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ドローン操縦に資格はいる?かかる費用や資格取得メリットや注意点など紹介します!

近年、ドローンはさまざまな業界で活用されています。

CMや映画などのエンターテインメントにおける空撮だけでなく、危険個所の撮影や農薬散布、警備など、さまざまな業界で活躍し始めています。

 

今後も活躍が期待されるドローンの操縦をするには、資格が必要なのでしょうか。

今回は、ドローンの資格について紹介していきたいと思います。

 

ドローンを飛ばすのに資格がいるの?

ドローン 資格はいる

結論から言うと、ドローンを飛ばす際に必ずしも飛行許可や資格が必要なわけではありません。

機体重量100kg未満のドローンは航空法の規制対象外となるため、無許可で飛ばすことができます。

 

ただし、100kg未満のドローンが全ての場所で無許可飛行ができるわけではなく、次のような場所に限定されます。

  • 体育館などの屋内
  • スポーツ場などネットで囲まれた場所
  • 地表または水面から150m未満の高さの空域
  • 自治体の条例で禁止されている公園以外
  • 空港や人口密集地等の上空以外
  • 河川敷(飛行禁止区域以外)
  • 自分の土地(飛行禁止区域以外)
  • 所有者の許可を得た空き地や田んぼ
  • 民間のドローン練習場

 

このように、無許可だと飛行場所や範囲が限定されてしまいます。

 

飛行が規制されている土地でドローンを飛ばすには、国土交通省の許可が必要です。

免許がなくても許可を取ることはできますが、免許がないと規制区域で飛行させるのに毎回許可をとる必要があります。

それはかなりの手間ですよね。

しかし、免許があると飛行許可・承認を省略することができるのです!

 

ドローン操縦を仕事にしたい方は、許可・承認なしでより広範囲でドローンを飛ばせる国家資格「無人航空機の操縦者技能証明制度」を取得することをおすすめします。

 

2025年に国家資格に一本化する

ドローン 国家資格

従来、ドローン操縦の資格は民間資格のみでした。

しかし、

  • 各団体によって資格基準にバラつきがあること
  • 事故発生リスク増加による規制強化

 

などの理由から、2022年12月に「無人航空機の操縦者技能証明制度」という国家資格が施工されました。

 

そして、日本では2025年12月以降は国家資格に一本化され、民間資格は公的な技能証明としての効力がなくなります。

今まで民間資格でも受けられていた飛行許可・承認の効力化が国家資格だけの権利となるため、これからドローン操縦士になろうと考えている方は国家資格取得を目指すことをおすすめします。

 

民間資格が廃止されるわけではなく、引き続き操縦技術や知識を証明するものとして利用できます。

また、民間資格取得者は国家資格取得の際に「経験者」とみなされるため、学科や実技の講習時間が短縮されるため、既に持っている場合は国家資格が取りやすくなるというメリットがあります。

 

ドローンの国家資格は2種類!

ドローンの国家資格は、「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」に分かれています。

それぞれの違いを分かりやすく表に表しました。

一等無人航空機操縦士 二等無人航空機操縦士
許可される飛行レベル レベル4まで レベル3まで
合格率 50~60% 60~70%
講習期間 初学者:座学18時間以上

実地50時間以上

経験者:座学9時間以上

実地10時間以上

初学者:座学10時間以上

実地10時間以上

経験者:座学4時間以上

実地3時間以上

かかる費用 40万円~100万円 15万円~40万円
有効期限 交付日から3年 交付日から3年

 

  • レベル1:目視内で操縦飛行
  • レベル2:目視内で自律飛行
  • レベル3:無人地帯での目視外飛行(補助者なし)
  • レベル4:有人地帯での目視外飛行(補助者なし)

 

国家資格取得にかかる費用について

ドローン 国家資格 費用

国家資格取得には、4つの費用がかかります。

それぞれどのくらいかかるのか、一等と二等の必要費用を確認しましょう。

 

受講費用

ドローンの国家資格を取得するには、登録講習機関で学科と実技講習を受講する必要があります。

独学でも試験をすることはできますが、スクールに通った方が正確かつ必要なスキルを身に着けることができます。

受講費用は、初学者と経験者で異なります。

 

初学者 経験者
一等無人航空機操縦士 80万円前後 40万円前後
二等無人航空機操縦士 30万円前後 10万円前後

 

試験費用

【学科試験】

一等無人航空機操縦士 9,900円
二等無人航空機操縦士 8,800円

※非課税

 

【実地試験】マルチローター(回転翼)の場合

一等無人航空機操縦士 基本 22,200円
限定変更 20,800円
二等無人航空機操縦士 基本 20,400円
限定変更 19,800円

※非課税

 

資格交付費用

資格を新規申請する場合、3,000円かかります。

なお、一等無人航空機操縦士資格の場合は登録免許税として3000円追加で支払う必要があります。

なお、技能証明書を期限内に更新せずに失効した場合は、再交付を受けることができます。

再交付費用は2,850円です。

 

更新料

無人航空機操縦士の資格は3年経つと失効してしまうので、更新が必要です。

更新申請には2,850円が必要です。

 

このように、講習受講から資格取得後まで諸々の費用がかかるので、トータルいくらかかるのか計算して、まとまったお金を用意しておきましょう。

 

ドローンの国家資格を取るメリット

信頼度が高まる

国家資格は公的に認められた資格を有しているという証明になるので、所有資格に対する信頼度が高いです。

信頼度が高い分、自己PRにも役立つでしょう。

 

飛行許可申請の免除や一部省略ができる

国家資格では、通常では飛行許可申請が必要な飛行レベルでも、申請の免除や一部省略ができます。

 

一等無人航空機操縦士保持者の場合、第二種機体認証以上を取得している機体に限り、カテゴリーⅡ飛行(空港等周辺、50m以上、危険物輸送など)を行う許可申請が免除になります。

また、二等無人航空機操縦士保持者の場合、機体認証を取得している機体でDID地区での夜間目視外飛行を実施する場合、個別審査が免除されます。

 

このように、国家資格があることで許可申請が一部免除されるので、飛行までの手間を省くことができます。

 

飛行可能範囲が広がる

一等無人航空機操縦士の資格を取得できれば、レベル4の「有人地帯における目視外飛行」が可能になります。

レベル4までの飛行は、国家資格である一等無人航空機操縦士でないと不可能なものなので、国家資格取得を考えている場合は一等無人航空機操縦士を目指しましょう。

 

就職で有利になる

国家資格は社会的信頼度が高いため、どの企業でもいい印象を与えることができます。

就職や転職をする際、ドローンの国家資格を持っているとアピールすることで有利に働くでしょう。

 

要チェック!ドローン資格に関する注意点

ドローン 資格 注意点

ドローンの資格を取得する上での注意点を紹介します。

取得前によく確認して、把握しておきましょう!

 

取得費用が高い

上記の項目でかかる費用について紹介しましたが、初学者の場合は特に高額なお金がかかります。

資格取得前に必要資金を貯めて、事前準備を忘れないようにしましょう。

また、ドローンは資格がなくても限られた範囲で飛ばせます。

 

まずは無資格でドローン操縦を行ってみて、仕事にできそうだと感じたら資格取得を目指すことをおすすめします。

 

技能証明の携帯義務がある

ドローンの特定飛行を行う場合、技能証明書を携帯する必要があります。

もし携帯していなかった場合、10万円以下の罰金が科せられます。

車の運転と同じように、ドローン操縦をする際は技能証明を携帯するようにしましょう。

 

技能証明は更新が必要

技能証明は、取得したらずっと有効なわけではありません。

3年経ったら更新作業が必要なので、忘れないようにしましょう。

もし、有効期限を過ぎてしまったら再交付申請をする必要があります。

 

場合によって、資格取り消しになることがある

資格所持者が次の項目に当てはまる行動をした場合、資格の取り消しまたは1年以内の効力停止になる恐れがあります。

  • 無人航空機の飛行に支障を及ぼす恐れがある病気にかかっている時
  • 無人航空機の安全な飛行に支障を及ぼす恐れがある身体障害が生じていると判明した時
  • アルコール・麻薬・大麻・あへん、または覚せい剤の中毒者であることが判明した時
  • 航空法、航空法に基づく命令の規定またはこれらに基づく処分に違反した時
  • 無人航空機を飛行させるにあたり、非行または重大な過失があった時

 

このように、ドローンを飛ばす上で十分な健康状態、精神状態であると判断できない場合、危険な飛行を行った場合などは、資格停止処分になる可能性があります。

この点はしっかり注意して、当てはまらないような行動を心がけましょう。

 

ドローン資格を生かせる仕事は?

ドローン 活かせる仕事

ドローンの資格は、どのような仕事で活かせるのでしょうか。

ドローン操縦士が活躍している仕事を紹介するので、参考にしてください。

 

測量、点検作業

工事現場での測量や、インフラなどの定期点検です。

ドローンであれば、人が入れない危険区域や高所の測量も簡単に行えます。

上空から測量するので範囲の制限がなく、長距離の測量も難なく行えます。

 

また、ドローンで測量したデータを基に3Dモデルを作成できるため、時短かつ効率的に図面作成が可能になります。

点検では、足場の設置不要で高所や広範囲の点検ができるので、マンションや橋梁、送電線などの点検に活用されています。

 

映像、写真撮影

映画やCMに使う映像や風景を、ドローンを使って行うことで、今までにないダイナミックな撮影ができます。

火山のような、通常は人が近寄れない場所の撮影ができたり、人の間を縫って移動する映像でリアリティのある映画撮影ができたりと、映像や写真部門で活躍できます。

 

農薬散布

農薬は従来人の手やヘリコプターで散布されていましたが、人手不足や高齢化、ヘリコプターの費用が高額なことから、ドローンによる散布が注目され始めました。

ヘリコプターよりも低コストで散布できるので、活用範囲が広がっています。

 

なお、農薬散布は決められたルートを飛行される必要があるため、高度な飛行技術を要求されます。

肥料散布や種まきにも応用できるので、農家での需要が高まっています。

 

警備

ドローンを使って警備をすることで、人の足では不可能な広範囲の巡回や高所監視が可能になります。

人手不足を補いつつ、死角のない警備ができるので、安全性を向上できます。

埼玉スタジアム2022でドローンによる警備の実証実験が行われ、広大な敷地内から不審者を発見し、その場に急行するという結果が得られました。

 

警備ドローンの操縦は、ミスすると不審者の取り逃しなど重大な事件につながるリスクがあるため、高度な操縦技術が必要になります。

 

物流

目視外飛行技術を利用して、ドローンで荷物を届ける仕事です。

ドローン物流が一般化することで、物流業界の人手不足解消につながります。

山間部や離島など、配送に時間がかかっていた場所にも手軽に配送できるようになります。

 

実際、「Amazon Prime Air」ドローン配送システムを世界各国に展開し始めており、2022年から最大5ポンドの商品を1時間以内に届けることに成功しています。

今後日本でも導入されるようになれば、ドローン物流の仕事もどんどん増えていくでしょう。

 

また、香川県にある「株式会社かもめや」では、粟島への配送をドローンで行うためにドローン物流航路を開設しました。

短期的な実証実験ではなく、事業化を見据えた長期実用化実証だそうです。

開始当初は温度管理のいらない商品のみの取り扱いでしたが、現在はお弁当や買い物代行を含めた総合サービスに変化しているそうです。

 

 

このように、ドローンによる物流は今後どんどん進化していくとみられるためドローン操縦技術を活用できる機会は増えていくでしょう。

 

ドローン操縦士の年収について

ドローン操縦士の年収相場は400万円前後と言われています。

次のように、活躍する現場によって年収が左右します。

  • 測量:年収330~500万円
  • 点検:年収300~500万円
  • 空撮:年収350~640万円
  • 農薬散布:年収320~510万円

 

年収を参考にしつつ、自分が就職したい業界を探しましょう。

 

ドローン操縦士の将来性

結論から言うと、ドローン操縦士は将来性が高い仕事です。

ドローンビジネス市場は、2023年に前年比23.9%増の3854億円で、2028年には9000億円を超えると予測されています。

まだ完全に実用化されていないという現状があるため、将来的にドローンを使った仕事が一般化したら、既にドローン操縦技術を持っている人は重宝されます。

 

特に、物流は人が生きていくために欠かせないものとなっているため、そこにドローンを組み込む企業が増えれば、ドローン操縦士の需要はどんどん拡大していきます。

将来を見据えて、今のうちに国家資格を取って技術を磨いていきましょう。

 

国家資格を取って操縦士を目指そう♪

ドローン操縦士は、高度な技術を持っている人ほど重宝されます。

国家資格を持っていても操縦技術が未熟だと、高収入を得るのは難しいです。

 

どんな仕事に就きたいのか、どのくらい稼ぎたいのか、どのレベルのスキルを身に着けたいのかを明確にして、国家資格取得に臨みましょう。

建設業でもドローン活用が増えてきているので、これから建設業で活躍したい人も、ドローン操縦技術を身に着けるのはおすすめです。

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