建設業には建築設備士という仕事もあります。
あまり馴染みがないと思いますが、建設業に必要不可欠であり重要な役割です。
資格のことや将来性など詳しく説明しているので、ぜひ見ていってください。
建築設備士とは
建築設備士とは、建築設備に対する専門的な知識や技術を持ち、建築士に対して建築設備の設計や工事、工事監理に関するアドバイスを行う仕事です。
空調設備・配管・電気設備などの様々な設備系の知識を持ち、建築士から求められた場合に助言を行います。
自分で設計を行うことはせず、建築士は建築設備士の助言がなくても設計・監理を行うことができます。
建築設備士を置くことは義務化されていないので、あまり重要視していない建築士や施主も存在しています。
しかし近年、建設物の設備は高度かつ複雑化しており、設備関連で専門的な知識を有するもののアドバイスがあることで、より安全で高品質な建築物を施工することができます。
また、建築設備士が助言を行った場合は「建築確認申請書」にその旨を記載するため、建設物の安全性が保証されます。
自然災害も多いことから、施主によっては「建築設備士に助言を受けること」を施工条件に入れる場合もあるようです。
今後は必要不可欠な存在になるかもしれませんね。
建築設備士になるまで
建築設備士になるには資格が必要です。
受験資格には実務経験が必要になるので、専門学校や大学を卒業後、設備会社や建設会社などで実務経験を積んでから資格取得に臨むのが一般的です。
実務経験の必要年数は学歴ごとに異なり、四年制大学は2年以上、短期大学・高等専門学校では4年以上、高等学校・旧中学校では6年以上の実務経験が必要になります。
また、一級建築士・一級電気工事施工管理技士・一級管工事施工管理技士・電気設備主催者などの国家資格を所持している場合は、2年以上の実務経験を経ることで受験資格を取得することができます。
建築設備士資格を取得し、実務経験を1年以上積むことで一般建設業の許可基準における専任技術者・主任技術者になることができます。
建築設備士がいる企業は評価が上がるため、建築設備士の資格を取得していると転職時に有利に働きます。
建築設備士の資格について
難易度
建築設備士の合格率は20%を切るのが普通です。
令和3年の合格率は、1次試験と2次試験の総合で18.8%でした。
一級建築士の合格率は10%前後なので、建築設備士の方が少し難易度は低いですが、難しいことに変わりはありません。
合格基準
建築一般知識40%以上、建築法規50%以上、建築設備50%以上、合格基準点60%以上が必要になります。
著しく点数を下回った場合は不合格になってしまいます。
建築設備士の就職先
民間の建設会社・設計事務所・設備機器メーカー・保全会社・ビルメンテナンス会社・不動産会社などが一般的な就職先になります。
年収について
建築設備士の平均年収は500万~800万円だそうです。
給料に幅があるのは、就職する企業の規模と就職場所にもよるようです。
都心部にある大手企業であれば当然年収は高くなりますが、地方の中小企業だと年収も低くなります。
建築士の資格も取得することで、さらに年収を上げることができるでしょう。
勤務時間や待遇は?
勤務時間は9:00~18:00が基本で、9:00~17:30という会社もあるようです。
休日は土日の週休二日制をとっているところが多く、時期や案件数に応じて土曜日は休日出勤となったり、繁忙期は休みが少なくなることはあると思います。
しかし基本的にサラリーマンと同じような時間帯で働けるため、劣悪な環境ということは少ないと考えられます。
向いている人はどんな人か
建築設備士には、
- 設計・管理に興味がある
- 電気工事に興味がある
- 責任感がある
- 細かいところに気づける
- 人の話を聞いてアドバイスするのが好き
- 指示出しをしたり人をサポートするのが好き
というような人が向いています。

品質などの管理を行うため、「安全で高品質な建物を造るんだ」といった責任感がないとやっていけません。
また、建築士に対してアドバイスを行うため、相手の話を聞いて的確なアドバイスができる能力が必要になります。
コミュニケーション能力もある程度必要になります。
女性の活躍について
建設業は、やはり男性率が高い業種です。
しかし、最近は人手不足かつ女性従業員の重要性も上がってきており、女性を積極採用している企業も増えてきています。
建築設備士の資格をもっていれば建築士にも昇格できますし、資格が必要な職種であるため待遇もしっかりしているところが多いです。
求人を探す際は、女性を積極採用しているか、子供が欲しいと考えている場合は産休・育休実績があるか、女性従業員が在席しているかを確認しましょう。
実際に行われていると、形だけではないため就職後のギャップも少なく済むと思います。
気になる部分!将来性はあるのか
建築設備士は業務独占資格ではないので、その資格を有していなくても建築士へのアドバイスは行えてしまいます。
また、建築設備士の設置は義務ではないので、将来性があるのか不安ですよね。
しかし、上記でも言ったように、建築設備が複雑化していること、建物の安全性が以前より重要視されていることから、建築設備士の存在は今後も必要になってきます。
そのため、将来性はあると言えます。
その他の将来性があると言える理由は、
- 省エネ化の重要性が上がっている
- 改修工事の需要
の2つです。
省エネ化の重要性が上がっている
2022年8月に節電養生が出たように、国が省エネを推進しています。
省エネは光熱費を削減することにも繋がるため、最近特に重要視されるようになっています。
建築設備士は省エネや環境に関する知識も持っているため、建設物の省エネ化を行うにあたり重要な存在になります。
設備計画の段階から省エネを考慮したアドバイスを行えるため、建設の初期段階から関わっていけます。
省エネ住宅の需要が増えている今、建築設備士の需要も上がってきているのです。
改修工事の需要
古い建物を改修する際も建築設備士の知識が活躍します。
改修にあたり、古くなっている部分や破損部分をただ直すだけでは、またすぐに壊れてしまってもおかしくないですよね。
建物の改修は、設備の改修が重要になります。
今までよりも強固な設備にすることで、今までよりも機能がアップするだけでなく長持ちするようになるのです。
建築設備士は運用実績等を分析し、機能向上や省エネ化できるような改修工事の提案を行えます。
建築設備士の知識を使うことで、より長く利用できる建物になるのです。

このように、建物に関する様々な知識を持つ建築設備士は、今後の建設業界に必要不可欠な存在となることでしょう。
まとめ
今回の内容をまとめると、
- 建築設備士は、様々な知識を持ち、建築士に対してアドバイスを行う仕事
- 資格が必要で、建築士への第一歩となるもの
- 年収は500万~800万円
- 将来性はある
このようになります。
建築設備士は建物造りのサポートを行えるため、「安全性のある建物建設を、自分の知識を使ってサポートしたい!」という方はぜひ目指してみてください。
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