。
低価格で提供されているので、工程管理ソフト初心者でも導入しやすい点も好感を持てます。
価格
250万円~
詳しくは問い合わせが必要です。
Lychee Redmine(ライチレッドマイン)
ガントチャートを初め、様々な工程管理機能が搭載された日本企業向けのプロジェクト管理ツールです。
導入企業は5000社を突破し、クラウドサービス認定も受けている注目度の高いツールになっています。
管理画面はシンプルで、操作もドラッグ&ドロップが基本なので誰でも簡単に使うことができます。
- 進捗をリアルタイムで確認できる
- メンバーの負荷状況を確認し偏りを調整できる
- 複数のプロジェクトを同時に確認できる
- 日付・時間単位で工数管理ができる
- メンバーのタスク管理ができる
など、適切な工程管理を行う上で必要となる機能が盛りだくさんなのです。
価格
クラウド版であれば、フリープランがあるので無料で基本機能を使うことができます。
※全ての機能を使えるわけではありません
プラン | フリープラン | スタンダード | プレミアム |
価格(月/ユーザー) | 0円 | 800円 | 1200円 |
使える機能 | 基本機能(一部を除く)
タスク管理 カンバン※1 |
基本機能
タスク管理 ガントチャート カンバン ダッシュボード |
スタンダードの機能
工数リソース管理 EVM※2 コスト管理 CCPM※3
|
※1:タスク管理機能
※2:出来高管理機能
※3:バッファ(余裕期間)を見える化し、納期に余裕を持たせる機能
Lychee Redmineは、スタンダードプランとプレミアムプランで30日のお試しを行っているため、気になる方はぜひ申し込んでみてください。

工程管理ソフトは他にもたくさんあります。
Lychee Redmine同様クラウドのものは無料で使えるプランがあるものが多いので、「まずは試してみたい」という方はぜひクラウドで探してみてください。
まとめ
建設業において工程管理が重要であることは分かったと思います。
まずは工程管理の手順を見直してみて、効率化ができていないようなら工程管理ソフトを試してみてください。
建設作業がもっとスムーズに余裕をもって行えるようになることでしょう♪
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