昔に比べたらどの業界でもパワハラは減ってきていますが、建設業はまだまだ行われているようです。
なぜ建設業はパワハラが横行してしまうのか、パワハラを防止するためにはどんなことをすればいいのかを知って、「建設業ではパワハラが当たり前」という悪いイメージを払拭しましょう!
なぜ建設業ではパワハラが多いのか
なぜ建設業は他業種よりパワハラが多いと言われているのでしょうか。
理由はいつくかあります。
- 危険を伴う仕事内容
- 閉鎖的な仕事環境
- 男社会
- 教育方法が定められていない
ひとつずつ見ていきましょう。
危険を伴う仕事内容
建設業では、高所での作業が多く資材など重いものを運びます。
誤ってものを落としたりバランスを崩したりした時、咄嗟の行動で大声で怒鳴りつけてしまうことが多く、過剰な叱責をしてしまうと受け手によってはパワハラと感じることがあるのです。
閉鎖的な仕事環境
現場の人間は現場の中での人間関係が主なので、閉鎖的になりやすいのです。
また、建設業はもくもくと作業を行う職人気質の人が多く、他業種と比べるとコミュニケーションをそこまで重視していません。
コミュニケーション不足も相まってパワハラが横行しやすいのです。
男社会
建設業はまだまだ男性の割合が多いです。
職人気質の人たちが集まる現場では年功序列が当たり前となっており、若手に対して横柄な態度をとる職人もいるのです。
ひどくなるとパワハラを超えていじめに発展しかねません。
教育方法が定められていない
企業には若手の教育マニュアルなどがあり、それに沿って研修を組んだり教育を行っていくことが一般的です。
しかし、建設業ではそのようなマニュアルはおろか新人の教育に対する知識を十分に伝授していないところが多いです。
そのため、教育方法は社員によって異なり、教育という名のパワハラが発生する可能性が高いのです。
どんな行為がパワハラにあたるのか
パワハラと判断される行為はどういったものなのか、パワハラの種類を把握していきましょう。
身体的な攻撃
相手の体に危害を加えるのが身体的な攻撃型のパワハラです。
相手を殴ったり蹴ったりするのはもちろん、モノを投げつけるのもこれに該当します。
柔らかいものを投げつけたりタバコの火を近づけるなど、怪我をしない程度のものでも身体的な攻撃になります。
精神的な攻撃
相手を精神的に追い詰める行動は、精神的な攻撃型のパワハラになります。
長時間怒鳴りつける、「役立たず」「辞めろ」などの暴言を吐く、人がいる前で大声で叱責するなど、相手が精神的にダメージを受けるようにわざとひどい言葉を浴びせることはパワハラに該当します。
人間関係から孤立させる
周囲に特定の人物を無視するように言ったり、社内行事に参加させなかったりと周囲から孤立するように仕組むこともパワハラの一つです。
過大な要求
相手の能力以上の仕事を与えることは過大な要求型のパワハラです。
相手が資格を持っていない仕事を与えたり、こなせない量の仕事を与えることで仕事の遂行を妨害しています。
さらに、与えた仕事をこなせなかったことで暴言を吐いたり暴力をふるうことは攻撃型パワハラも行われているため重大な問題です。
過少な要求
相手の能力より劣った仕事を任せることは、過小な要求型のパワハラです。
誰でもできるような雑務しか与えなかったり、職務と関係のない仕事をさせるなどが該当します。
個の侵害
相手のプライバシーを侵害することは、個の侵害型のパワハラになります。
家族や人間関係のことをしつこく聞いたりプライベートを監視する、有給休暇の内容をしつこく聞くのも該当します。
同性間であっても、プライバシーに必要以上に踏み込むことは立派なパワハラなのです。
パワハラの判断基準
厚生労働省が提示しているパワーハラスメントの定義は、
- ➀優越的な関係を背景とした言動
- ➁業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
- ➂労働者の就業環境が侵されるもの
とし、3つの要素を全て満たすものが該当するとしています。
➀の優位的な関係とは、
- 目上の立場
- 同僚であっても知識が豊富で協力を得ないと業務ができない人
- 同僚や部下であっても集団で行動しなければいけない人
➁の業務上必要かつ相当な範囲を超えたものとは、
- 業務に関係のない言動
- 業務遂行の手段として不適切な言動
- 相手を攻撃するためだけに発せられる言葉 など
➂就業環境が侵されるとは、
-
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- 言動により相手の体や心に苦痛を与えられ、就業場所で働ききにくくなり十分な能力が発揮できなくなるような支障が生じることを言います。
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たとえ一度きりであっても、それが身体的・精神的に強い苦痛を感じるもので合った場合は「就業環境が侵されている」に該当します。
さらに、会社に出勤することが苦痛になった場合はもっと重大な問題に発展します。
建設業ではハラスメントに対する取り組みが他業種より遅れている
令和2年度に行われた、厚生労働省による「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、建設業のハラスメント対策はあまり進んでいないようです。
尚、建設業ではパワハラだけでなくセクハラ、妊娠・出産・育児休業・介護休業等のハラスメントに対する取り組み割合も他業種より低いことが分かりました。
また、顧客等からの著しい迷惑行為に関する取り組みの割合も、他業種より低いそうです。
このように、建設業ではパワハラをはじめハラスメントに対する危機意識が低く、取り組みを積極的に行っている企業は少ないことが分かります。
ハラスメントに対する感覚が鈍いことも、パワハラが発生する一つの原因となっているのです。
危機意識をもって対策していくことがまず重要になってきます!
今すぐ行動しよう!パワハラ対策6選
それでは、パワハラをン防止するためにはどんなことをしていけばいいのか知っていきましょう。
パワハラの重要性を理解する
まずは、パワハラがいかにひどい行為であるかということを経営者が理解し、社内に周知することが大切です。
パワハラを受け続けることで大切な従業員がうつ病になったり社会復帰できなくなったら、人の人生を狂わせることに繋がります。
そんなことが起きたら、企業の管理不足として周囲からの信頼度低下に繋がります。
パワハラが横行している企業は雰囲気も悪いので、新しい人材が確保できなくなるでしょう。
管理職向けのパワハラ研修というものもあるので、ぜひ参加して理解度を上げましょう。
規則を作る
パワハラに関するルール、規則を作り、どういうことがパワハラに該当するのかを具体的に提示し、従業員に意識させましょう。
加えてパワハラを行った従業員への罰則を作ることで、「パワハラをしたら罰を受けなければいけない」という危機感を持たせることができ、パワハラに対する意識をより強めることに繋がります。
従業員もパワハラ研修に活かせることで理解度をさらに深めるのもおすすめです。
社員教育を行う
新人への教育方法をマニュアル化したり、教育方法を伝授することで全ての新人に平等な指導ができます。
教育担当の負担も軽減されるので、余裕を持って教育を行うことができるでしょう。
1on1ミーティングを行う
定期的に1対1のミーティングを行い、ストレスに感じていることや仕事、人間関係の悩みなどを引き出しましょう。
1on1ミーティングの際は、上司は部下の話を聞くのに徹底し、理解を示すようにしましょう。
そうすることで、従業員のストレスの原因を見つけたりトラブル回避に繋がります。
現場の管理を徹底する
現場が管理されていないとパワハラの発生リスクが増加します。
現場には管理者をしっかり配置し、常に人の目があるようにしましょう。
パワハラを止めることができる目上の人がいるだけで、現場の雰囲気も安定するでしょう。
管理がしっかりしていることで、事故やトラブルを未然に防ぐことにも繋がります。
相談窓口を設ける
社内に相談窓口を設けるのも一つの手です。
相談窓口があることで、万が一パワハラを受けても打ち明ける場所があるので被害者も我慢しなくて済みます。
しかし、相談したのにも関わらず取り合ってくれなかったり、パワハラがやまなかったりしたら意味がありません。
相談窓口が正しく機能するよう、相談者の個人情報や相談内容を他者に漏らさないことを徹底し、相談内容は必ず解決できるよう解決能力のある部署に繋いだり、弁護士に話したりと、徹底した対応を行えることが重要です。
パワハラ防止法について
2019年5月、パワハラを防止するための雇用管理措置が企業に義務付けられ、2022年4月からは中小企業に対しても施行されています。
パワーハラスメントを防止するために企業が行うべき措置とは、
事業主の方針等の明確化および周知啓発
|
➀職場におけるパワハラの内容、パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発する
➁行為者に対して、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等に規定し、労働者に周知・啓発する |
相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備
|
➂相談窓口を予め設け、労働者に周知する
➃相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ適切に対応できるようにする |
職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応 | ➄事後関係を迅速かつ正確に判断する
➅速やかに被害者に対する配慮のための措置を適切に行う ➆事実関係の確認後、行為者に対する措置を適切に行う ➇再発防止に向けた措置を講ずる(事実確認ができなかった場合も含む) |
併せて行うべき措置 | ➈相談者・行為者等のプライバシーを保護するための措置を行い、その旨を労働者に周知する
➉相談したこと等を理由として解雇などの不利益対応をされない旨を定め、労働者に周知・啓発する |
パワハラ防止法において罰則規則はありません。
しかし、パワハラが発覚した場合に厚生労働省から勧告を受ける可能性はあります。
勧告時にしっかり対応を行わないと、パワハラの事実と社名を交渉される恐れがあります。
罰則がないからといってパワハラ対策を行わないことは、従業員の労働環境を脅かすことになります。
従業員が次々にやめていったりSNSで告発される場合もあるので、絶対にパワハラ対策を怠らないようにしましょう!
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パワハラを含めたハラスメントは、人の人生を狂わせるだけでなく企業としての価値も落ちます。
パワハラ対策を徹底し、従業員がきもちよく働ける環境を整えましょう。
建設業界全体がそのような動きを行えば、業界も盛り上がり人手不足も解消されていくことでしょう。
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