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建設業で注目度アップ!ITシステム「BIM」とは?

今まで、建設業での3DモデルはCADによって行われていました。

しかし近年、CADに代わって「BIM(ビム)」というITシステムが注目を集めています。

 

活躍がふえているBIMとはどんなものか、どんなメリットがあるのかなど、詳しく解説していこうと思います。

 

BIMとは?

BIMとは、「Building Information Modeling」の頭文字をとったものです。

専用のソフトウェアを用いてオブジェクトを組み合わせ、建築物の3Dモデルを再現するソリューションのことをいいます。

建物の設計から維持までの情報を一元管理することができるため、業務効率の向上に役立ちます。

 

3DCADとの違い

3DCADは、最初に2次元図面を作成してからその情報をもとに3次元図面を作成します。

3次元図面で立体的なイメージを掴んでから修正点を見つけ出すため、修正点があった場合は2次元図面から修正を行って、再度3次元図面作成するという手間が発生していました。

 

また、2次元のものを単に3次元にしただけなので、どの面が何かという情報がなく、確認にも時間がかかっていました。

 

一方BIMでは、最初に3次元モデルを作り、それを基に2次元図面を作るため、修正点があっても3次元モデルのみ変更すればいいので、修正にかかる時間を大幅に削減できます。

打ち合わせの際も、3Dモデルを見ながら相談できるため、従来より修正点が見つけやすく、工事時に起こるトラブルを未然に防ぐことができます。

 

BIMの普及率

2019年に日本建築士事務所協会連合会が調査を行った「BIM導入の導入・活用状況」を見ると、

全体のBIM導入率は「導入済みで活用中」と「導入済みだが未活用」合わせて30%という結果が出ています。

 

30%といっても、導入済みで活用中の割合は17.1%のため、まだまだBIMの普及率は少ないことが分かります。

2019年 BIM導入の導入・活用状況

 

 

オペレーターふきだし

3DCADよりも効率よく作業が行えるのに普及率が少ないのは本当に勿体ないです!BIMの魅力をもっと知ってもらうために、BIM導入のメリットを解説していこうと思います。

 

建設業にBIMを導入するメリット

正確な設計が可能

BIMでは、建築物のどの部分にどんな素材を使うか、色はどうするかなどの検討を設計段階で行うことができます。

内外装の完成イメージを事前に見ながら調整できるので、クライアントが望む形に限りなく近い企画・設計が可能となります。

 

情報の統合・共有ができる

BIMを使うと、設計から維持管理までの情報を一元管理することができます。

 

従来は分断されて保管されていた情報が一つになるので、クライアント・建築士・建設会社等の間で情報を共有することが容易になります。

情報を統合・共有できるようになることで、よりスムーズに話し合いや業務を遂行することができます。

 

各種シミュレーションを行える

BIMは、柱や照明の位置・空調などシミュレーションを行うことができます。

 

通常は専門家に頼む必要のある構造解析もBIMで出来てしまうため、コストを減らすこともできます。

施工前にシミュレーションを行うことで施工後の修正をなくし、変更の手間をなくすことができます。

 

コストの削減

作業修正のコスト・シミュレーション外注依頼のコスト・情報共有のコストなど、

BIMの導入で様々なコストを削減することができれば、その分を他のことに使うことができます。

 

維持管理も可能

建設後の維持管理も、BIMによって通常より簡単に行うことができます。

設備の名称や個数を示してくれたり、各所の点検や交換時期の目安を表示してくれます。

 

それにより、点検・交換を正確な時期に行えたり、設備の名称が分かるためトラブルが起きた際も迅速に対応することができます。

 

設計BIMと施工BIMの2つがある

BIMには設計BIMと施工BIMの2つがあります。

この2つの違いは何か、見ていきましょう。

 

設計BIMとは

設計段階でのBI活用。

実施設計(施工するために必要な図面を作る段階のこと。これを基に建築主と建築業者は契約を交わす)で施工の情報を早期に付け加え、施工で活用すること。

設計時にBIMで情報を追加しても、契約先や工事内容が決まっていないため修正が入る可能性が高いです。

 

施工BIMとは

施工段階でのBIM活用。

建物・仮説などを含めた施工方法やスケジュールを組み立て、安全性や整合性を事前に確認し合意してもらいます。

施工段階でBIMを利用することで、干渉チェックなど建設物を科学的に分析することができます。

そうすることで、施工時のトラブルや修正を削減することができるのです。

 

他社の活用事例

建設業でのBIM活用はどのようなメリットを生んでいるのでしょうか。

他社の導入事例を見ていきましょう。

 

矢作建設工業

現場の仮設計画やクレーンの計画にBIMを活用しています。

ただ3Dモデルを作ってシミュレーションや図面作成を行うだけでなく、情報共有によりBIMで繋がることで、元請会社と工事業者の間で信頼関係を築けています。

 

現場経験数など個人のノウハウやスキルに依存していた作業をBIMを使ってデジタルに返還することで、そうした力量の差を縮めることができているそうです。

 

河本工業

70年以上の歴史を持つ老舗の河本工業は、ずっと前からBIMの導入を進めてきたそうです。

BIM元年と言われた2010年初めには簡易的な3Dデザインツールを導入。

 

3次元の完成予想図を見せながら打ち合わせを行ったところ、クライアントから「分かりやすい」と好評を頂いたそうです。

2020年には「BIM推進室」という部署を設置し、BIMを使って設計から維持管理までの様々な作業をデジタル化することで、より正確で効率的な作業を行っていくようです。

 

東洋建設株式会社

元々は3DCADを利用していましたが、施工部門の実案件においてBIMの活用を本格化したそうです。

 

施工現場において3次元モデルがあることは非常に便利で、仕上がりのイメージがしやすくなり、干渉などの問題も発見しやすくなります。

BIMの導入は工事における手戻りを無くし、作業効率を上げることに役立っています。

 

 

このように、BIMを導入し活用している建設会社は一様に効果を実感しているのです。

 

まだ使っていない人は、損しているかも…!?

 

BIMと建設業の今後

日本でのBIM導入は、海外に比べたらまだまだ少ないです。

導入しているのに活用していない会社も多いのは、BIMのメリットや使い方をちゃんと理解していないからでしょう。

いずれにせよ宝の持ち腐れです。

 

しかし、国土交通省もBIM導入を推進しているため、今後はBIMの知名度が上がり、活用する企業が増えていくと思われます。

導入コストの問題・技術者不足・使い始めは時間がかかるなどの課題もありますが、慣れていけば確実に建設業界を支えるITシステムになることでしょう。

 

コストについても、BIM活用の費用対効果を考えればおつりが来るほどメリットが多いと考えます。

デジタルやITツールが進化している現在、建設業でもITツールを使った作業が行われ始めてるため、BIMが広く使われるようになるのも時間の問題です。

今からでも遅くない!BIMを導入して作業効率をアップさせましょう♪

 

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