「自分の家を建てたい!」と思った時、依頼先として思い浮かぶのは工務店という方も多いのではないでしょうか。
工務店と混合されがちなのがハウスメーカーやビルダーと呼ばれるものですが、一体どのような違いがあるのでしょう。
工務店で依頼する際の選び方なども紹介していこうと思います。
工務店とは
工務店とは、地域密着型で供給棟数が年間30棟以下の会社のことを言います。
注文住宅をメインに受けており、一棟一棟オーダーメイドで造っている会社が多いです。
ハウスメーカーとの違い
ハウスメーカーは、日本全国に拠点があり供給棟数が年間数千~数万棟ある大規模な会社のことをいいます。
独自の商品を持っているため、注文住宅より規格住宅を多く取り扱っています。
店舗が多いため対応エリアが広いというメリットがあります。
独自の研究機関や工場を持っているのも特徴です。
ビルダーとの違い
工務店とハウスメーカーの中間的規模で、1~3都道府県の狭いエリアに特化していて、供給棟数が年間30棟以上の会社のことをいいます。
全国展開はしていないけど、工務店よりは数が多いというイメージです。
ハウスメーカーのように独自の商品を持っている会社もあり、注文住宅メインのところと規格住宅メインのところどちらもあります。
地域でトップシェアを持っている会社も少なくないようです。
ハウスメーカー・ビルダーと比べると、工務店は小規模で注文住宅メインの会社となります。
規模は小さいですが、その分お客様に寄り添って世界に一つだけの素敵な住宅を建ててくれます。
次の項目では、工務店に依頼するメリット・デメリットを見ていきましょう。
工務店に依頼するメリット・デメリット
メリット
自由度が高い
工務店は注文住宅がメインで、注文を聞いて一から住宅を作り上げていきます。
ハウスメーカーのように既に設計図が作られているわけではないので、要望が通りやすく自由度が高いのです。
使用する設備や建材も融通が利きやすいと思います。
住宅設備に対してこだわりがあり、世界に一つだけのマイホームを建てたいという方は工務店がおすすめです。
コストパフォーマンスが高い
ハウスメーカーなどの全国展開している会社のように広告宣伝費がかかっていません。
そのため、その分の費用を抑えることができます。
かかるのは住宅の費用なので、ハウスメーカーなどで同じ注文をするよりも圧倒的に安く済みます。
注文住宅でのコストパフォーマンスの高さは工務店が一番でしょう。
地域の風土や環境にあった住宅を建てられる
工務店は地域密着型のお店が多いので、その土地の風土や周りの環境を熟知しています。
その地域にあった住宅造りをしてくれるので、安心して任せることができます。
トラブル時の対応が早い
工務店は地域密着型のところが多いので、地域からの信頼が重要になってきます。
そのため、万が一トラブルが発生した際は早急に対応してくれるところが多いようです。
デメリット
品質にばらつきがある
工務店の住宅は受注生産であり、ハウスメーカーのように自社工場で資材が作られているわけではないので、品質にばらつきがあります。
選ぶ工務店によって技術力が異なるので、しっかり比較する必要があります。
工期が長い
工務店は注文住宅がメインであり、規模も小さく自社工場もないため、ハウスメーカーやビルダーよりも工期が長くなりやすいです。
短い期間で建ててほしいという場合は、ハウスメーカーで規格住宅を依頼した方がいいでしょう。
工期のことを考え、早めに行動し始めるようにしましょう。
展示場がない
注文住宅がメインで独自の商品がないため、展示場がない会社が多いです。
建てている住宅の雰囲気を見て決めたい場合は、過去の施工事例などを参考にしてください。
実際に展示場で見たい場合は、ハウスメーカーやビルダーの方が展示場を持っている会社が多いです。
工務店には種類は4つある!
実は工務店には種類があります。
一口に工務店といってもそれぞれの特徴があるので、種類の違いを知っていきましょう。
独立自営型
営業から設計、施工まで自社で行っている工務店のことです。
設計は設計事務所に依頼しているところもあるようです。
工務店の中では比較的従業員数が多く、独自の工法を展開している会社もあります。
対応できるエリアが広く、保証や融資の相談もしやすいのが特徴です。
フランチャイズ型
フランチャイズ展開している会社の加盟店として施工依頼を受ける工務店のことです。
加盟店になるには契約料やロイヤリティを支払う必要がありますが、フランチャイズ本部の技術やノウハウを学ぶことができるので、市場競争力を高めることができます。
建材も低コストで仕入れられるため、ハウスメーカーのように安定した品質を提供できます。
地域密着型
その名の通り地域との関りが深く、家族などの少数で経営している工務店のことです。
規模が小さく営業から施工まで自社で行っている場合が多く、施工のみに特化した工務店もあります。
地域の特性をよく理解しているので、風土や環境に合った構造やデザインを手掛けてくれて安心です。
紹介での依頼をメインにしているところもあるので、依頼前によく確認しましょう。
下請け型
ハウスメーカーや分譲住宅の施工に特化している工務店のことです。
施主と直接契約することはなく、ハウスメーカーからの依頼や紹介を受けての契約がメインです。
ハウスメーカーの設計に基づいて進めるので自由度は低いですが、高品質の住宅を建てられます。

直接頼める工務店は上記3つなので覚えておきましょう。
それぞれの特徴を比較して、自分の希望にあう工務店を見つけてください。
悩んでいる人必見!工務店の選び方
「種類があるのは分かったけど、それ以外の選び方も知りたい」という方も多いと思います。
家は大きな買い物ですし、工務店選びを失敗しないためにもここで選び方を知ってきましょう。
建設地の近くに会社があるか
家を建てる場所の近くにある工務店を選びましょう。
というのも、工務店は地域に根付いているところが多いので、管轄のエリアで施工をお願いすれば評判のことを考えて丁寧に対応してくれる傾向にあるようです。
地域住民の信頼が重要になる分、雑な仕事をしなくなるというのは納得ですね。
また、トラブルが発生した際も近くなので対応が早いというメリットもあります。
経営状況は安定しているか
工務店の経営状況も確認する必要があります。
家づくりは長期間かかるので、万が一途中で倒産してしまうと家が完成できなかったりアフターサービスを受けられなかったりとリスクが大きいのです。
施工数が多いほど経営状況が安定していると言えるので、年間施工数を確認してください。
実績がどのくらいあるか
どのくらいの施工数があり、どんな家を建てているのか確認してください。
実績はその会社の信頼度に繋がりますし、どんな家を作るのが得意なのかも確認できるので、マイホームを建てる際に参考になります。
美容院を選ぶ時のように、自分が実現したいデザインができるかどうかを実績で確認してから依頼しましょう。
自社施工か
工務店の中には、施工作業を下請けに丸投げしているところもあります。
施行も自社で行っている方が技術力がある証明になりますし、最後まで責任を持って施工してくれるでしょう。
自社施工でないとトラブル時にもちゃんと対応してくれるか不安ですので、そこはしっかりと確認しましょう。
プランの提案力が高いか
こちらの要望をしっかり聞いて、それを反映したプラン提案をしてくれるかも重要な部分です。
注文住宅は施主の意見を取り入れたものでなければ意味がないのに、要望を頭ごなしに否定したり要望に沿わない提案をしてきたりする工務店は避けるようにしましょう。
実現が難しい場合は代替案を出してくれるなど、臨機応変に対応してくれるかどうかを見極めてください。
コミュニケーションが取りやすいか
家づくりは長い期間がかかるため、その間その会社の担当者と二人三脚でコミュニケーションを取っていく必要があります。
最初に会った時に違和感や話がしづらいと感じたら、そこはやめた方がいいです。
口コミは高評価が多いか
今はネット上で実際に利用した人の口コミを見ることができるので便利ですよね。
口コミはやらせや嫌がらせで書き込みをしている人もいるので全てを信じ切るのはよくありません。
しかし、そのお店の雰囲気や対応などを知ることができるので、参考にすることをおすすめします。
家を建てるまでの流れ
ここでは、家を建てるまでの一般的な流れを紹介していきます。
流れを知ることで、家を建てるのにどのくらいの工数がかかるのかを把握できるので、スケジュールを立てやすくなります。
ぜひ参考にしてください。
➀マイホームのイメージ作り
まずはどんな家に住みたいか、どんなデザインがいいかなど家の内装だけでなく周辺の環境など、イメージ作りをしましょう。
最初に理想の家をイメージして文字におこしておくことで、工務店との打ち合わせもスムーズに進むのでおすすめです。
➁予算を立てる
家を建てる際にかかるのは、主に土地代・住宅に対する費用・その他費用(引っ越しや家具代など)です。
土地代は場所によりますし住宅費用もプランによって変動があるので、大まかに決めておいて土地や家のプランが決まってから費用を調整していくのがいいでしょう。
③土地探しと環境調査をする
イメージ作りで具体的にした周辺環境をヒントに、理想にあった土地を探しましょう。
自分で探すのは難しいので、不動産会社に相談してください。
土地の希望を聞いてそれに沿った土地を紹介してくれます。
土地が見つかったら、敷地調査と地盤調査を行います。
その土地の法令規制に沿った建築をするための調査や、地盤がしっかりしているかを調査します。
安心して長く住める家を建てるために必要不可欠な作業なのです。
④工務店を探す
上記の選び方を参考に、要望にあった注文ができる工務店を探します。
ネットで探すのが便利ですが、建設地の周辺を見て回って自分の足で信頼できそうな工務店を探すのもおすすめです。
ネットでの宣伝をしていない会社は、その分広告費がかかっていないので費用を抑えられる可能性もあります。
⑤住宅ローンの事前審査を受ける
住宅ローンを利用する場合は、ここで事前審査を通しておきましょう。
住宅ローンには事前審査と本審査の2段階に分かれていて、本審査は工事請負契約後に通すことができます。
事前審査は一般的に2日~1週間程度で結果が出るので、早めに受けておくとスムーズに本審査に進むことができます。
⑥見積もりをとる
工務店を何社かに絞ったら、それぞれで見積もりをとって比較します。
予算とかかる費用の差を比較するのはもちろん、対応の速さやコミュニケーションの取りやすさなど、会社としての印象も比較してください。
注文住宅は分譲とは違い一からオリジナルの住宅を造るため実際に会って打ち合わせをすることが多いと思います。
いくつも行くのは大変ですが、1~2回打ち合わせをすればマイホームの全貌が明確になるので、打ち合わせもスムーズに進むようになると思います。
面倒くさいからといって比較せずに依頼してしまうと損をする可能性があるので、比較することをおすすめします。
⑦1社に決めて契約する
見積もりや会社の雰囲気を比較し、最終的に一社に決めます。
気になる部分を聞くなど細かい部分の情報共有を行ってプランを決めたら、いよいよ契約です。
工事請負契約と設計監理契約を結びます。
⑦住宅ローンの本審査を受ける
契約が完了したら、住宅ローンの本審査を受けます。
本審査は一般的に1~2週間、長くて3週間かかるので、契約後なるべく早めに審査を通しましょう。
借入希望額が多い、自営業など収入が不安定などの理由があると審査に時間がかかるので注意してください。
⑧設計の打ち合わせ
要望や契約したプランを基に設計士が設計図を書きます。
打ち合わせを繰り返しながら設計図を完成させていきます。
⑨施工開始
設計図を基に住宅を建てていきます。
基礎工事・上棟・内装工事・設備工事といった流れで家が完成していきます。
施主は現場に訪れて構造部分を確認したり、気になる箇所などを確認したりすることができます。
そういう目的でなくても、自分の家が出来上がっていくのを見るのは楽しいと思うので、頻繁に足を運ぶ人もいるようです。
現場を見に行く際は、大工さんたちに差し入れをもっていくと印象もいいですし足を運びやすくなるのでおすすめです。
「差し入れって何を持っていけばいいの?」「渡すタイミングは?」など疑問がある人もいると思うので、一緒にこちらの記事をお読みください♪
喜ばれる差し入れ、逆にもらうと困る差し入れも紹介しているので、参考になると思います。
⑩工事完了、引き渡し
家が完成したら、いよいよ引き渡しです。
完成後は検査担当員が家の仕様・汚れ・傷などを確認し、そのあと施主と一緒に気になる部分はないか確認します。
引き渡し書類にサインをしてしまうと、その後気になる点や傷・汚れを見つけてもすぐに対応してもらえない可能性があります。
サインする前に入念に確認し、納得した状態でサインしてください。

マイホームが建つまでにかかる期間はおよそ8カ月~15カ月と長期間です。
土地探しに係る時間、設計プランの作成、希望のデザインや建物の大きさなどで変動するので一概には言えないので、
見積もり段階でこのプランだとどのくらいかかるかを確認しておいた方がいいでしょう。
まとめ
今回は工務店・ハウスメーカー・ビルダーの違いや工務店の特徴などを紹介しました。
マイホームは一生に一度の大きな買い物だと思うので、依頼する会社で失敗しないようによく比較検討してください!
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