基礎知識

4号特例が廃止!?その理由や廃止の影響、いつ廃止なのかなどわかりやすく解説します

2階建ての木造建築を取り扱う工務店ではお馴染みの「4号特例」。

しかし、数年後にこの特例は縮小され、4号建物が廃止されてしまうようなのです!

 

4号特例をおさらいしながら、なぜ縮小されるのか、縮小の影響など見ていきたいと思います。

 

4号特例とは

4号特例とは、一定の条件を満たす木造住宅は建築確認の構造審査を省略できるというものです。

 

一定の条件とは以下のものを指します。

  • 公共施設など複数の人が利用しない建物
  • 木造建築物
  • 階数2階以下
  • 延べ面積500㎡以下
  • 高さ13m以下
  • 軒の高さ9m以下

 

これらの条件を満たす建物は、どんな建物を建てるのかの確認申請時に構造計算書を提出する必要がありません。

建築士が自分で必要な壁の量をチェックしておけばいいようです。

ただし、構造の安全性の確認は必要なものなので覚えておきましょう。

 

4号特例があるメリット

4号特例によるメリットはどんなものがあるのでしょうか。

 

審査機関を短縮できる

構造計算書を確認してから確認済証が発行され、建築の許可が下りるのですが、それだと審査に1か月ほどかかってしまいます。

 

しかし、4号特例に当てはまる建物であれば構造計算書の提出が必要ないので、審査も2週間ほどで終わります。

審査期間が短くなるので、通常より早く施工に取り掛かることができるのです。

 

構造計算コストを抑えられる

構造計算は複雑なので、できる人が限られてきます。

構造計算を専門会社に委託する、計算できる人材を獲得する、ソフトを導入するなど、構造計算をするために様々なコストがかかってしまいます。

 

構造計算の提出がなければコストを削ることができるので、他の部分に費用をあてることができます。

 

複雑な構造の建物が建てやすい

独創性のある建物は、構造的に複雑なものが多いです。

その場合、構造計算にも手間がかかるので計算のことを考えるとコスト的に独創的なものは造りにくくなります。

 

しかし、4号特例があることでそのような構造計算コストが高いものも建てることができるのです。

 

 

このように、4号特例は建設のハードルを下げてくれる制度なのです。

これが廃止されてしまうのは、住宅業界的にとても大きな損失なのではないでしょうか。

 

縮小はいつから?

2025年4月から施工される予定のようです。

 

4号特例はなぜ縮小されるのか

4号特例 廃止 いつから

4号特例が見直される理由は2つあります。

 

一つ目は、住宅の省エネ化が進んでいるためです。

カーボンニュートラルの実現に向けて、2022年6月に公布された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」により、全ての建築物が省エネ基準への適合が義務づけられます。(2025年4月施行予定)

これにより断熱材の使用や太陽光パネルの設置などで建物が重量化していくことが予測され、地震などの自然災害による倒壊リスクが高まってきています。

このリスクを下げて木造住宅の安全構造の確保するために、4号特例が見直されることになったのです。

 

二つ目は、4号特例の住宅の設計や構造に不安要素があるためです。

4号特例があることで木造住宅の設計や管理に不足が生じたり、構造の強度不足が発生したりしているようです。

このような手抜きをなくし安全性の高い木造住宅を増やすために4号特例が見直されることとなりました。

 

4号特例の内容はどう改正される?

4号特例の見直しでどのような変更が生じたのでしょうか。

変更内容を見ていきましょう。

 

審査省略制度の対象建物が縮小

従来の4号特例では、4号建築物に該当するものは全て構造計算チェックが不要でした。

しかし、見直しによって4号建築物が廃止され、「新2号建築物」と「新3号建築物」に分かれて新3号建築物のみが審査省略制度の対象となりました。

 

【4号建築物】

  • 以下の条件を全て満たすもの
  • ➀用途が原則、特殊建築物ではないもの
  • ➁規模が以下のいずれかに該当するもの
  • ・木造建築で階数2階以下/延べ面積500㎡以下/高さ13m以下/軒高9m以下(全てに当てはまること)
  • ・木造以外の建物で階数1階、延べ面積200㎡以下(全てに当てはまること)

都市計画区域等内に建築する際は建築確認・審査が必要

審査省略制度の対象

 

【新2号建築物】

  • 木造二階建て
  • 木造平屋建て(延べ面積200㎡超)

全ての地域建築確認・検査(大規模な修繕・模様替を含む)が必要

審査省略制度の対象外

 

【新3号建築物】

  • 木造平屋建て(延べ面積200㎡以下)

都市計画区域等内に建築する際は建築確認・審査が必要

審査省略制度の対象

 

確認申請に図書の提出が必要

確認申請の際、新2号建築物は構造や省エネに関する図書の提出が必要になります。

 

【新2号建築物で提出するもの】

  • 確認申請書・図書
  • 構造関連規定等の図書
  • 省エネ関連図書

 

【新3号建築物で提出するもの】

  • 確認申請書・図書(従来と同様に一部図書省略を継続)

 

廃止されるとどんな影響が出るのか

4号特例が縮小・廃止されてしまうとどのような影響が出るのでしょうか。

 

業務負担の増加

4号特例のおかげで構造計算が必要なかった2階建て木造住宅の構造関連図書の提出が必要になるので、工務店や設計会社の負担が増えてしまいます。

確認申請時の手間が増えるので、施工開始までの時間も長くなります。

 

独創的な建物が造りにくくなる

今までは構造計算が必要なかった建築物も、新3号建築物の条件に当てはまらなければ構造計算の提出が必要になります。

そのため、独創的で構造が複雑な建築物が建てにくくなります。

 

 

このように、建築業界への影響は大きいです。

しかし、より安全性の高い建築物を建てるためには必要なことなので、そこで過ごす人や暮らす人の安全を考えて4号特例の縮小・廃止を受け入れていきましょう。

 

早急に対応を!縮小・廃止前に建設業が準備するべきこと

構造計算ソフトを導入する

構造計算ソフトを導入し、自身で構造計算ができるように準備しましょう。

 

構造計算ソフトは種類がありますが、多くの人に使われていて確認申請も通りやすいものでいうと「KIZUKURI」というソフトがいいそうです。

操作が簡単で使いやすく、人気が上がってきているものとしては「ホームズ君構造EX」があります。

こちらのソフトでは、建物のどこに力が大きく加わっているのか、弱点となる場所はどこかなどを可視化できる「構造3Dビューア」という機能があるため、より安全な構造設計をすることができるでしょう。

他にもソフトによって特徴が異なるので、ぜひ比較してみてください。

 

木造ZEBを勉強する

住宅の省エネ化の動きから、住宅ではZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、非住宅建築物ではZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)という省エネ設備を備えた建物が増えていきます。

このような住宅ではどんな省エネ設備が搭載されやすいのかを勉強し、その重量も把握することで、構造計算もしやすくなると思います。

 

今後増加が予測される省エネ住宅の勉強をしておくことで、4号特例縮小後の負担を減らすことができます。

 

構造設計事務所を探しておく

自分で構造設計をやる時間がないという場合は、2025年4月の4号特例縮小までにお願いできる構造設計事務所を探しておきましょう。

 

事務所によって構造計算できる範囲も異なるので、自社が造る建築物の特徴にあった構造計算ができる事務所を探して契約を交わしておきましょう。

事前に準備することで、縮小後も作業に支障をきたすことなく業務に専念することができます。

 

まとめ

今回は4号特例の縮小・廃止について解説しました。

 

4号特例がなくなることは工務店や設計事務所にとって大きな損失ですが、嘆くよりも施行予定日に向けて準備を進めていくことが肝心です。

構造設計ができるようになれば仕事の幅も広がるので、ぜひ新しいことを試してみてください。

 

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