建設業は人手不足が深刻化しているため、作業員が高齢者の割合が高いです。
しかし、建設業は高所作業の危険を伴う作業や道具の運搬など力が必要となる作業が多いです。
作業に年齢制限はあるのか、高齢者が安全に働ける環境を整えるためにはどうすればいいかを見ていきましょう。
建設業の就業者は高齢化傾向にある
下のグラフを見て分かるように、建設業の就業者年齢は29歳以下が11.8%、55歳以上が36%と高齢者が若手の倍以上の割合で働いていることが分かります。
この割合は全産業の55歳以上の割合よりも約5%も上回っているのです。
また、建設業における65歳以上の就業者数は、2009年は8.1%でしたが、2019年には16.4%と倍と近く増加しています。
このように、建設業は高齢化が進んでいるのです。
建設業の作業に就業制限・年齢制限あるのか
高齢化が著しい建設業ですが、危険を伴う作業に年齢制限は設けられているのでしょうか。
高所作業
労働安全衛生法により、高所作業は18歳以上にならないとしてはいけないという制限はありますが、年齢の上限制限は定められていません。
重量物運搬作業
労働基準法により、職場における腰痛予防対策指針での重量制限が定められており、
- 男性は体重のおおむね40%以下
- 女性は男性の制限の60%以下
と定められています。
例えば、体重65kgの男性の場合は65×40%=26 26kgまでのものを運ぶことができるということです。
足場
労働基準法により、18歳以上にならないと足場に上ることはできません。

このように、下限年齢は定められていましたが、上限年齢はいずれも決められていませんでした。
いくつになっても建設業の作業は行えるようですね。
建設業では、50歳以上の死亡事故が圧倒的に多い
しかし、高齢になるほど事故の発生率も高くなります。
過去10年間の50歳以上の死亡災害は、業種別にみると約半分が建設業で起こっています。
また、死亡理由は転落・墜落が圧倒的に多いです。
建設業は他業種より高齢の従業員が多いことに加え危険を伴う作業が多いため、死亡事故を防ぐためにも事故対策をしっかり行う必要があります。
安心して作業するためにやるべき安全対策
高齢者が事故を起こさない作業環境を作るためにはどのような対策をしていくのがいいのでしょう。
対策方法を知って、現場は対応できている確認してみてください♪
転落・墜落防止対策
死亡事故として一番多い転落・墜落を防止するため、作業場の手すりの設置、転落防止ネットの設置、フルハーネスの着用などを行いましょう。
尚、フルハーネスの着用は2022年1月から義務化されています。
詳しくは下記をご覧ください。
転倒防止対策
高齢になると平衡感覚が低下して転倒しやすくなるため、転倒防止対策も重要です。
厚生労働省の資料でも、転倒事故は50代以上だとかなり確率が高くなるという調査結果が出ているため、最新の注意が必要です。
作業場の明るさを調整して足元を見えやすくしたり、床を滑りにくく凹凸の少ないものにするなど、作業現場の環境を整えましょう。
手すりの設置も転倒を防ぐのに役立ちます。
重量制限に配慮する
上記で紹介した重量制限を参考に、運ぶ資材や道具を選別しましょう。
あまりに大きくて重いものは機械で運ぶようにしてください。
それだけでも従業員の腰への負担を減らし、労災を減らすことができます。
体調管理
体調管理も重要です。
定期的に健康診断をしてもらったり、暑さ対策・寒さ対策を徹底して体調管理を徹底しましょう。
体調が悪い時に無理をさせると事故に繋がるので、作業開始前に体調はどうかを聞いておくといいです。
作業時間の調整
高齢になると体力が低下してしまうため、若手と同じ作業時間だと体にかなりの負担がかかることになります。
こまめに休憩をとり作業時間も短くすることで、快適に働いてもらうことができます。
補装具を使うことでより楽な姿勢で作業することができるでしょう。
機械などで作業を自動化
重いものの運搬や長時間の作業は体に負担がかかるので、できるところは機械を使って自動化し、人の手で作業する部分を減らせば高齢者が多い現場でも事故の発生率を減らすことができます。
できるところからでいいので、機械化を進めていきましょう。
まとめ
今回の内容をまとめると
・建設業の作業は、上限の年齢制限はない
・転倒・転落対策、体調管理など、安全には働ける環境を整えること
このようになります。
建設業の大事な作業員を守るために、まだ出来ていない対策を今から行っていってください。
事故が起こる原因や対策方法をまとめた記事もあるので、よければこちらもお読みください。
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