建築業 職種

【海の建物造り】海洋土木(マリコン)とは?仕事内容・資格・年収など紹介

建設業は陸だけで工事をしているわけではありません。

一般的にはあまり知られていませんが、海での工事を行う「海洋土木」という仕事があるのです。

今回は、海洋土木について仕事内容やなり方、資格などを紹介していこうと思います。

 

海洋土木とは

海洋土木 とは

海洋土木とは、護岸・防波堤・海底トンネルなどの海洋に関する工事を行っている業種のことです。

 

建設業界の中でも海洋土木工事を中心に請け負っている企業をマリンコントラクター=マリコンと言います。

あまり世間に知られている業種ではありませんが、街の発展や人々の生活を守るために必要不可欠な仕事です。

 

海洋土木の仕事内容

海洋土木の仕事は私たちの暮らしをどんな風に守ってくれているのか、仕事内容を見て知っていきましょう。

 

浚渫(しゅんせつ)工事

大型船が海の上を安全に進めるように、海底の土砂などを掬い上げて整備する工事です。

浚渫はいわば、海上の道路工事なのです。

 

なお、海底から掬い上げた土砂は埋め立てに使われるそうです。

土砂をストローのように吸い上げる「ポンプ浚渫」と土砂を掴んで掘り下げる「グラブ浚渫」の2種類があります。

 

護岸工事

港湾沿岸や河川の堤防を補強する工事のことです。

河川の氾濫防止や、高波から街を守る役割を果たします。

 

埋め立て工事

海底に蓄積されていた土砂や廃棄物などを積み上げて土地を造成する工事です。

 

国土面積の小さい日本では昔から取り入れられている工事方法になります。

羽田空港や東京ディズニーランドは埋め立て工事によって作られた土地に建設されたものなのです。

 

防波堤工事

高波や津波の被害を防ぐために作られる構造物の工事です。

沖と岸の中間地点に建てられるコンクリートブロックで、ここに一度波が当たることで波の勢いを吸収してくれます。

東日本大震災があった宮城県気仙沼市では、高さ14.7mにも及ぶ巨大防波堤が設置されたそうです。

 

海底トンネル工事

海や港湾部の海底を抜けることができるトンネルの工事です。

大型船の入出港への支障が出てしまうこと、水深・地質の関係などで橋が建設できない場合に作られます。

工事費が高額である、水漏れのリスクがあるなどの理由から全国でわずか5か所にしかありません。

 

橋梁基礎工事

橋をかけるための基礎工事のことです。

海上の橋はもちろん、山岳部や河川の橋の基礎工事も行います。

地中に杭を打ち込んで橋が倒れないようにしたり、型にコンクリートを流し込んで橋脚を作ったりします。

 

海底工事

海底ケーブルの補強や海底配管工事などを行います。

ダイバーが海底に潜って施工を行うこともあります。

海底ケーブルは天候の影響を受けにくく、通信衛星よりも大量のデータ通信を行うことができます。

 

ここが魅力♪海洋土木の特徴について

海底土木の魅力をここで知っていきましょう。

 

工事の規模が大きい

上記の仕事内容でも分かるように、航路を作ったり波や河川の氾濫を防止する構造物を作ったりと、工事の規模が大きいです。

大きな構造物を作ることが多いので、ひとつひとつの作業や使う機械が大きくやりがいを感じられるでしょう。

 

社会貢献度が高い

どの工事も、人々の生活を守ったり街を発展させたりするためのものなので、社会貢献性が高いです。

建設業の中でも社会に役立つ工事に携わりたい人にはとてもおすすめです。

 

海に関する工事ができる

海に関係する工事に携われるので、海や舟が好きな人にとっては楽しく働くことができます。

潜水士になれば、海中に潜っての作業もできるので海の中での作業にも参加できます。

 

海外事業が多い

海洋土木は海外での事業も多いのが特徴です。

大手マリコンは海外事業が3割を占めているので、海外進出して働きたい人にもおすすめです。

海外工事は他企業と合同のプロジェクトになるので、さらにスケールの大きい工事に携わることができます。

 

離島の人と交流がもてる

海上の工事が多いことにより、離島への出張工事も多いようです。

離島は人との関わりを大事にしている人が多いため、島民と交流を持つことができるでしょう。

人とのコミュニケーションや島の雰囲気が好きな人は楽しく仕事できると思います。

 

年収はどのくらい?

海洋土木の年収はいくらくらいなのでしょうか。

 

大手3社の20代の年収を見比べてみましょう。

  • 五洋建設:490~540万円
  • 東亜建設工業;およそ550万円
  • 東洋建設:570万円

 

20代の平均年収は370万円ほどなので、平均をかなり上回る金額をもらえるようです。

海上や海中での工事という特殊な環境での仕事なので、危険性も含めたらこのくらいもらわないときついと思います。

 

必要な資格はあるか

必須資格はないようですが、海洋土木の仕事を行う上で取っておくべき資格はいくつか存在します。

ぜひ確認していってください。

 

土木施工管理技士

土木工事の施工管理を行える国家資格です。

業務内容は、施工計画の作成、予算管理、品質管理、工程管理、安全管理など幅広いです。

この資格を持っていることで昇進や昇給で有利になるので、将来性を考えるなら取っておくことがおすすめです。

 

土木施工管理技士の資格は1級と2級があり、2級は17歳以上であれば受験できるので在学中に取得する人もいます。

1級は受験資格に3年以上の実務経験が必要になるので、就職して経験を積んでから挑戦するのがいいでしょう。

1級を取得すれば監理技術者を名乗ることができるので、より大規模な工事に携わることができます。

 

2級の合格率は、一次検定で平均66.8%、二次検定で平均39.2%です。

1級の合格率は、一次検定で平均57.3%、二次検定で35.3%です。

 

潜水士免許

海中・水中で作業を行うための国家資格です。

潜水士は18歳以上であれば誰でも受験することができ、筆記試験のみで実技試験はありません。

そのため、より安全に作業を行えるように、ダイビングスクールなどで潜水のスキルを習得する必要があります。

 

水中で実際に作業をしてみたいという方は取るべき資格です。

 

合格率は70~80%と高水準なので、しっかり勉強すれば落ちることはそうそうないでしょう。

実際に潜って作業をするスキルを獲得する方が重要です。

 

アーク溶接作業者

海洋土木の仕事では、水中で溶接工事を行うことがあります。

この作業をするためには、必要な技能講習を受けて「アーク溶接作業者」にならなければいけません。

 

アーク溶接作業者は国家資格ですが、18歳以上であれば誰でも受験することができます。

「アーク溶接等の業務に係る特別教育」を受けることで資格を取得できます。

特別教育では11時間の学科と10時間の実技教育を受ける必要がありますが、特別な試験などはないのでしっかり受けていればほぼ100%合格できます。

 

 

土木施工管理技士の資格以外は割と合格しやすいので、それらを取得しつつ1級土木施工管理技士の資格取得を目指していきましょう。

 

マリコンに入るための進学の流れ

マリコンに入るためには、高校までは普通に行って、専門の大学に入るのがおすすめです。

 

国公立で有名なところですと、

  • 鹿児島大学工学部海洋土木工学科
  • 愛媛大学工学部土木海洋工学科
  • 北海道大学水産学部海洋資源科学科
  • 福井県立大学海洋生物資源学部
  • 東京海洋大学海洋生物資源学部

 

私立だと、

  • 東海大学海洋学部
  • 日本大学の海洋建築工学科

があります。

 

高校でも海洋学科があるところもあるので、もっと早くから学びたいという方は高校から海洋学部を目指してみてください。

 

マリコンの大手3社を紹介

マリコンの大手企業トップ3のそれぞれの特徴を紹介していきます。

やはりトップ企業は気になると思うので、ぜひ確認していってください。

 

五洋建設

日本下準大手総合建設会社の一つであり、海洋土木の最大手。

海洋土木においては浚渫を得意としており、エジプトやシンガポール、韓国、マレーシアなど、海外での受注や施工実績も多いです。

 

近年は陸の土木事業や民間土木事業にも力を入れているそうです。

羽田の東京国際空港やゆりかもめなどを手掛けています。

 

東亜建設工業

海洋土木に強みを持つゼネコン。

港湾土木や空港整備などに強みがあり、レインボーブリッジ・新潟みなとトンネル・横浜港大さん橋国際旅客船ターミナルなどを手掛けています。

安藤アザマと技術・常務提携を行っており、海洋土木だけでなく建築分野や陸上土木にも力を入れているそうです。

 

東洋建設

海洋土木の大手で、ゼネコンとしては中堅に位置しています。

海洋土木だけでなく、陸上土木・建築事業など幅広く事業展開しているようです。

国内だけでなく海外での実績も多いです。

 

また、海洋土木工事に関する技術力が高く、船舶運転管理システムや浚渫状況をアニメーションで確認できるシステムなど、作業効率がアップするような素晴らしい技術を保持しています。

 

 

大手3社でもそれぞれ特徴が異なるので、ぜひ自分の希望にあった企業への就職を目指してください。

 

海洋土木の将来性について

海洋土木は海上での工事が多く、陸上の土木工事とは必要な設備や環境が異なるため、中小ゼネコンが参入しづらい業界です。

そのため、競争率が低く業界として安定しているといえるでしょう。

 

また、官公庁の工事が4~6割を占めているため、売上も安定しています。

人々の生活と関係のある工事が多いため、今後も仕事がなくなることはないです。

 

 

このように、海洋土木は将来性が高く、安定した収入を得られるでしょう。
これから海洋土木業界を目指す方は、安心して目指してみてください。

 

まとめ

海洋土木は、人々の生活を守り、街を発展させるために必要不可欠な仕事です。

 

海が好きで、海に関わる建設業に就きたいという方はぜひ海洋土木を検討してみてください。

海外展開している企業もあるので、海外でも働いてみたいという方にもおすすめです。

 

ぜひこの機会に海洋土木についてもっと興味を持ってみてください。

 

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