少子化などの影響で、日本での成長可能性が低いことを見越して海外進出を検討している企業が増えています。
建設業も、新規工事よりも復旧やメンテナンスの仕事が増えているのではないでしょうか。
新しいものを作っていくには、次々と新しいものができあがる先進国に進出するのがベストです。
今回は、建設業の海外進出についていろいろ話していきたいと思います。
ぜひ参考にしていってください。
日本企業が海外進出をする理由(メリット)
日本企業が海外進出をする理由はいくつかあります。
- 市場規模の縮小
- 少子化による労働人口の減少
- 節税
- 新興国・発展途上国での市場拡大
一つずつ見ていきましょう。
市場規模の縮小
少子高齢化の影響で、日本の市場は縮小傾向にあります。
というのも、少子化で消費人口が減少しているので市場が拡大していかないのです。
加えて、最近の若者は車のような高いものを買わず、安いものを買ってシンプルな生活をする傾向が高いです。
そのような理由から、国内での市場拡大を目指すより、海外に出た方が企業を大きくしていけるのです。
少子化による労働人口の減少
少子化により、日本国内の労働人口が減少しています。
2022年の労働人口は6902万人で、前年よりも5万人も減少しているそうです。
労働人口が減ってしまうと、十分な労働力確保が難しくなり人件費が高くなることが予想できます。
それらの影響を避けるために、人件費の安い発展途上国に進出して人件費を抑えながら企業規模を拡大させようと考えているのです。
節税
近年、世界の法人税率は引き下げ傾向にあります。
2021年の世界の法人税率ランキングを見ると、日本は世界で7番目に法人税率が高いことが分かります。
日本よりも税率が低い国はたくさんあるので、その国に進出すれば税金を抑えることができます。
支出を抑えられる分浮いたお金を投資に利用することができるので、企業としても国内で規模を広げるよりもメリットが大きいのです。
画像出典元:世界経済のネタ帳
新興国・発展途上国での市場拡大
東南アジアなどの新興国・発展途上国では、まだまだ発展しきっていない事業がたくさんあります。
発展する余地が日本よりもあるため、そのような国で事業を起こした方が成功する確率が高いのです。
建設業でいうと、まだインフラが整備されていない国が多いためその分野で事業展開できればかなりの需要が望めるでしょう。

建設業の海外進出は進んでいるのか?
海外進出を考える企業が増えているようですが、建設業界でも海外進出が進んでいるのでしょうか。
大手ゼネコンは東南アジアを中心に海外進出を進めていますが、売上高の推移などを見ると日本企業は中国や欧州にかなり遅れを取っているようです。
2018年の情報ではありますが、建設経済レポートによると、日本の海外建設事業における売上高の推移は、年々減少していることがわかります。
2002年には日本の売上高は中国に勝っていましたが、2007年から逆転されてしまいそこからは中国にかなり離されてしまっています。
このように、日本企業の海外における売上高は10%未満でキープされてしまっているのです。
しかし、あまり売上高が振るわない状況であるにも関わらず海外事業を縮小する予定の企業は一つもなく、規模の拡大または現状維持を中期目標にしているところが多いようです。
新規工事が少ない日本国内だけで事業展開するよりも、新規工事の数が多い海外で仕事を探す価値はまだあるということでしょうか。
いずれにせよ、今後も海外進出を進める企業は増えていくと考えられます。
押さえておこう!海外進出の課題
海外進出にはメリットが多くあることが上記項目で分かったと思いますが、もちろん課題も存在します。
どのような課題があるのか把握しておきましょう。
人材の定着率が低い
多くの国では日本のように一つの企業でずっと働き続けることはほとんどなく、終身雇用や年功序列を採用している企業もかなり少ないです。
人材の流動性が高いため、安定して人材を確保することが難しいようです。
賃金や環境に不満があればすぐに転職してしまう可能性も高いため、人材を手放さないために定期的な面談や環境の改善が必要になってきます。
言語や文化の違い
やはり言語と文化の違いは大きな課題です。
日本人は英語を流暢に話せる人が少なく、教育の段階で言語の壁に突き当たります。
今は翻訳ツールやAIが発達しているため以前ほど課題ではなくなったように感じますが、仕事上の細かい指示をするには英語や現地の言葉が分かった方が海外の従業員も理解がスムーズでしょう。
また、文化の違いによってトラブルが生じる可能性も高いです。
日本人は時間にシビアですが、海外では時間を守る方が珍しい場合もあります。
そのような文化を知っておかないと、時間通りの作業ができなかったり取引先とのトラブルにつながったりする可能性があります。
進出までに多くのコストがかかる
海外進出をするためには、現地の情報を集めてニーズを把握し、競合調査、現地視察、事業の方針決定、拠点を置く場所の決定などさまざまなことを進めなければいけません。
現地に拠点を置くまででかなりの時間とコストがかかるため、ある程度の資金がなければ海外進出をしてそこから利益を得るような事業展開をしていくことができないのです。
先のことを考えずに思い付きで海外進出する企業はないと思いますが、まずは進出までのコストを考える必要がありそうです。
為替の変動リスク
為替レートの変動がダイレクトに現地通貨の価値に影響を与えるため、タイミングによっては工事の報酬が下がってしまうリスクがあります。
また、カントリーリスクも課題の一つです。
カントリーリスクとは、国の経済・政治の変化によって有価証券市場の混乱や下落が生じ、投資している資産の価値が変動する危険性のことです。
先進国であればそのリスクは低く、発展途上国であればそのリスクは高くなります。
そのため、常にそのリスクを意識しながら先を見据えた行動をしていく必要があります。
海外進出に成功した企業を紹介
海外進出に成功した企業のやり方を知ることで、海外進出のハードルが少し下がると思います。
ここでは海外進出に成功した日本企業を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
日東建設株式会社
北海道で土木建設をしている企業。
直接工事だけでなく、非破壊の建築検査機の開発・販売、地域のインフラ整備など幅広く活躍しています。
公共事業の激減に危機を感じ、状況を改善するために海外進出を決意したそうです。
まず、英語版のwebサイトを立ち上げたところ、海外からの問い合わせが急増したそうです。
その後、アメリカ・韓国・台湾・イギリスの展示会・商談会に参加したり、トルコ・フランスで営業活動を行ったりしたことで販売実績が増加したそうです。
現在は、韓国・台湾・シンガポールなど6ヵ国に販売拠点を設置し、非破壊検査装置の販売を行っているそうです。
長田電機工業株式会社
歯科治療関連機器の製造・販売を行っている老舗企業。
宮内庁への納品実績もあるほど高品質で信頼度の高い機器を製造しています。
昭和48年から海外進出をしているそうですが、進出のきっかけは販路拡大と機器に関する情報収集、加えて世界の人々の健康づくりをサポートしたいという思いからだそうです。
まず、アメリカに向けて販売を行い、メンテナンスのための子会社を現地に設立しました。
依頼を受けてから3日以内にメンテナンスを行ったことで現地での信頼度が激増しました、それからメンテナンス体制構築のノウハウを学び、そのノウハウを使って他国にも代理店を通じて事業展開を行ったそうです。
代理店教育を徹底することで迅速かつ高品質なメンテナンス体制が構築でき、市場開拓および顧客からの信頼を獲得しました。
長田電機さんは展示会に何度も参加しており、最初からチャンスにつながるものではないにしろ、何度も参加することで商品の魅力を分かってくれるバイヤーの方との繋がりを構築できるそうです。
有限会社モメンタムファクトリー・Orii
富山で高岡銅器の現代的着色仕上げ技術を生かしたインテリア用品や建築部材を生産・販売している企業。
数年先の経済状況や市場の動向を見据え、早い段階から海外展開をしようと決意したのが、海外進出のきっかけだそうです。
海外情報の調査・分析を行うJETROの専門家からアドバイスをもらい、アメリカを輸出先に決定し、その2ヵ月後に英語版のホームページを開設しました。
その後すぐに展示会に出展したことで、海外バイヤーや設計事務所などのからの問い合わせが急増したそうです。
その後も何度も展示会に出展したことで名前と製品を知ってもらう機会が増え、世界中のバイヤーから問い合わせが増えたようです。
失敗しないためのポイント5つ
海外進出の成功事例を紹介しましたが、それを参考に失敗しないためのポイントを紹介していこうと思います。
しっかりと調査・分析を行う
海外進出に失敗するのは、事前の調査や分析が不十分なことが原因であることが多いです。
自社製品・サービスのメリットデメリットを把握し、需要がありそうな国を見つけていく必要があります。
また、現地調査が足りないと、現地に店舗を設けたとしても事前に調べた情報と実際の状況が異なりうまく販売ができないというリスクもあります。
ネットや人づての情報ばかりを鵜呑みにするのではなく、実際にその地にいってそこに住んでいる人の様子を見たり現地のバイヤーに話を聞いたりして、本当に自社製品・サービスは需要があるのかを判断する必要があります。
また、海外進出のために新事業を立ち上げる際は、海外での市場やニーズの動きを把握してどんな製品・サービスなら売れそうか情報収集と分析が重要になります。
信頼できる現地パートナーを見つける
海外進出を成功させるには、それをサポートしてくれる取引先を見つける必要があります。
特に、現地の文化や法律、リスクなどを熟知している現地パートナー選びは慎重に行ってください。
メールや電話でのやりとりだけではなく、実際に会って信頼できる相手か確認し、比較検討して決めることをおすすめします。
現地パートナーの見つけ方はいくつかあり、JETROや地方自治体現地事務所の紹介や商談会、海外進出支援機関の紹介、現地パートナーマッチングイベント、現地で行われる展示会や商談会で出会うなどです。
現段階で行動に起こせそうな方法で信頼できるパートナーを見つけてください。
日本との違いをしっかり理解して動く
日本に住んでいると、治安がいいことや時間通りに従業員が出社することが当たり前になっています。
しかし、海外特に発展途上国では、そのような日本の常識は通じません。
経済が発展途上な分、治安も悪いし時間にルーズなのが当たり前の文化を持っている国も多いです。
進出先の国を決めたら、そこの文化や環境、人の考え方について徹底的に調査し、理解した上で現地にあった教育や会社設立を行う必要があります。
日本の成功体験を現地にも反映させようとすると、かえって撤退リスクを高めることになります。
郷に入っては郷に従えということわざの通り、現地の環境に合った方法でビジネスを進めていく必要があるのです。
撤退リスクを想定して、基準を設ける
海外進出を成功させるには、万が一の想定を持つことも大事です。
撤退の基準を設けないと、諦めがつかなくて利益が出ないのに現地に拠点を置いているせいで無駄なコストがかかるというような悪循環を生むことになってしまいます。
また、撤退基準を設けていないことで、撤退を宣言する際に現地従業員への説明や宣言タイミングに苦労した企業も多いようです。
あらかじめ撤退基準を定めておくことで、瞬時に行動できて撤退にかかる損失を省くことができます。
撤退基準は、設定したKPI・KGIの達成度合を見る、投資回収計画の達成度合いを見る、市場や競合の状況を見るなどして決めていきます。
また、戦略的撤退というものもあり、決められた期間までに目標の収益に達しなかった場合、速やかに撤退するというものです。
区切りを決めて素早く判断することで、大きな損失を防ぎ残りの資金を別のことに使うことができるので、撤退を素早く判断するというのも有効なのです。
SNSを有効活用する
今は、インスタグラムやYouTube、TikTokなど全世界に発信できるSNSがたくさんあります。
自社製品・サービスを活かせる媒体でターゲット層に興味を持ってもらえるような発信ができれば、SNS経由で認知度が上がり問い合わせにつながるでしょう。
SNSは無料かつ日本にいながら始められるので、ぜひ活用してみてください。
その際、日本語だけでなく英語表記のものも作ると全世界の人に伝わるでしょう。
SNSについてはコチラの記事で様々なSNSの活用方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

海外進出を成功させよう♪
海外進出はメリットが多いですが、その分実行までのハードルが高くコストもかかります。
まずは無料で始められるSNSでの発信をやってみて、海外からの反応があれば英語版のホームページ作成をしてみてはいかがでしょうか。
海外の問い合わせが多いようなら、展示会に出展してバイヤーと繋がりを持ち、海外支援を受けていくというような流れがいいと思います。
まずは海外の反応を探るところから始めましょう!もちろん、調査・分析も忘れないでくださいね。
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