大工さんは建設業の中でも身近な職業だと思います。
しかし、実際に目指す場合はどのように進んでいけばいいのか、資格はいるのかなど分からないことも多いですよね。
そこで今回は、大工の仕事内容や必要な資格、年収などを紹介したいと思います。
大工とは
建築士が作成した設計図に従って建築物を建てる職業です。
屋根・床・天井・外壁など建物のさまざまな部分を手掛けるので、幅広いスキルが必要になります。
また、設計図を正確に読み取ってその通りに建材を加工して組み立てていく能力も必要になります。
仕事内容
大工の仕事内容は以下のものが多いです。
- 〇木材の加工
- 〇建材の組み立て
- 〇事務作業
詳しく見ていきましょう。
木材の加工
建物に使う木材を加工するのも大工の仕事です。
設計図を見ながら木材を切り出したり印をつけたりして、スムーズに組み立てられるようにします。
印や切り出す大きさを間違えると組み立てることができなくなるので、加工には高い技術が必要になります。
建材の組み立て
加工した木材を現場に運び微調整を行ったらいよいよ組み立て作業に入ります。
骨組みの組み立てから始まり、下地組み、板張りなどを行って家を造り上げていきます。
組み立て時は電気工事業者や内装工事業者などと協力しながら施工を進めていきます。
事務作業
大工は事務作業も行います。
- 設計図や仕様書の読み込み
- 資材の発注
- 工事の流れの確認
- 契約書の作成
などなど、工事に関する書類を作成し保管します。
安全かつスムーズに施工を行うためには、このような事務作業も必要不可欠になってくるのです。
見習いの仕事
見習い大工はまだスキルがないので、親方の手伝いを主に行います。
具体的には、
- 道具の手入れ
- 現場の掃除・片付け
- 資材の運搬
などを行います。
手伝いをしながら仕事の流れを学び、工具の使い方や木材の加工方法を学びます。
目指すべき!大工のやりがい
大工という仕事はどんなやりがいがあるのか知っていきましょう。
一生残るものを造れる
建物というのは、一度作ったら長い間その場所に存在し続けます。
人が仕事や生活する場所を自分の手で造れるということが大工の一番の醍醐味でしょう。
誰かのマイホームを造る場合など、その人や家族が生涯を過ごす場所を提供することになります。
そう考えると、とても素晴らしい仕事であることが分かります。
手に職をつけられる
大工は建物を造る職人なので、技術や知識を身に付けて資格をとれば、できる仕事の幅が増えていきます。
資格で自分のスキルを提示でき、身一つでどこでも働くことができるのは大きな魅力です。
人の夢をかなえられる
大工は、依頼主の希望やイメージに沿った建物を建てる仕事です。
マイホームなどは特にそうですが、人の夢を実現することができるという魅力もあります。
イメージ通りの建物が建てられた時依頼主が喜んでいる様子を見たら達成感ややりがいを感じることでしょう。
資格はいる?
大工になるために必須の資格はありません。
しかし、取っておくと有利になる資格はいくつかあるので、紹介したいと思います。
二級建築士/木造建築士
二級建築士は都道府県知事により認可された国家資格で、建築物の設計や工事監理などを行うことができます。
木造・鉄筋コンクリート・レンガ造りなどさまざまな種類の建物を手掛けることができますが、
- 高さが13mまたは軒高が9mを超えないもの
- 木造以外の鉄筋・鉄骨造りなどの場合は延べ面積30~300㎡で高さ13mまたは軒高9mまでの建築物
などの制限があります。
木造建築士は国土交通省が認可する国家資格で、木造建築の設計や工事監理ができます。
ただし、木造建築士の資格では
- 2階建てまでの木造建築物かつ延べ面積100~300㎡以内
と限定的な範囲でしか施工ができないのが難点です。
建築大工技能士
木造建築の技術を証明するための資格です。
この資格をもっていることで一定の技術を証明できるだけでなく、階級ごとに必要な実務経験数が決まっているので実務経験も証明できます。
1~3級に分かれており、必要な実務経験も違うので自分のレベルにあった階級で資格を取得し、最終的に1級取得を目指すといいでしょう。
建築施工管理技士
この資格は国土交通大臣指定期間が認可した国家資格です。
資格を取得することで、特定建設業の選任技能者および監理技術者として認められます。
施工管理に関わるためには必要不可欠な資格となります。
現場監督や現場代理人になることができ、依頼主との打ち合わせや現場への指示・監督作業を行うことができます。
大工の仕事だけにとどまらず、現場の指揮をとる存在になりたい方は取っておくべき資格です。
木造建築物の組立てなど作業主任者
軒高5m以上の木造建築物の組み立てや屋根下地・外壁下地の取り付けにおいての監督業務や指導を行う際に必要な資格です。
この資格は受験資格として最低2年以上の実務経験が必要ですが、合格率はほぼ100%らしいので取っておいて損はないでしょう。
大工をしていくなら監督業務も必要になってきますし、第一関門としてこの資格を取ってみるのもいいかもしれません。
年収について
給料ナビによると、大工の平均年収は409万円で、日本の平均年収は461万円程度なので全体よりも低い傾向にあるようです。
しかし、難易度の高い資格をとり実務経験も積むことができれば、できる仕事の幅が増えて市場価値が高くなり年収アップに繋がるでしょう。
大工の就職先はどんなところ
大工の就職先はさまざまですが、主に工務店やハウスメーカーが多いようです。
しかし、一口に大工といっても何を造るかで就職先も変わってきます。
伝統建築物を手掛ける「宮大工」や木造建築を手掛ける「町大工」、障子や扉など建物そのものではなく家のパーツを制作する「建具大工」など、種類が数多く存在します。
企業に就職するのではなく、職人に弟子入りして手伝いをしながら技術を学んでいくという方法もあります。
まずは自分がどんなものを造る大工になりたいのかを考えることで、どんな場所に就職すればいいのかがはっきりするでしょう。
向いているのはどんな人?
大工に向いているのはどんな人でしょうか。
自分がどのくらい当てはまっているか確認してみてください。
ものづくりが好き
大工は建物や建物のパーツを造る仕事なので、ものづくりが好きでないと長く続けていくことは難しいでしょう。
自分で一からものを作り上げること、それが何十年も残ることに魅力を感じるかどうか確認してみてください。
空間把握能力がある
平面図から立体の建築物をイメージし、建材の組み立てを行う必要があるので空間把握能力が必要になります。
展開図を想像して組み立てるのが得意な方はこのような能力があるでしょう。
コミュニケーション能力
大工は一人で黙々と行う作業が多いとイメージしがちですが、現場監督や依頼主、その他業者と打ち合わせや協力をしながら作業を進めていくためコミュニケーション能力も必要になります。
しゃべることが得意でなくてもいいですが、伝えたいことや自分の意見はしっかり言えないとトラブルに繋がる恐れがあります。
体力がある
大工の仕事では、重量のある資材を運んだり炎天下で作業をしたりするため体力が必要です。
また、建物造りは長い時間をかけて行うため、雨や災害が起こらない限り連日遅くまで作業を行います。
そのため、体だけでなく精神的にも強い必要があります。
臨機応変に対応できる
建築物の工事は計画通りにスムーズに進むとは限りません。
依頼主の意向で急に設計図に変更がでたり、雨天続きで工期が遅れてしまったりなんてこともあります。
その際、冷静に臨機応変に対応できる力がないとさらなるトラブルを生んでしまいます。
それに加えて素早い判断と指示ができると、大工としてだけでなく現場監督としての能力も磨けるでしょう。
勉強熱心
大工が使う道具や資材は日々新しくなっています。
新しい技術を柔軟に受け入れ、それらの使い方を毎回勉強する熱心さが必要になります。
女性でもなれる?
もちろん、女性でも大工になることができます。
最近は女性で大工になる人が増えてきているようで、女性歓迎の会社も多くなってきています。
しかし、女性大工の数が圧倒的に少ないため、トイレなどの衛生環境が整っていなかったり、やはり体力が必要になるのでその部分で男性よりもできることが少なかったりと、ハンデとなる部分があることは理解しておきましょう。
大工として就職する際は、職場環境やどのような業務を行うのかをしっかり確認してください。
また、出産を考えている場合は育休の取得やその間の働き方に関しても質問しておきましょう。
将来性はある?
ITやAIの発達により、「大工も機械に取って代わられたりしないの?」と不安に思う方もおおいでしょう。
結論から言うと、大工の需要はまだまだ高いです。
理由としては、
- 〇リフォーム市場の成長率が高い
- 〇3Dプリンターはまだまだ発展途上
- 〇木造建築の需要がある
- 〇職人が足りていない
という点が挙げられます。
リフォーム市場の成長率が高い
注文住宅より建売住宅の割合が高いですが、リフォームを希望する人が増えているためリフォームで大工はまだまだ活躍できます。
3Dプリンターはまだまだ発展途上
最近は3Dプリンターを使っての建物造りが増えてきていますが、ビルのような高層の建物を建てている例は少なく、試験段階とも言えます。
そのため、3Dプリンターが大工の仕事を奪うのはまだまだ先でしょう。
逆に、3Dプリンターで部品を造ることで作業効率アップに繋がります。
単純作業は機械に任せることで、クリエイティブな部分に集中することができます。
木造建築の需要がある
宮大工などの伝統建築物を建てたり修繕したりする大工さんはまだまだ需要があります。
3DプリンターなどのITが進化しても木造住宅は昔からの職人技を使うため、大工の需要はなくならないでしょう。
職人が足りていない
大工だけに限りませんが、建設業の職人は人手不足の傾向にあります。
高齢化が進んで後継者がいないため、若手の大工はどこの企業でも需要があります。
ITが進化してCADやBIM/CIMなどの作業効率化ツールが出ても、それを使える技術者や経験と知識がある職人がいなければ成り立ちません。
人が生きている限り建築物の需要はなくならないので、それを造る職人、大工の存在も必要不可欠なのです。
まとめ
大工はどんな仕事をするのか、必要な資格から将来性まで分かったかと思います。
技術や経験を積んでいくことが必要不可欠な職業ではありますが、自分が手掛けたものが何十年と残り続け、人々の生活を支える基盤となるというのはとてもやりがいのある仕事です。
ぜひ、需要の高い大工を目指してみてください。
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