コロナウイルスの拡大により、世界的にテレワークが増えていますね。
しかし、いまだにテレワークが導入できない職種もあります。
建設業もその一つです。
しかし、建設業のような現場にいかなければ無理な仕事でも、業務によってはテレワークが可能な場合もあります。
一部だけでもテレワーク対応にすることで、従業員の負担を減らすことができるでしょう。
さっそく、建設業のテレワークについて見ていきましょう!
建設業のテレワーク導入率
2021年5月に東京商工会議所が実施したテレワーク実施率調査において、建設業の実施率は35.9%でした。
去年の調査では41.0%だったので、5%以上低下してしまっています。
やはり現場作業が多い業種のため、テレワークで仕事を行うのは困難なのでしょうか。
また、建設業は年齢層が高いため、インターネットやITツールに疎いのもテレワークが進まない原因の一つといえます。
建設業でテレワークを取り入れるメリット
建設業は現場仕事なので、「テレワークの実施は業務を妨げる」と考えている人も多いのかもしれません。
しかし、テレワークを行うことのメリットもあります。
IT化の促進
テレワークを行うには、チャットツールや業務効率化ツールなどを導入し、遠隔でも作業を行える環境を作る必要があります。
建設業はまだまだアナログなので、テレワークをきっかけにIT化を促進して生産性を上げていく必要があります。
テレワークはその第一歩になり得るのです。
生産性アップ
テレワークを行うことで現場や事務所に行かなくても作業が完結できるようになるため、時間のロスがなくなり生産性がアップします。
また、周りの音などに気を取られず自分だけが集中できる環境で仕事を行うことができます。
ワークライフバランスが取れるようになる
子育てや介護がはいってくると、どうしても出社するのが難しくなり離職に繋がるケースも少なくありません。
テレワークを導入すれば、そういった従業員も家で介護や育児をしながら働くことができます。
ワークライフバランスが取れることで離職率が低下し、従業員満足度もアップします。
企業のアピールポイントになる
上記でお伝えしたように、建設業でテレワークを実施している企業は少ないです。
そのため、テレワークを導入することで企業のアピールポイントになります。
最近はワークライフバランスを重要視する人が増えているため、テレワークが行えると応募者も増えることでしょう。
人手不足の建設業にとっては応募者が増えるのは嬉しいことですよね!
建設業でテレワークを取り入れる手順
では、建設業でテレワークを取り入れるための手順は以下のとおりです。
- テレワークが可能な業務を洗い出す
- ノートパソコンやセキュリティ環境を整える
- 必要なツールを導入する
- まずは週1など段階的に実施する
- フルリモートの場合は1on1などコミュニケーションをとる機会を作る
- テレワークができない従業員の理解を得る→テレワークしている人のルールや成果を社内共有する
- 時短勤務など会社勤務の人も使える制度を導入する
手順を1つずつ詳しく説明していこうと思います。
テレワークが可能な業務を洗い出す
まず、テレワークができる業務は何かを洗い出しテレワーク導入の基盤を作ります。
建設業では現場にいかないとできない作業と、パソコンを使って事務所で行う作業に分かれています。
事務作業や経理、CADでの設計業務など、パソコンを使ってできるものはテレワークでも作業ができるので、それらをテレワークの対象としましょう。
ノートパソコンやセキュリティ環境を整える
自宅で仕事をするためには、ノートパソコンやプリンターが必要になります。
テレワークを始める前に、周辺機器を揃えましょう。
また、事務所の外部でデータを取り扱う場合はセキュリティ対策も重要です。
外部から会社のデータを安全に見るために、VPNを導入しましょう!
「VPNってなに?」という方は、下の記事で詳しく解説しているのでよんでみてください♪

必要なツールを導入する
テレワークでは、事務所とは離れた場所にいる人と連絡をとったりデータ共有をする必要があります。
メールやLINEでもやりとりはできますが、「プライベートと仕事は分けたい」という人も多いと思うので、ビジネス用のツールを導入しましょう!
- ビジネスチャットツール
- Web会議ツール
- 施工管理アプリ
- 電子契約サービス
チャットツールやweb会議ツールを導入することで、テレワーク中の従業員ともスムーズなコミュニケーションが可能です。
また、施工管理アプリや電子契約サービスの利用で経理や契約の作業がもっと楽になります。
チャットツール・web会議ツールは無料で利用できるものが多いので、ぜひ今から導入してください。
チャットツールの中ではチャットワークがおすすめです。
以下の記事で詳しく紹介しているので見てみてください!

助成金も積極的に使おう♪
テレワークの導入を推進するため、助成金・補助金が用意されています。
テレワークを実施する際はぜひこの助成金・補助金を活用しましょう。
IT導入補助金
中小企業や小規模企業のITツール導入を支援する補助金制度。
2022年度は、
- クラウド利用料
- 会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト等
- PC・タブレット・レジ・券売機等の購入
- 複数社連携IT導入類型の創設
なども新しく対象に加えられるようです。
会計ソフトや受注ソフトの補助率も引き上げられるなど、2021年までとは変更点があります。
まだ詳しくは発表されていないので、公式ページを随時ご確認ください。
人材確保等支援助成金(テレワークコース)
テレワークを導入・実施することで、労働者の人材確保や雇用管理改善などの効果を上げた中小企業に支援される助成金。
2021年12月の改正により、テレワークを新規で導入する事業主に加えて「試行的に導入しているまたは試行的に導入していた事業主」も対象になるそうです。
支給対象となるのは
- 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
- 外部専門家によるコンサルティング
- テレワーク用通信機器等の導入・運用
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修
- テレワーク用サービス利用料
【受給額】
機器等導入助成:1企業あたり支給対象となる経費の30%
目標達成助成;1企業あたり支給対象となる経費の20%
こちらの助成金は期限が決まっていませんが、応募が多いと打ち切られる可能性があるので早めに申請しましょう!
テレワーク促進助成金(東京都の取組)
テレワークの定着。促進に向け、都内中堅・中小企業等のテレワーク機器・ソフト等のテレワーク環境設備に係る経費を助成するもの。
【対象者】
常時雇用する労働者が2人以上999人以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業
都が実施する「2020年TDM推進プロジェクト」に参加していること(令和3年9月6日以降に申請する企業は不要)
都が実施する「テレワーク東京ルール実践企業宣言制度」に登録していること
【申請受付期間】
令和3年5月10日~令和4年2月28日まで
期間が迫っているので、早めに申し込みましょう!
ワークスタイル変革コンサルティング
こちらは助成金ではありませんが、都内企業のテレワーク導入、拡大を推進するために専門コンサルタントが訪問し、課題解決などの支援を無料で行ってくれるサービスです。
「テレワークを始めたいけど、どうしたらいいか分からない・・・」という企業は、ぜひご利用ください!
【対象】
都内の中堅・中小企業等
【コンサルティング内容】
- テレワーク導入プロセスの構築
- テレワーク適合業務の切り分け・可視化
- テレワーク導入に向けた電子化
- テレワークの定着支援
- テレワークの活用拡大
- テレワーク運用時の課題解決

国としてもテレワークを推奨しているため、テレワークを支援してくれる制度がたくさんあるので、積極的に使っていきましょう!
そうすることで、テレワーク導入までのハードルを大幅に下げることができますよ♪
建設業でテレワーク取り入れている企業事例
実際にテレワークを導入している企業の取り入れ方を知ることで、「自社でもできるかも!」と前向きな気持ちになれます。
ぜひ参考にしてください。
向洋電機土木株式会社
【事業内容】電気設備設計・施工
【従業員数】38名
建設業では人手不足と高齢化が進んでいるため、建設業の将来を考えテレワークを導入。
時間が自由に組みやすくなった、働く場所の選択肢が増えた、移動コストの削減や電気代のコストが大幅に下がったなどの様々なプラス効果により、生産性の向上に繋がりました。
働き方を選べる企業になったことで女性社員が増え、新しい人材が活躍してくれています。
また、テレワークを導入したことで、育児や介護などを抱える従業員がムリなく働けるようにもなっています。
株式会社村岡組
【事業内容】土木工事
【従業員数】39名
介護で出社が困難な従業員のことを考え在宅ワークを導入。
実際にテレワークをやってみると、会社で仕事をしなければいけないという固定観念がなくなったそうです。
介護をしながら仕事が続けられるという希望が持てているそうです。
今まで通勤に使っていた時間を他の作業に充てられますし、仕事時間を調整して介護や他の用事を日中に済ませるようになりました。
また、現場監督の働き方も見直しており、外部から作業人数や作業の進行状況を確認できるように進めているようです。
有限会社ループ
【事業内容】産業廃棄物の収集・運搬
【従業員数】91名
有限会社ループは、インフルエンザをきっかけにVPNを設置、その後サテライトオフィスの設置やグループチャットの導入など、従業員が働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
コロナが流行ってからは在宅勤務も開始しており、勤務場所によって勤務体系を分けているようです。
連絡はグループチャットを利用しており、チャットを使い始めてからは報告の時間が短縮されたり些細なことでも伝い合えるようになるなどそちらでもいい影響があったそうです。
テレワークの導入によって事務機能の分散化ができるようになり、売上がアップしました。
また、従業員の数に変化はないのに、残業時間が約10時間も減少しました。
八尾トーヨー住器株式会社
【事業内容】建築資材販売・ハウスクリーニング
【従業員数】142名
八尾トーヨー住器株式会社は、2014年から働き方改革に注力してきており、フリーアドレスなども導入しています。
コロナウイルスによる緊急事態宣言中は一部管理職を除く全社員の在宅勤務を実施し、解除後も出勤と在宅を約半分ずつ交代制で在宅勤務を行っているそうです。
テレワークの効果として、2019年度の残業時間が2017年度と比較して約6割減少。
出産や介護などによる離職もなくなり、新入社員も増加したそうです。
移動時間の削減はもちろんのこと、コロナ禍で実施したため感染者も0人に抑えられました。
テレワークは移動時間の削減だけでなく、残業の減少、離職者の減少などいろんなプラスの効果をもたらしてくれますね!
ある程度の資金と知識はいりますが、一度定着してしまえば後はプラスに働いていきます。
ウイルス感染の防止、残業時間の削減、離職者の減少、生産性向上、新しい人材の確保、どれか一つでもやりたいことがあるなら、今からテレワークの準備を進めましょう!!
まとめ
「建設業でテレワークは不可能」と諦めてしまってはいけません!
建設業でもテレワークを導入し、その効果を実感している企業はたくさんあります。
しかも大手だけではなく、中小企業でもテレワーク導入が進んできているのです。
- テレワークを行うメリットは生産性向上・離職率低下など盛りだくさん
- テレワーク導入には手順がある
- テレワークを支援する補助金がある
- 中小企業でも導入して効果が出ている
これらのことを踏まえて、建設業の明るい未来のために新しい取り組みをしていきましょう!
別記事で、建設業の大きな課題である長時間労働や人手不足を解決できるDXについて解説しています。
企業の現状を変えたい方、必見です。
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