建設リサイクル法というものを知っていますか?
廃材についての法律ですが、工事によっては国に届出が必要な場合もあります。
今回は、建設リサイクル法の説明や対象工事、届け出の手続き方法などを説明していこうと思います。
建設リサイクル法とは
建設リサイクル法の正式名称は「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」で、2000年に制定され2002年5月30日に施行されました。
建設リサイクル法では、特定建設資材を用いた建物の解体工事または特定建設資材を使用する新築工事で一定基準を超える建設工事に対して、その受注者に対し分別解体および資源化をすることを義務付けています。
対象の建設工事を行う際は、工事着手の7日前までに発注者が都道府県知事に対して分別解体等の計画等を届け出る必要があります。
加えて、対象工事の請負契約締結の際は、解体工事に関する費用や再資源化に必要な費用を明記する必要があります。
建設リサイクル法が施行された背景
建設リサイクル法ができる前は、廃材が出ても分別することなく全てまとめて解体を行っていました。
しかし、年々廃棄物の発生量が増大したことで最終処理場がひっ迫してしまい、廃棄物を不適切に処理するなどの問題も発生するようになりました。
建設工事によって廃棄される建設廃棄物は、令和3年度で産業廃棄物全体の約2割を占め、不法投棄量の約4割を占めているそうです。
今後も建設廃棄物の量が増えていくことを懸念し、解決策として廃棄物の再資源化を行って建設廃棄物を減らしていくことを目的に、「建設リサイクル法」が施行されました。
対象となる資材・工事はどんなもの?
建設リサイクル法の対象となる資材と工事内容を見ていきましょう。
特定建設資材
- コンクリート
- コンクリートと鉄からなる建設資材(鉄筋コンクリート2次製品・PCコンクリート2次製品など有筋のコンクリート2次製品)
- 木材
- アスファルト・コンクリート
対象工事
建築物の解体工事:床面積の合計80㎡以上
建築物の新築・増築工事:床面積の合計500㎡以上
建築物の修繕・模様替え等工事(リフォーム等):請負代金の合計額が1億円以上
建築物以外の工作物の工事(土木工事等):請負代金の合計額が500万円以上
上記に当てはまる工事・解体を行う場合、発注者および自主施行者は都道府県知事への届出が義務付けられるので覚えておきましょう。
届け出の手続き方法について
都道府県知事に届出を行う際に必要な書類や手続きの流れを紹介していきます。
今後届出を出す際の参考にしてください。
必要な書類
- 届出書
- 分別解体等の計画書(工事の種類により様式が異なるので注意)
- 工程表
- 設計図または写真
- 新築・新設または増築等の場合:各階の平面図または工事平面図
- 解体工事の場合:2面以上の現況写真
- 工事場所を示した案内図
- 委任状(代理人が提出する場合)
手続きの流れ
➀受注者から発注者への説明
受注者(元請け業者)は、発注者に対して建築物の構造、工事着手時期、分別解体等の計画についての書面を渡して内容を説明します。
ここで、発注者は分別解体や特定建設資材廃棄物の再資源化にかかる費用を適正に負担する必要があります。
➁契約
説明を行った上でお互いに納得すれば、契約を行います。
その時、下記の内容を盛り込んだ契約を行います。
- 分別解体等の方法
- 解体工事に要する費用
- 再資源化等をするための施設の名称及び所在地
- 再資源化等に要する費用
③事前届出
発注者または自主施行者は、工事に着手する7日前までに都道府県知事に届出書を提出します。
提出は原則窓口提出ですが、やむを得ない場合は郵送や宅配便でも提出できるようです。
④告知
受注者は、下請契約業者に対して都道府県知事に対象建設工事の届出事項を告知した上で契約を結びます。
⑤工事・再資源化の実施
工事を行い、再資源化も実施します。
⑥完了報告
受注者は、再資源化等の完了の確認および発注者への報告をするとともに、再資源化等に関する記録を作成・保存します。
この時、発注者は必ず報告を受けるようにしてください。
届出を出し忘れてしまったらどうなる!?
届出を出すのを忘れてしまった場合、20万円以下の罰金が科せられてしまいます。
ただし、届出をし忘れてすぐに罰則が適用されるわけでなはなく、一度役所から通達が来るようになっています。
通達に従わないと是正勧告(違反事項の改善を求める警告のようなもの)に切り替わり、それにも従わないと罰則が適用されます。
そのため、届出を忘れたことに気づいてすぐに提出すれば基本的に罰金は払わなくて大丈夫です。
しかし、国に対して悪い印象を与えることにもなるので、必ず期限までに届出を提出するようにしましょう。

気になるみんなの疑問
建設リサイクル法について、みんなが気になる疑問を解決していきたいと思います。
Q1:後から建設リサイクル法の対象建物となった場合は届出を出す必要がある?
A:リサイクル法の対象建築物となることが分かった時点、または特定建設資材の使用が判明した時点で速やかに届出を出す必要があります。
この際、工事を中止する必要はありません。
Q2:基準を超えていなくても石綿(アスベスト)が入っていたら届出を出す必要がある?
A:建設リサイクル法と石綿の関係はないので、対象工事でなければ届出を出す必要はありません。
しかし、解体時に石綿が発生する場合は「特定粉じん排出等作業の届出」など、他のものを提出する必要があります。
こちらの届出は作業開始の14日前までに提出が必要で、届出を行わなかった場合は3カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるので注意してください。
Q3:フェンスやブロックも建築物に該当するのか
A:建物本体に付属するものは建築物となりますが、建物本体に付属していないものは建築物以外の工作物に区分されます。
Q4:届出の「工事着工日7日前」というのは、土日祝日を含んでいる?
A:市区町村によって考えが異なります。
詳しくは所属している市区町村のホームページをご覧ください。
土日祝を除く場合、2,3日早く提出する必要があるので注意してください。
まとめ
建設リサイクル法の届出は、建築廃棄物を適切に処理して不法投棄や違反処理をなくすために必要です。
これは今注目されているSDGsにも関係してきます。
地球環境をよりよくするために、建設リサイクル法を正しく理解して適切な工事を行いましょう!
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