アスベストが昔よく使われていて、人体に悪影響を及ぼすことはご存じの方も多いと思います。
使用が禁止されてからも法律の改正が繰り返されており、使用禁止が徹底されているようです。
建設業とアスベストも深い関係があるので、ぜひここでアスベストの法改正について学んでいきましょう。
アスベストとは
アスベストは石綿と呼ばれる天然にできた鉱物繊維のことです。
耐摩擦性、耐熱性があり酸やアルカリにも強く使いやすいため、建材や自動車に使う摩擦材などさまざまな工業製品に使われてきました。
安く手に入れることができたのも使用率が高かった理由の一つです。
しかし、人体の体に悪影響であると判明し、使用が禁止されたのです。
一体どんな悪影響があるのでしょうか。
人体に悪影響!?使用禁止の理由
アスベストを吸い込むことで、肺がんや肺の繊維化、悪性中皮種などの病気を発症する恐れがあるからです。
アスベストは非常に細かい繊維でできているので、空中に舞いやすく人が吸い込むリスクが高いです。
吸い込んでしまうと肺の組織に刺さり、変化しない性質のためそのまま長い間滞留します。
15~40年という潜伏期間を経て、肺がんなどの病気を引き起こすのです。
アスベストの輸入が増加した数十年後に悪性中皮腫による死亡者数が激増している調査結果もあり、被害にあった業種を見ると建設業と製造業が一番多いという結果が出たようです。
かなりの被害が出たため、「アスベスト健康被害救済制度」という被害者や遺族に方に対して医療費等の給付を支給する制度が発足しました。
被害がこれ以上拡大しないように法律が作られ、アスベストの使用が禁止されたのです。
アスベストの法律と、法改正について
アスベストに関する法律は1975年から策定されていますが、全面禁止されたのは2005年です。
そこから改正が繰り返されているので、改正時の変更点など解説していこうと思います。
2021年4月からの改正
規制対象の拡大
以前はレベル1(吹付け石綿)とレベル2(石綿含有保温材、石綿含有断熱材、石綿含有耐火被膜材)の2つが規制対象でしたが、レベル3(石綿含有有成形板等、石綿含有仕上塗材)までに拡大され、全ての石綿含有建材が規制対象となりました。
作業基準の遵守義務者の拡大
作業基準遵守を徹底するため、元請け業者のみに課せられていた作業基準の遵守義務が下請負人にも課せられるようになりました。
発注者への報告
特定工事の元請け業者は、特定粉じん排出作業が完了した際は作業が適切に行われたかを確認し、その結果を遅滞なく発注者へ書面で報告することが義務付けられました。
元請け業者は、特定粉じん排出作業の記録を作成し、その記録及び上記書面の写しを、解体工事が完了した日から3年間保存する必要があります。
元請け業者・自主施工主は、特定建築材料の除去等の完了後に、完了の確認を適切に行うために知識を持つ者に目視によって確認してもらう必要があります。
罰則の強化
今までは
- 作業基準に違反した場合は適合命令や作業の一時停止命令
- 命令に違反した場合は6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金
の2つでした。
改正により、
- 違法なアスベスト除去作業をした場合は3カ月以下の懲役または30万円以下の罰金
が追加されました。
2022年4月からの改正
事前調査結果の報告の義務化
一定規模以上の解体工事等の元請け業者または自主施工主は、調査結果を労基署・都道府県知事に事前報告することが義務付けられました。
調査結果は記録の作成を行い、3年間の保存が必要になります。
【報告対象の工事】
- 解体部分の延床面積が80㎡以上の建築物の解体工事
- 請負金額が税込100万円以上の建築物の改修工事
- 請負金額が税込100万円以上の特定工作物の解体または改修工事
2023年10月からの改正
事前調査の有資格化
アスベストの調査と届出は、石綿含有建材調査者資格がないと実施できなくなります。
事前調査を行うには、以下の資格を持っている必要があります。
- 特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)
- 一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)
- 一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て調査者)
- 2023年9月30日以前に日本アスベスト調査診断協会に登録されている者
そのため、アスベスト工事を自社で行うためには、調査者と作業主任者2つの資格が必要になります。
このように、アスベストの法律は今後も改正されていくと考えられるので、定期的に確認しましょう。
建設業とアスベストの関係
建設業とアスベストにはどのような関係があるのでしょうか。
多くの建材に利用されていた
建設業で使われる建材の多くにアスベストが使用されていました。
吹付材、保温材、断熱材、石膏板、発泡体、円筒、軟質板など、建物を造るのに必要な建材に使われていたため、使用禁止される前のほとんどの建物に含まれています。
2006年になって全面的に使用禁止になったので、2006年以前の建物はアスベストが使用されている可能性があります。
多くの建設業関係者がアスベスト被害に遭っている
多くの建材にアスベストが使用されていたため、その建材を使って作業をしていた作業員の多くが被害に遭ったようです。
死亡事故の事例でいうと、ある建設会社に勤め、冷蔵庫やタンクの保冷工事の設計や施工を主な業務としていた従業員Aが、業務に使用していたアスベストを吸引したことが原因で数十年後に悪性胸膜中皮腫だと診断され、その後亡くなったというものがあります。
その他にもアスベストを使用した作業の影響で死亡した事例は多く、深刻な社会問題になっていました。

今もそのような被害が再発しないようにアスベスト使用の全面禁止を徹底するよう法律改正が繰り返されているのです。
アスベストの被害をなくすために
アスベストが使われている建物はこれから増えることはありませんが、万が一のことを考えて事前調査や報告を徹底する必要があります。
人の命がかかっているので、絶対に調査を怠らないようにしましょう。
今後も改正され次第新たな情報を追加していければと思います。
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