コラム基礎知識

サステナブル建築とは?メリットや日本・海外の事例を紹介

近年、「サステナブル」という単語をよく耳にしませんか?

様々な業界に浸透しているこの言葉ですが、実は建設業でも広がってきているのです。

そこで今回は、サステナブル建築についてどういうものなのかを説明していきたいと思います。

 

サステナブルとは

サステナブル(Sustainable)とは、sustain(持続する)とable(~できる)をかけあわせた言葉で、「持続可能な」「維持できる」という意味をもちます。

 

1987年の「環境と開発に関する世界委員会」で初めて用いられ、持続可能な開発を中心的な課題として取り上げられたのがきっかけです。

その後、持続可能な開発目標である「SDGs」が国連サミットで採択されてから、サステナブル、サステナビリティという言葉が世界に広まっていったのです。

 

そんなサステナブルを意識した建築物のことを「サステナブル建築」といいます。

サステナブル建築とは、建築における設計・施工・運用の各段階で省エネルギーや省資源を目指したりリサイクル樹脂を使ったりなど、地球環境に配慮して造られている建築物のことです。

地球環境に配慮しつつ、その地域の気候や文化にあった造りにすることで、長期的に利用し続けられるようになっています。

 

サステナブル建築の特徴

サステナブル建築とは、どのような特徴があるもののことを言うのでしょうか。

サステナブル建築に求められる配慮項目が日本建設業連合会によって示されているので、そちらを紹介していきたいと思います。

配慮項目として、地球・地域・生活の3方向からの視点が大事になってくるので覚えておきましょう。

 

地球の視点

省エネルギー、省資源、有害物質排出抑制など、地球環境にとって持続可能な開発を目指しましょう。

具体的には、

省CO2・節電・再生可能エネルギーの活用・長寿命な建物の設計および運用・リサイクル資源の活用・一貫したライフサイクル・マネジメント・グローバルな性能評価基準への適宜対応などです。

 

地域の視点

地域の環境や風土、文化、伝統などと周辺環境に配慮し、地域にとって持続可能な開発を目指しましょう。

具体的には、

都市部のヒートアイランドの抑制・既存動植物に対する生態系への配慮・自然、歴史、文化への配慮・土壌汚染や騒音など地域や近隣環境への影響配慮・エネルギーネットワークへの配慮・地域防災、地域BCPへの配慮などです。

 

生活の視点

将来にわたり、人間の生活の質を維持・向上させていけるような建物造りを目指しましょう。

具体的には、

平常時と非常時の安全性考慮・化学物質や清浄度など健康への配慮・温度や光など快適性への配慮・利便性への配慮・広さや眺望など空間性への配慮・拡張性や収納など更新性への配慮などです。

 

増えている理由!サステナブル建築のメリット

サステナブル建築は、2009年に「日本サステナブル建築協会」が設立され、そこから環境や地域に配慮した建築物の調査や研究が行われるようになったそうです。

 

そんなサステナブル建築にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

見ていきましょう。

 

地球に優しい建物を建てられる

上記の配慮項目でも紹介した通り、サステナブル建築は環境に配慮した造りになっています。

建物を建てるにはたくさんの資源が必要ですし、CO2排出量も多いです。

 

しかし、サステナブル建築は地球環境になるべく悪影響を与えないように設計や施工を行うため、地球に優しいのです。

環境悪化が叫ばれている世界にとって、このように地球環境に配慮した建物造りはメリットが大きいのです。

 

顧客満足度の向上

サステナブル建築では、地球環境だけでなくその地域や住民の暮らしに寄り添った建物造りを行います。

生活の質を上げられることを目標に作られるので、家主が快適に住み続けられる建物を造ることができるのです。

 

SDGsに貢献できる

持続可能な開発目標であるSDGsは、世界全体で取り組むことが推進されています。

サステナブル建築はその持続可能な開発に貢献できるので、SDGsに貢献しているという実感を持つことができます。

 

光熱費を抑えられる

サステナブル建築には、太陽光発電システムや蓄電システムが備わっているものが多いです。

太陽が出ていれば電気を作り出すことができるので、貯めた電気をそのまま使ったり電力会社に売ってお金を増やしたりできます。

蓄電システムを設置すれば、昼間に貯めた電気を夜に使うことができるので、節電に繋がります。

 

サステナブル建築のデメリット

サステナブル建築はメリットだけでなく、デメリットも存在します。

 

コストがかかる

サステナブル建築では、リサイクル資材を使うなど通常の建物より必要な設備が多いため、通常よりコストがかかります。

長く使うと考えたらコストパフォーマンスは高いですが、初期費用はどうしても高額になってしまいます。

 

建てるまでに時間がかかる

特定の資材を集めたり、環境や地域に配慮した建物を造るための調査や配慮した設計をしたりする必要があるため、通常より完成までに時間がかかります。

工期が長くなることを理解して、余裕を持ってスケジュールを組む必要があります。

 

【日本/海外】サステナブル建築の事例

サステナブル建築は日本や海外ですでに存在します。

ここでサステナブル建築の事例を紹介したいと思います。

 

【日本の事例】

イオンレイクタウン

埼玉県越谷市にあるレイクタウンは環境配慮型の大型ショッピングセンターです。

環境との共生を掲げる街づくりの理念を受け、「新しいエコストア」の実現をテーマに計画されたそうです。

 

約4000㎡におよぶ太陽光発電装置、高効率コジェネシステムなどの最新技術を取り入れることで20%のCO2削減を実現しています。

ソーラールーバー(ソーラーパネルの目隠し設備)やシンボルツリーによる景観形成、ガーデンウォークの設置など、エコシステムを取り入れながらも景観にも配慮した造りになっています。

 

箱根ラリック美術館

箱根仙石原の中心に位置する庭園型リゾートミュージアムです。

仙石原にある自然を最大限に活かしながら、美術館・ショップ・レストランの3棟をバランスよく配置しています。

 

既存樹木や周辺の植生の調査を徹底的に行い、地域の生態系育成を中心に施設を構成しています。

訪れた人は、美術館の展示やショップを楽しむと同時に自然に触れ合うこともできます。

 

また、外構照明は樹木や生物に配慮し、シミュレーションを行って最小限の光にとどめると共に発熱量の少ないLED証明をメインで利用しているようです。

建物は既存樹木の高さを超えないよう景観にも配慮しています。

 

【海外の事例】

ブリットセンター

シアトルにある6階建ての商業施設です。

貯水タンク・太陽光発電パネル・バイオトイレなど、環境に配慮した様々な設備が取り入れられているため、「世界で最もエネルギー効率のいい商業ビル」と言われているそうです。

 

厳しいサステナビリティ基準「リビング・ビルディング・チャレンジ(LBC)」の認証を受けており、「エネルギーと環境のデザインにおけるリーダーシップ(LEED)」プログラムにおいても高い評価を受けているそうです。

シアトルがある太平洋岸北西部は雨や曇りの日が多いことで知られていますが、そんな気候の中でも太陽光発電パネルだけで年間に必要なエネルギーを全て賄っているのです。

 

ソノマアカデミー

アメリカ合衆国のカルフォルニア州にある大学のキャンパスです。

 

太陽パネルの設置、排水と雨水をろ過する段階式プランターの設置など、環境に配慮した様々なシステムを採用しています。

また、ロールスクリーンや自動シェード(日差しに合わせて自動で日避けを上げ下げするシステム)、熱管理システムなどを設計に組み込み、気温の変化に対応する建物になりました。

 

一階には目的に合わせて区切られているイノベーションスペースがあり、材木の組み立てや金属加工などモノ作りの際に利用できます。

資材にもこだわっており、CO2排出量の少ないブロックや地元の材料で作った陶器タイルなどを用いて、地域活性化にも貢献しています。

 

 

このように、日本国内でも海外でも、環境や地域に配慮したサステナブル建築が続々と登場しています。
持続可能な目標を達成するためにも、このようなサステナブル建築をもっと増やしてく必要があるでしょう。

 

まとめ

サステナブル建築は、今後建築をする上で当たり前のものになる可能性が高いです。

 

まだコストや手間の面で全てをサステナブル建築にするのは難しいですが、将来性や持続性を考えたら増えていくのがいいと思います。

今後も新しい情報やサステナブル建築に繋がる新しい技術ができると思うので、随時情報を追っていくことで建築の幅も広がるでしょう。

 

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