コラム基礎知識

【絶対参考になる】建設現場での熱中症対策方法や事例をご紹介!

地球温暖化などの影響もあり、地球の温度は年々高くなってきています。

さらに、日本は気温上昇率の大きい北半球に位置しているため、その影響を受けやすく、この100年で1.2℃も暑くなっています。

 

また、東京などの都市化が進んでいる地域ではヒートアイランド現象が起きているため、この100年で平均気温が3.2℃上昇しているのです!

 

このように、熱中症になる確率は年々高まっています。

さらにコロナの影響でマスクを身に付ける必要があるため、一昨年よりも危険度が高いのです。

 

建設業は炎天下で作業する時間が長いため、熱中症対策をしっかり行う必要があります。

今まで以上の対策を行い、熱中症に備えましょう!

 

なぜこわい?熱中症の危険性

熱中症とは、暑い環境に体が対応できず、体内の水分や塩分のバランスが崩れて発症する症状のことです。

熱中症になると、立ち眩みやめまい・大量の汗が出る・倦怠感・頭痛・吐き気などの症状に襲われ、酷い場合は意識障害などを引き起こすとても怖いものなのです。

 

熱中症の段階と種類

熱中症には軽度から重度まで3段階あります。

 

それぞれの症状を確認していきましょう。

分類 症状 種類
Ⅰ度(軽症)[ad] めまい

一時的な失神

顔面が白くなる

脈が速くて弱い

 

〇熱失神

体内に熱がこもり、脳への血流が減ることで起こる。

筋肉痛

こむらがえり

手足がつる

痙攣

〇熱けいれん

大量に汗をかいた後、水分のみを補給して体内の塩分濃度が低下した際に起こる。

Ⅱ度(中等症) 全身の倦怠感

頭痛

吐き気/悪心

集中力や判断力の低下

〇熱疲労

大量の汗をかいた後、十分な水分補給を行わないことで起こる。

Ⅲ度(重症) 意識障害

体温の上昇

呼びかけへの反応が鈍い

言動がおかしい

ふらつく

〇熱射病

体温が異常なほど上がり、多くの器官系に機能障害が起こる。

命が危険な状態

 

このように、熱中症には段階があり、症状が重いと命を落とす危険もあります。

ならないことが一番ですが、もしなってしまったら軽度で気づいて十分な水分・塩分補給を行いましょう。

 

また、第三者が熱中症にかかっていないか気にすることで、重症患者を減らすことができます。

辛そうな人を見つけたら、すぐに対処するようにしましょう。

 

建設現場でできる熱中症対策6つ

熱中症が起きやすい建設業でできる基本的な熱中症対策を6つご紹介いたします。

実践していないことがあればぜひ加えてみてください。

 

暑さ指数の測定

暑さ指標とは、気温・湿度・風速・輻射熱※などを総合的に見て導き出した数値のことで、蒸し暑さを表した指標です。

※輻射熱・・・日差しを浴びた時に受ける熱や地面・人・建物から出ている熱のこと

 

熱中症を予防することを目的としてアメリカで提案されました。

気温以外の部分を加味して表示してくれるので、熱中症になる温度の目安が把握できて熱中症になる前に対策を行うことができます。

 

暑さ指数がどのくらいになったら危険なのかというと、

暑さと熱中症発生率を示したグラフ

画像出典元:環境省 熱中症予防サイト

 

上のグラフから、暑さ指数が28℃を超えてから熱中症発症率がグッと高まっていることが分かります。

 

「28℃に近づいたら要注意!」というのが分かるので、暑さ指数をこまめにチェックしつつ対策を行っていれば安全に作業ができるのです。

 

作業員の健康管理

作業前・作業途中・作業後に、従業員の健康状態を管理しましょう。

糖尿病や高血圧、心疾患などの疾患を持つ人は熱中症にかかりやすいため、そのような持病がある作業員はいないか確認してください。

持病持ちの従業員がいる場合は医師に相談し、必要があれば配置変更を行いましょう。

 

前日に飲酒をしていたり寝不足だったりしないか、体調に異変はないかを逐一確認することで熱中症を防ぐことができます。

体温や脈拍を測ることで異常を察知できるので、計測器を現場に用意しておくと尚良いでしょう。

 

水分休憩をこまめにとる

水分補給のための休憩は一番重要です。

水分をとれる時間を作業時間の間に入れ、「のどが渇いた」などの自覚症状がなくても作業員全員が水分休憩をとるように声掛けを行いましょう。

休憩は木陰などの涼しい場所で行うように作業員に伝えるようにしてください。

 

また、熱中症対策には塩分も重要です。

塩分を含む飴やスポーツドリンクの用意をするのも忘れずに!

 

作業時間の工夫をする

炎天下での作業を避けるために、午前中は西側、午後は東側の作業を行うなど、作業位置を工夫するといいです。

気温の高低に合わせて作業内容や時間を変えていくのも、熱中症予防になります。

 

また、熱に慣れていない時に熱中症になりやすい傾向にあります。

高温多湿のリスクが高い場所での作業を行う場合は、作業時間は徐々に長くするようにしてください。

 

通気性の良い服装にする

水分補給をこまめに行っていても、長袖長ズボンを着用していると大量の汗をかいて水分・塩分不足に陥る可能性が高くなります。

夏に作業する場合は、

  • 通気性を重視した服装にする
  • 事務所では半袖や襟元を開ける
  • 冷却ベストなど、体を冷やせるものを身に付ける
  • 通気性のいいヘルメットを用意する

 

などの体や頭を冷やして熱を籠らせない工夫を行いましょう。

 

涼める場所の確保

冷房の効いた休憩所・日陰で休める場所を設けて、作業員が涼しい場所で休憩できるようにしましょう。

 

また、万が一熱中症の作業員が出た場合に備えて、横になって休めるスペースの確保も重要です。

その時、すぐ水分・塩分補給ができるように休憩所に冷たい水や塩飴などを用意しておくとさらに安心できます。

 

マスクの着用は臨機応変に

コロナウイルス感染症を予防するために、マスク着用での作業を行わなければいけないとなると、以前より熱中症のリスクが高まります。

 

マスクによる熱中症を防ぐために、相手と2m以上の間隔を開けることができる場合はマスクを外して作業するようにしましょう。

その際、会話は控えめに、無線などを使って行うと良いでしょう。

 

他社の対策事例

建設業でできる熱中症対策は把握できたと思います。

次に、実際の企業はどんな対策を行っているのか見ていきましょう。

参考になるものがたくさんあると思うので、ぜひ見ていってください♪

 

大東建託

  • 熱中症発症件数を社内掲示板に開示し、危機感をもってもらう
  • 冷感マスクの配布
  • 暑さ指数によってタイマーを設定、アラームが鳴ったら休憩&水分補給
  • 熱中症予防のポスターを張り、対策意識を高める
  • 熱中症応急セットの準備
  • ファン付き空調服を特別価格で販売

 

鉄建建設株式会社

  • 大型扇風機・ミストファン・クーラーの設置
     ※風と一緒にミストを放出し、周囲を涼しくしてくれるもの
  • 横になれるベンチの設置
  • 現場近くにパラソルとクーラーボックスを設置
  • 休憩時間を多めにとる
  • 冷やしたバナナに塩をかけたものを配布
  • 日照下での単独作業を避け、複数人でお互いの体調を気に掛けながら作業を行う

 

三和建設株式会社

  • 「ゼネコンがつくった3Kしおゼリー」というものを開発し、昼休憩後に配布している
      ※1本あたり0.15gの塩分が含まれており、少量で塩分補給ができます。
      また、80%が水分でできており摂取しやすくなっているようです。
  • クーラー完備の休憩所にかき氷機を設置
  • 作業場にシャワーヘッドを取り付けて頭を洗えるようにする
  • 冷却スプレー・塩飴・干し梅を休憩所に置く
  • 自動販売機のラインナップに塩分補給できるものを並べる
  • コミュニケーションの促進(体調の変化を伝えやすいように)

 

株式会社ベーシック(IT業)

  • スポーツ飲料・塩飴・冷却タオル・ウォーターサーバーの提供

 

株式会社セシム(警備業)

  • 60歳以上で1人の現場になる際は空調服を支給
  • 人員の管制表を行い、熱中症リスクが高まったら管制表にて警戒情報を共有
  • ヘルメットに麦わら帽子の庇を使用
  • クールタオルの支給
  • 飲料やアイス購入費の補助
  • 健康配慮者は勤務場所や時間帯を考慮する

 

サクマ製菓株式会社(製造業)

  • クールビズの推奨
  • エアコン(28℃設定)+扇風機
  • 水分と塩分の摂取の推奨

 

 

企業はそれぞれに熱中症を防ぐ対策を行っていることが分かったかと思います。

 

水分補給以外にもやるべきことはたくさんあるので、ぜひ参考にしてください♪

 

 

熱中症が出た場合の対処法

このような対策を行っていても、熱中症を発症してしまう可能性はあります。

万が一熱中症になった従業員がいてもすぐに動けるように、対処方法を確認しておきましょう。

 

➀症状の確認

まずは、症状がどの程度のものか確認しましょう。

上記でご紹介した熱中症の段階を把握して、Ⅰ~Ⅲのどの段階に位置しているのか把握することで、その人の状況を正確に知ることができます。

 

尚、声をかけたり揺らしても反応がにぶいもしくは反応がない場合は重度の可能性が高いです!

すぐに救急車を手配しましょう。

救急車を待っている間にも応急処置は必要になるので、しっかり確認していってください。

 

➁応急処置をする

まずは涼しい場所(木陰やクーラーの効いている場所)に移動させ、服の襟元・ベルトなどを緩めます。

体を冷やすために水をかけたり、冷却タオルで拭いてあげましょう。

冷やした後にうちわや扇風機を当てて冷やすのも効果的です。

 

冷却アイスなどがあるようなら、首の両脇・わきの下・太ももの付け根など太い血管が通っている場所に置きましょう。

 

➂水分補給を行う

意識が合って自分で動ける場合は、水分補給を行わせてください。

ただの水よりはスポーツ飲料や経口補水液・食塩水など塩分も補給できるものが良いでしょう。

症状が良くなれば、そのまま休憩してもらい、起き上がれるようになったら帰宅させましょう。

意識はあっても自分で飲み物を飲むことができない場合、近くの医療機関に連絡しましょう。

 

熱中症は一歩間違えれば死に至ります。

自分で気を付けるのが一番重要ですが、周囲の人が気に掛けることも予防に繋がるので、お互いに体調を気遣いながら作業を行ってください。

 

事前対策で熱中症患者を0にしよう!

事前対策の重要性が分かったでしょうか。

熱中症は気をつけていれば発症しません。

 

しかし、作業をしていると自分の体調の変化に気づけなかったり言うタイミングがなくてそのまま重症化してしまうケースもあります。

万が一作業中に意識がなくなってしまい、その時重量のあるものを持っていたら…。

想像すると恐ろしいですよね。

取り返しのつかない事故が起こらないように、こまめな休憩とそれを促す声掛けが重要になるのです。

熱中症対策を万全に行い、安全な作業環境で働けるようにしましょう!

 

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