建設業は長い間人手不足と言われてきましたが、2022年11月にH&Companyが行った調査によると、建設技術者の離職理由は「給与が低い」が一番多いようです。
というのも、建設業の平均年収は全産業の中でも高いにも関わらず、その格差は250万円以上にのぼるそうです。
大手企業と中小企業で収入の差が大きいため、中小企業から人手が出ていってしまい業界全体が成長できないという課題があるのです。
この問題を解決するには、建設技術者のスキルを正当に評価し収入に反映することが必要で、そのためには建設キャリアアップシステムを普及させる必要があるのです!
建設キャリアアップシステム(CCUS)とは?
キャリアアップシステムとは、技術者の実績・資格、社会法権加入状況などを正しく登録し、スキルの正当な評価、業務の効率化、品質向上に繋げるための仕組みです。
登録するとキャリアアップカードが届き、現場に入る際にカードリーダーにかざすことで終業履歴を保存することができます。
いつ・どこで・どんな立場で働いたのかがパソコンから確認できるため、実績の裏付けに繋がります。
国土交通省は、2023年には建設業退職金共済(建退共)における建設キャリアアップシステムへの完全移行およびそれと連動したあらゆる工事における建設キャリアアップシステムの完全実施を目指しているため、今の内から登録を行っておきましょう。
建設キャリアアップシステムについて、詳しくは下記の記事で紹介しているのでご覧ください。
今回は、一人親方が建設キャリアアップシステムに登録する方法や書類、疑問点などを確認していこうと思います。
一人親方がキャリアアップシステムに登録するメリット
「登録して何かメリットがあるの?」と思う方も多いと思います。
ここでは一人親方が建設キャリアアップシステムに登録するメリットを紹介します。
仕事を受けやすくなる
キャリアアップカードには、職務履歴・保有資格・役職の経験などが記入されているので、スキルを正しく評価してもらうことができます。
そのため、スキルがあれば仕事を貰いやすくなるのです。
退職金制度を正しく利用できる
一人親方には退職金がないため、将来のために国が設立した「建設業退職金共済(建退共)」に加入しています。
働いた日数に応じた証紙を手帳に貼ってもらい、その枚数に応じて退職金を受け取れるという仕組みになっています。
そのため、働いた日数を正確に把握してもらえないと適切な証紙を貰うことができないというリスクがあります。
しかし、建設キャリアアップシステムに登録していれば正確な就業日数を蓄積できるため、正確な枚数の証紙を貰うことができるのです。
一人親方が損をしないための仕組み作りにも繋がるのです。
提示するだけで技能を把握してもらえる
今までは、持っているスキルや資格・経験を自分で説明して売り込む必要がありました。
しかし、建設キャリアアップシステムに登録していればキャリアアップカードを見せるだけで自分のスキルを簡単に把握してもらえるようになるので、自分を売り込みやすくなります。

このように、建設キャリアアップシステムは一人親方にもメリットがあるものなのです。
今後原則かが進めばキャリアアップシステムに登録していなければ現場に入れなくなる可能性があるので、できるだけ早めに登録しましょう。
一人親方とフリーランスは違う!登録の違い
一人親方は、事業者登録と技能者登録の両方が必要になります。
一人親方の定義は、労働者を雇用せずに自分と自分の家族の身で経営を行う事業者のことです。
一方、フリーランスの場合は技能者登録のみで構いません。
フリーランスとは、事業所に所属せず、業務委託により自らの技能を提供している個人事業主のことをいいます。
自分がどちらに当たるのか、今一度確認してみてください。
建設キャリアアップシステム登録の流れ
建設キャリアアップシステムは、インターネットでの申し込みと認定登録機関窓口での申請の2通りがあります。
事業者登録の流れ
【インターネット申請の場合】
- 申請ガイダンスを読んで料金や必要書類を確認する
- ↓
- パソコンやスマートフォンから申請手続きを開始
- ↓
- 建設キャリアアップシステムのホームページから手順に沿って申し込む
- ↓
- 確認・審査
- ↓
- 送られてくる請求書で登録料の支払い
- ↓
- 事業者情報の登録完了
- ↓
- 事業者ID、管理者ID通知の受領
【認定登録機関窓口申請の場合】
- 申請書を取り寄せる
- ↓
- 利用料金、申請関係書類の確認
- ↓
- 登録申請書を手書きで入力、専用封筒に封入
- (申請書を事前にコピーしておくこと推奨)
- ↓
- 認定登録機関に提出
- ↓
- 確認・審査
- ↓
- 送られてくる請求書で登録料の支払い
- ↓
- 事業者情報の登録完了
- ↓
- 事業者ID、管理者ID通知の受領
技能者登録の流れ
【インターネット申請の場合】
- 申請ガイダンスを読んで料金や必要書類を確認する
- ↓
- パソコンやスマートフォンから申請手続きを開始
- ↓
- 申し込み&登録料の支払い
- ↓
- 確認・審査
- ↓
- 技能者情報の登録完了
- ↓
- 建設キャリアアップカードの受領&技能者ID通知の受領
【認定登録機関窓口申請の場合】
- 申込書を取り寄せる
- ↓
- 利用料金と必要書類の確認
- ↓
- 登録料の支払い
- ↓
- 登録申請書を手書きで記入し、専用封筒に封入
- ↓
- 窓口に提出
- ↓
- 確認・審査
- ↓
- 技能者情報の登録完了
- ↓
- 建設キャリアアップカードの受領&技能者ID通知の受領
窓口よりインターネット申請の方がどこでもできて記入も楽です。
登録に必要な書類について
一人親方が登録する際に必要な書類をまとめました。
ご確認ください。
【事業者登録】
建設業許可がある場合
建設業許可証明書
または
建設業許可通知書
建設業許可がない場合
個人事業の開始届
または
納税証明書
または
所得税の確定申告書
その他
-
・建設業退職金共済契約者証の写し(建退共に加入している場合)
・中小企業退職金共済手帳の写し(中退共に加入している場合)
・労働者災害補償保険 特別加入申請書の写し※
・労働保険特別加入 加入証の写し※
※労災保険特別加入証明書類は、通常の労災保険とは異なります。
「特別加入」と記載されている書類を添付してください。
【技能者登録】
必ず全員がいるもの
➀本人確認書類の写し
日本人の場合
- 運転免許証
- または
- マイナンバーカード
- または
- パスポート(上記2つが用意できない場合)/顔写真なしの確認書類2点(住民票+健康保険証等)
外国国籍の場合
- 特別永住者証明書
- または
- 在留カード
- または
- パスポート(上記2つが用意できない場合)/顔写真なしの確認書類2点(住民票+健康保険証等)
➁登録料金の払い込み受領書
➂建設キャリアアップカード用顔写真
情報証明のために必要なもの(写し)
- ・通称名証明書類(住民票等)
- ・国民年金
- 年金手帳、ねんきん定期便、領収済通知書のいずれか1点
- ・退職金制度確認書類(加入している場合のみ)
- 建設業退職金共済手帳
- 中小企業退職金共済手帳
- ・労災保険特別加入
- 労災保険加入証明書、労働者災害補償保険特別加入証明証のいずれか1点
建設キャリアアップシステムの登録料はいくら?
- 事業者登録料:0円
- 管理者ID利用料:2,400円/ID
- 現場利用料:1回10円(一人日・現場当たり)
ID利用料、現場利用料ともに、三井住友銀行への銀行振込となります。
一人親方の登録における疑問に答える!
では、一人親方の建設キャリアアップシステムにおける解消しておきたい疑問をご紹介します。
一人親方の場合、資本金はどう記入すればいい?
一人親方の場合は資本金の記入はいらないので、「0」と記入してください。
個人事業主と一人親方の違いは?
一人親方は、労働者を使用せずに自分や自分の家族の身で事業を行っている人のことをいいます。
一人親方は業種が決まっており、建設業・林業・水産業など計7業種が指定されています。
個人事業主は、税務署に個人で事業を行っていると申告している人のことをいいます。
個人事業主の場合は特に指定業種はありません。
技能者登録の時の雇用保険はどう記入すればいいか
- 加入状況:適用外
- 適用場外理由コード:045
- 適用除外理由名:事業主・代表者・役員
- ※同居親族、家族従事者の方も同様
以上のようにご記入ください。
技能者登録の雇用形態はなにを選択すればいい?
常用雇用か臨時雇用のどちらかを選択する必要があるので、「常用雇用」を選択してください。
雇用年月日は、会社設立日や就任日、または一人親方として働き始めた日を入力してください。
技能者登録における所属事務者名や所在地は何を記入すればいいですか?
事業者IDを既に取得している場合は、事業者登録時と同じ事業者名、所在地を記入してください。
まだ事業者IDを取得していない場合は、屋号がある場合は屋号を、屋号がない場合は氏名を記入してください。
所在地は住所を記入してください。
国民健康保険に入っているが、健康保険の資料添付は必要?
一人親方で国民保険に加入している場合、健康保険の資料添付は不要です。
尚、健康保険の適用除外の記入方法は、
- 加入状況:適用外
- 適用除外理由:002(5人未満個人事業所)
- 国保組合名称:無
- 確認書類の添付:不要
とご記入ください。
代行申請について
事業者登録・技能者登録ともに、代行申請者に依頼をして申請の代行をしてもらうことができます。
【用意するもの】
-
・運転免許証
・マイナンバーカード
・パスポートなどの身分証明書(インターネット申請のみ)
・代行申請同意書
・個人情報取扱同意書/システム利用規約同意書
・申請内容の添付書類(事業者証明書・社会保険などの加入書類)
【インターネット申請の場合】
記入済み同意書等と必要書類を代行事業者に渡す
必要書類
建設業許可あり | 建設業許可なし |
・建設業許可通知書
・建設業許可証明書
|
一人親方の場合は
・納税証明書 ・所得税の確定申告書 ・個人事業の開業届け |
↓
代行事業者が内容を確認する
↓
間違いがなければ、代行事業者が登録申請内容を記入し申し込み
↓
確認・審査
↓
支払依頼のメールが代行事業者に届く
↓
代行事業者から事業者に支払い依頼が行き、事業者が支払う
↓
入金確認後、事業者に直接事業者IDと管理者IDが通知される
【認定登録機関窓口での申請】
2020年9月30日をもって、認定登録機関窓口での申請受付は終了しているようです。
尚、書面申請を希望される場合ははお近くの認定登録機関窓口へご相談ください。
このような流れになります。
一人親方も建設キャリアアップシステムに登録して仕事を増やそう♪
一人親方の建設キャリアアップシステム申請方法は理解いただけたでしょうか。
事業者と技能者、2つの登録が必要なので少し手間がかかりますよね。
もし時間がないようなら、申請書類だけまとめて代行を依頼してもいいかもしれません。
来年までに登録完了するようにしましょう!
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