どの会社でも、一定数クレームを受けることはあるでしょう。
しかし、建設業はクレーム発生率が高いです。
今回は、そんなクレームの種類と対応方法をご紹介します。
建設業はなぜクレーム産業と呼ばれるのか
建設業は、昔から「クレーム産業」と呼ばれていました。
なぜ建設業ではクレームが多いのでしょうか。
理由はいくつかあります。
- 完成するまでどのようになるのか分からない
- 多くの人が関わって作られている
- 高い費用を払っている
- 簡単に交換ができない
一つずつ見ていきましょう。
完成するまでどのようになるのか分からない
建設物は、出来上がるまでその完成図が分かりません。
そのため、依頼人である施主の完成イメージと実物が異なり、「思っていたのと違う!」とクレームに発展してしまうのです。
多くの人が関わって作られている
建設物は、多くの協力会社が関わり合いながら作られていきます。
基礎工事、足場工事、屋根工事、塗装など、それぞれの業者が存在しており、その人たちが協力して作り上げていくものなのです。
そのため、ミスが起こると工期が遅れてしまったり、ミスの発生率が高くなってしまうのです。
また、人の出入りが多く大型車などが来ることもあるため、近隣住民に迷惑をかける可能性も高まります。
高い費用を払っている
住宅を建てるには、住宅ローンを組むのが一般的であるほどお金がかかります。
それほどの大金をかけているのに妥協できる人は少ないと思います。
簡単に交換ができないからこそ、納得できない箇所を伝えてくる人が多いのでしょう。
施主とのトラブル回避は、事前のこまめな確認作業が大事になります。
街中で工事が行われる
建設物の大半は、街中で工事が行われます。
特に住宅建設の場合は人が多く住む場所での工事が当たり前ですよね。
建設物の作業で大きな音を立てずに工事をすることはほぼ不可能なので、騒音問題でクレームに繋がることがあります。

このような理由から、クレームに繋がってしまうことが多いのです。
仕事内容からしてこう言った原因を取り除くことは不可能ですよね・・・。
次は、クレームの種類を見ていきましょう。
クレームの種類
建設現場では、以下の4種類のクレームが起こりやすくなっています。
- ➀騒音・振動に対するクレーム
- ➁ホコリやごみに対するクレーム
- ➂作業員の態度に対するクレーム
- ➃仕上がりに対するクレーム
➀騒音・振動に対するクレーム
近隣住民からの騒音や振動に対するクレームです。
工事前に工事内容や騒音・振動に関する説明を行わないと、「聞いていない」とクレームになりやすいです。
また、最近はコロナ禍によりテレワークやお家時間を大切にする人が増えたため、人が家にいる時間が長くなっているのもあり、騒音や振動によるクレームが起こりやすくなっています。
事前説明を怠るとクレームに繋がりやすくなっているので注意しましょう。
➁ホコリやごみに対するクレーム
建設現場では、ホコリやごみが発生しやすくなっています。
家の周りがホコリや泥まみれだったり、ゴミが放置されていたら誰だって嫌ですよね。
このような態度は企業のイメージを落とすことになりかねないので、後片付けはしっかり行いましょう。
➂作業員の態度に対するクレーム
近隣住民が作業員を見かけることも多いため、現場作業員の態度もクレームに繋がりやすいです。
近所のコンビニでたむろっていたり、歩きたばこをしていたり、食事などで出たゴミをしっかり処理しなかったりなど、近隣の治安を悪くするような行動をとっているとクレームをつけられてしまいます。
近隣住民の気持ちを考えて、工事をする上でのマナーはきっちり守るようにしましょう。
➃仕上がりに対するクレーム
これは近隣住民ではなく、依頼した施主によるクレームです。
クレームが多い原因でも上げましたが、施主は高いお金を払っているため納得いかないとトラブルに生じる可能性が高いです。
施主の意見を尊重することを忘れず、事前に確認を取ってから施工を行うようにしましょう。
これで安心♪クレームへの対応方法
万が一クレームが発生してしまった場合、どのような行動をとればいいのか分かりませんよね。
しかし焦りは禁物です。
ここでクレームへの対応方法を知って、穏便に解決できるようにしましょう。
丁寧に対応する
まず、決してクレームを適当に流してはいけません。
面倒くさそうに、適当に対応してしまうと相手をもっと怒らせてしまい、もっと大きな問題に発展してしまい兼ねません。
企業のイメージも下がってしまい、口コミで悪いことを書かれる可能性も高いです。
クレームを受けた際は真摯に対応し、相手を刺激しない冷静な態度で臨みましょう。
相手の気持ちに寄り添う
クレームというのは怒りの感情があって初めて行われるものです。
クレーマーと呼ばれる理不尽なことで怒り出す人はたまにいますが、多くの人はよほどのことがなければ相手と対立するなんてしたくないはずです。
それでもクレームを言わなければいけない理由を考えましょう。
-
・怒り
・ストレス
・不安
・体の不調
・生活への悪い影響
など、工事により我慢できないほど生活が脅かされていると考えられます。
自分が逆の立場だったら、やはりクレームを入れるのではないでしょうか。
このように、相手がどんな気持ちでクレームを言っているのか考えれば、相手に寄り添って冷静な話し合いができると思います。
相手の意見をしっかり聞く
相手の感情を理解できたら、クレーム内容をしっかり確認しましょう。
何がクレームに繋がったのか、相手の生活にどんな影響を与えてしまっているのかなどをはっきりさせることでスムーズな対応が可能です。
クレーム内容を聞けたら、まずは謝罪をしましょう。
相手もこの時点で「しっかり話を聞いてくれる」と安心感を持ち、冷静になってくれると思います。
解決策を提示する
クレーム内容を聞き、どのような解決策を講じることができるかを考えましょう。
その際、一人で考えるのではなく他の作業員や管理者などの経験の多い人に相談することで、よりよい解決策を見つけ出すことができるでしょう。
根拠がないのに「なんとかします」や「騒音をなくします」など、不可能なことを伝えてしまうと、収束しかけたクレームが大きくなってしまうので、必ず妥協点を見つけて両者が納得いく形で解決するようにしてください。
社内で共有する
クレームが発生したら、その内容と相手の情報、解決策などを社内共有しましょう。
それらの情報を保管して、よくあるクレームはマニュアル化しておくことで、どの現場でも変わらない対応をすることができます。
クレームを対応した人も焦らずに済むので、作業員にとっても安心です。
未然に防ごう!建設業ができるクレーム防止方法
クレームは、起こる前に対策することができます。
その方法を紹介していきます。
工事前に近隣住民に説明する
近隣住民からのクレームは、工事前に事前に説明しておくことでほぼ防ぐことができます。
どのような工事
- 工事期間
- 工事敷地の規模
- 周囲への安全対策について
- 日照への影響
- 電波障害はあるか
- 騒音・振動で迷惑をかけるかもしれないというお詫び
- 騒音などが発生する時間帯
など、工事のことで近隣住民に関係あることを細かく説明しましょう。
説明が曖昧だと、「そんなこと言ってなかった!」などとクレームに繋がってしまうので、細かく説明することが重要です。
また、言った言わない問題に発展しないよう、文字として残すことも忘れないようにしましょう。
無許可で利用しない
大型車の駐車や道路の占用は許可が必要になります。
無断でそのようなことをする建設業はいないかと思いますが、万が一無許可で道路を使ってしまった場合は、罰則が発生しますのでご注意ください。
道路使用許可
工事などで道を通行止めするなど
罰則:三か月以下の懲役、または5万円以下の罰金
道路占用許可
ものを道路に設置し、継続的にその部分を使用するなど
罰則:1年以下の懲役、または50万円以下の罰金
時間帯を限定する
早朝や夜は多くの人が家にいるので、騒音問題に繋がりやすいやすいです。
その前に、騒音規制法によって住宅地や商業地での工事は午前7時~午後7時までと決められているため、その間しか工事を行うことができません。
工事の時間帯を変更することで、クレームの防止に繋げられることもあります。
万が一、工事の騒音や振動が著しく近隣住民の生活に悪影響を及ぼしていると判断された場合は、「改善勧告」や「改善命令」が出されるため、素直に従うようにしてください。
作業員の教育を行う
作業員の態度を改善するために、作業場所でのふるまい方をしっかり教育しておきましょう。
-
タバコは指定場所で吸うこと
自分が出したゴミはキレイに処理するまたは持ち帰ること
コンビニなどに長時間とどまらないこと
このような基本的なことを逐一伝えとくことで、作業員へのクレームはなくなると思います。
また、作業員が快適に休憩できるように仮設スペースを設けてそこでゆっくりできるようにするといいです。
現場の管理を徹底する
建設現場で埃やゴミが出てしまうのは仕方ないことです。
しかし、管理をしっかりすることで近隣住民に迷惑をかけないようにすることができます。
- 埃などが舞わないようにシートで養生する
- その日出したゴミはその日にしっかり処理する
- 付近の道が汚れてしまったら片づけて帰る
- 通行の邪魔になりそうな場所に道具や建機を置かない
など、工事の管理を行うだけでクレームは激減するでしょう。
ぜひこのような行動を心がけてください。
管理をしっかり行い、クレームゼロを目指そう!
クレームは発生させないことが一番重要です。
クレーム対策を万全に行い、万が一発生した時用にクレーム対応マニュアルを作成しておきましょう。
近隣住民と良好な関係を保ちつつ、安心して作業ができるように対策を行ってきましょう!
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