職長は、現場での指示監督役であり、建設や製造などの現場で欠かせない存在です。
では、職長とは具体的にどんな役割があるのか、資格は必要なのかなど、職長になるための知識をここで学んでいきましょう。
職長とは
職長とは、作業場の従業員に直接指導・監督を行う立場の人を指します。
作業員への指示出しや安全確保を行います。
作業現場は、常に複数の機械が作動していたり有害物質が置いてあったりと、危険要素がたくさんあります。
事故を防ぐためにも、職長が現場の危険性を把握し、職場の環境や指示出しや体調管理などを徹底する必要があるのです。
従業員が安全に作業をするために、職長は必要不可欠な存在なのです。
職長は、建設業や製造業、電気、ガス、自動車整備業などで活躍しています。
安全衛生責任者との違い
職長は現場の指示や監督を行うのに対して、安全衛生責任者は労働災害防止のために統括安全衛生責任者と連携して、作業現場の安全を確保します。
加えて、職長は事業者が任意で選定しますが、安全衛生責任者は労働安全衛生法に基づき一定規模の混在作業現場で専任されます。
安全衛生責任者は、安全衛生責任者との連絡・調整が主な役割になります。
建設業の場合、職長が安全衛生責任者に選任されることが多いため、どちらの役割も担います。
職長の役割・仕事内容
職長の仕事内容はどんなものなのでしょうか。
仕事内容を見ていきましょう。
指揮監督
プロジェクトの進捗やスケジュール管理を行います。
また、作業員への指示出し、適切な配置、工程の調整なども行います。
安全管理
現場での事故や危険な場所に関する指導を行います。
安全教育を実施して事故の防止に努め、機器の定期的な点検を行います。
安全規定や法令を遵守できているか、現場の調査を行います。
品質管理
プロジェクトの品質基準を満たしているかを定期的に確認し、現場の監督を行います。
図面や設計に関する品質もチェックし、指導を行います。
万が一品質に不備があれば、作業員に共有して即座に不備を解消します。
原価管理
予算内で成果物が完成するよう、材料や人権費などの経費を管理・調整します。
予算オーバーしてしまう場合は、削れる経費を調査してコスト削減に努めます。
安価な材料がないか調査し、調達します。
人間関係の管理
作業員や上司とコミュニケーションを取り、現場の人間関係や環境を把握・管理します。
現場作業員の意見を聞いて、現場の環境がより良くなるように努めます。
何か大きな問題がある場合は、上司に報告して解決するための方法を探ります。
作業員の体調不良にすぐ気が付いて休ませたり話を聞いたりするためにも、日頃のコミュニケーションは重要です。

このように、職長の仕事は幅広いです。
現場に関する指示や管理は一通りやらなければいけないので、かなりのスキルが必要になります。
ある程度の経験を積んで、その現場でずっとやってきた人が選ばれることが多いようです。
職長が作業をしてはいけないのはなぜ?
職長は、原則として現場作業をしてはいけません。
この理由は、現場の指揮監督業務に集中するためです。
職長が作業をしてしまうと、現場全体の把握や従業員への指示出しができなくなり、本来の仕事がおろそかになってしまいます。
計画通りに作業を進めていくためにも、職長は指揮監督業務に集中する必要があるのです。
職長が不在だと・・・
職長の選任は、法律で義務付けられているものではありません。
そのため、現場にいなくても違法にはなりません。
しかし、職長がいないと作業員の指示や監督をすることができず、安全面や品質を担保できなくなります。
スケジュール管理や事故のリスク管理など、作業員一人一人が意識しながら作業をしなければいけないので、作業員の負担が大きくなってしまいます。
職長が現場にいない場合も、設置が義務付けられている安全衛生責任者や現場監督が職長の役割を担ってくれます。
しかし、現場監督や安全衛生責任者は場合によっては常駐義務がないこともあり、直接現場を見て指示を出さない可能性もあります。
職長は現場に常駐して指揮監督をする仕事なので、職長がいる現場の方が安全性や品質を確保でき、作業員も安心して作業に集中できるでしょう。
職長に資格は必要?
職長になるために受けなければいけない資格は特にありません。
しかし、労働安全衛生法に基づく職長教育を受講し、修了証を取得する必要があります。
職長教育は年齢や学歴、実務経験などの制限がなく、誰でも受講できます。
資格ではないので落ちるということもないため、ある程度現場経験を積んだら職長教育を受講してもいいのではないでしょうか。
次の項目では、職長教育の内容を紹介します。
職長教育について
職長教育とは、職長やその他の現場で作業員を直接指揮監督する人に対して行う必要がある安全衛生教育のことです。
建設業・製造業・電気業・ガス業・自動車整備業・機械修理業の計6業種において、職長を新しく選任する際は、計12時間の職長教育を実施することが労働安全衛生法で義務付けられています。
加えて、令和5年4月1日から、食料品製造業(うま味調味料製造業および動植物油脂製造業を除く)・新聞業・出版業・製本業および印刷物加工業においても、職長教育の実施が義務付けられました。
職長教育の内容
職長教育では、以下のものを勉強します。
- 作業方法の決定並びに労働者の配置に関する事項(2時間)
- 労働者への指導もしくは監督方法に関する事項(2.5時間)
- 異常時等の措置に関する事項(1.5時間)
- その他現場監督として取るべき労働災害防止活動について(2時間)
- 危険性もしくは有害性等の調査や結果に基づく措置について(4時間)
合計12時間のカリキュラムなので、2日間に分けて受講します。
指導方法や教育方法についてはもちろん、緊急時の対処法や設備のメンテナンス方法など、職長の業務全般の知識を学びます。
受講方法
職長教育の受講方法3つあります。
- 会場に赴いて受講する方法
- 講師が現場まで来て受講する方法
- インターネット上で受講する方法
この3つです。
出張講習会は講師にわざわざ来てもらうので、会場に行くよりも受講料が高くなります。
この中でおすすめなのはウェブ受講です。
インターネット環境があればいつでもどこでも受講できるので、忙しい人におすすめです。
グループワークなど、講師と相互にコミュニケーションを取りながら行えるものが多いようなので、一方的にならずに分からないことはすぐに質問できます。
ぜひ自分に合った方法で受講してください。
難易度
資格ではないので修了試験などもありません。
講習時間を完了すれば修了証がもらえるので、難しいことはないでしょう。
しかし、ここでの知識を活かして職長として働いていくので、講習はしっかり聞いて真剣に学ぶようにしましょう。
受講料
中小企業特別教育協会によると、職長・安全衛生責任者教育の受講料は21,010円だそうです。
年度によって金額が変動する可能性もあるので定期的に確認してください。
安全衛生責任者教育との違い
安全衛生責任者教育は、職長教育の項目に「安全衛生責任者の職務など(1時間)」「統括安全衛生管理の進め方(1時間)」が追加されたものです。
建設業をはじめ、ほとんどの現場では職長と安全衛生責任者は兼任されることが多いため、職長教育と安全衛生責任者教育が合わせて行われます。
安全衛生責任者教育も、職長教育と同じく試験ではないため、14時間の講習を終えて修了証をもらえば晴れて安全衛生責任者として働くことができます。
再教育について
職長教育も安全衛生責任者教育も、おおむね5年ごとに再教育を受けることが推奨されています。
その理由は、作業員への指揮監督を行う者の能力向上を図るためです。
なお、再教育は機械設備に大きな変更があった場合にも推奨されています。
ただし、5年は有効期限ではないため、再教育を受けなくても罰則や資格失効はありません。
義務ではないですが、常に安全な環境や高い品質を維持するために再教育は必要なので、ぜひ受講してください。
受講内容
- 〇職長および安全衛生責任者として行うべき労働災害防止に関すること(2時間)
- 〇労働者に対する指導又は監督の方法に関すること(1時間)
- 〇危険性又は有害性等の調査等に関すること(30分)
- 〇グループ講習(2時間10分)
受講料
中小企業特別教育協会によると、5時間40分(1日間)の受講料は10,505円です。
年度によって金額が変動する可能性もあるので、定期的に確認してください。
職長になって、現場の安全を確保しよう!
職長は仕事量が多いですが、その分作業員よりも給料が高くなります。
ある程度現場を知って、「次は現場管理をしてみたい!」という願望がある方は、ぜひ積極的に職長への道を進んでいってください。
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