足場での作業は危険を伴います。
作業員の転落事故を防ぐためにも、足場には「朝顔」と呼ばれる柵の設置が義務付けられています。
朝顔という名前の由来や設置義務が発生する基準など、建設現場で必要な朝顔について紹介していきたいと思います。
足場の朝顔とは?
仮設足場に取り付けられる転落・落下防止用の柵のことです。
工事現場が道路に面している場合に、足場から飛び出るように設置されます。
朝顔を設置することで、高所から物を落として通行人に被害を与えることを防ぐことができます。
組み立て式で持ち運べるようになっており、足場にすぐ設置できるような構造になっているようです。
朝顔という名前の由来は、上向きに傾斜させた柵の見た目が朝顔のようであることから名づけられたそうです。
朝顔の正式名称は「防護柵」が一般的ですが、労働衛生安全規則では「防網」、建築基準法では「鉄網」という名称で記載されています。
朝顔の種類は3つある
朝顔には種類があり、「鋼製朝顔」「アルミ朝顔」「シート朝顔」の3種類が挙げられます。
それぞれ特徴を見ていきましょう。
鋼製朝顔(こうせいあさがお)
以前からある鋼製の朝顔。
強度が高いので万が一重量のあるものを落としても耐えることができます。
部材点数が少ないため、運搬や組み立てがしやすいのもメリットです。
アルミ朝顔
従来の鋼製朝顔と比べて軽量化を実現した朝顔。
ALINCOや小牧木材株式会社のアルミ朝顔は、従来の朝顔と比べ40%の軽量化を実現したそうです。
鋼製朝顔よりも軽いため、運搬や足場での組み立てがさらに楽になりました。
シート朝顔
アルミ朝顔よりもさらに軽量化された朝顔。
シートなので持ち運びと組み立てがさらに簡単になり、設置時の安全性が高まりました。
また、シートとネットの構造により衝撃を吸収しやすく、軽量なのに強度をしっかり維持することができています。
朝顔の設置基準
朝顔には設置基準があり、建設基準法施行令で定められています。
基準に当てはまる場合は設置が義務付けられているので、ここで設置基準を確認しておきましょう。
〈建設基準法施行令 第136条の5 落下物に対する防護より〉
- ・建設工事をする部分が、工事現場の境界線から水平距離5m以内かつ地盤面から高さ7m以上である時、落下物によって工事現場周辺に危害を与える恐れがある場合は、
- 国土交通大臣の定める基準に従って工事現場の周辺または危害防止のために必要な部分を鉄鋼または帆布で覆うなどの危害防止措置を行わなければいけない。
- ・足場の高さが10m以上20m未満の場合は1段以上、20m以上の場合は2段以上朝顔を設置すること
- ・朝顔の突き出しの長さは足場から水平方向に2m以上とし、水平面に対する傾きは20度以上にすること
- ・朝顔および朝顔を支える斜材の取付けは、腕木材を取り付けた位置の支柱とすること
- ・朝顔および朝顔を支える斜材を取付けた位置の内側にある支柱に壁つなぎを設置すること
- ・万能板(強度の高いフェンス/仮囲い)は隙間なく全面に張ること
設置は義務?罰則は?
上記でも記載した通り、「落下物に対する防護」の基準や定められた足場の高さに当てはまる場合、朝顔を設置することが義務付けられています。
基準を満たさなかった場合、罰則の対象となってしまうので、くれぐれもご注意ください。
なお、足場や朝顔を設置する際に工事敷地からはみ出してしまう場合は、「道路占用許可」を受ける必要があります。
加えて、朝顔や足場を運搬・設置する際に道路に車を駐車する場合は、道路占用許可に加えて「道路使用許可」を受ける必要があります。
許可をもらうには、どちらも申請書を作成して警察署に提出する必要があります。
申請の流れは市区町村によって多少異なるので、工事を行う場所に合わせて確認してみてください。
朝顔の組み立て手順はこうだ!
ここでは、アルミ朝顔の組み立て手順を簡単に説明していこうと思います。
ある程度の手順は似ていると思うので、取り付け前の参考にしてください。
詳しくはご自身が取付ける朝顔の説明書をご覧ください。
- ①フレーム受け具、斜材受け金具を建枠の横架材に取り付ける
- ※その際抜け止めピンを使用しますが、挿入の方向は横架材の取り付け位置が上クサビの場合は上穴を、下クサビの場合は下穴を使用してください。
- ➁フレームL/Rと斜材をセットする
- ③フレームL/Rを取付ける(アングルが閉じている=L、開いている=R)
- ④万能板受け上下をフレームの溝にスライドさせて取付ける
- ⑤フレーム止めを1スパンに2本ずつセットする
- ⑥万能版を万能版受けに嵌めて取付ける
- ⑦万能版押えを取付ける(万能版と万能版押えの三角部分が重なるようにする)
- ⑧ロープを左右均等に緩めながらフレームL/Rを前方に倒し、朝顔を斜めに設置する
- ⑨斜材吹き上げ防止のボルトを取付ける
【コーナー部分の取り付け手順】
- ①センターフレームと斜材をセットする
- ➁倒れ止めのため、紐などで仮固定する
- ③センターフレームにサイドフレームを取付ける
- ④フレ止めA/Bをセットする(フレ止めAはセンターフレームとサイドフレームの間、フレ止め⑤Bはフレ止めAの中央とコーナーフレーム受け金具に取付ける)
- ⑥万能板A/B/Cを取付ける
- ⑦センターフレームとサイドフレームの先端に万能板押えをセットする
- ⑧ロープを緩め、コーナー朝顔を横の朝顔にかぶさるようにゆっくり下ろす

朝顔の組み立て手順はこのようになります。
直線部分とコーナー部分で組み立てが分かれているので、そこは注意しましょう。
説明書を読めば比較的に簡単に設置できると思います。
朝顔の設置で事故を防ごう
朝顔は設置基準が決められており、設置義務もあります。
今一度設置基準や設置の仕方を確認し、落下事故を未然に防ぎましょう。
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