2023年になってから、企業の賃上げが続いていますよね。
賃上げは従業員にとってかなり嬉しい動きです。
なんと、この賃上げの波は建設業でも行っているのです!
今回は、建設業での賃上げ動向とベースアップについて解説していきたいと思います。
建設業の賃上げ(ベースアップ)状況
建設業では、昨年の賃上げ実施率が95.4%となっており、平均賃上げ実施率を約10%も超えそうです(平均賃上げ実施率85.7%)。
ほぼ100%の実施率は脅威の数値ですよね。
加えて、国土交通省は2023年3月から公共事業の労務単価を5.2%に引き上げることを発表しました。
引き上げは11年連続で行われていましたが、5%を超えるのは9年ぶりとなるそうです。
引上げの理由は、人手不足が深刻な建設業でも人件費が上昇している現状を受け、労務単価の引き上げが技能者の賃金水準の上昇に繋がり好循環を生み出すためのようです。
大成建設や大林組など大手企業では、ベア(ベースアップ)が実施され、賃上げだけでなく初任給の見直しを行った企業も多いようです。
なぜ、建設業で賃上げを実施した企業が多いのでしょうか。
大きな理由が2点あるので見ていきましょう。
建設業で賃上げが増えている背景
人手不足解消のため
他の業界と比べても、建設業の人手不足は深刻です。
人手不足を解消し若手従業員を増やすためにも、賃金や初任給を増やして求人応募者数を増やしていく必要があるのです。
若手の賃金を上げることで若手従業員の離職率低下にもつながりますし、企業アピールの一つにもなります。
入札時の加点制度
賃上げをすることで公共工事の入札で有利になるという理由もあります。
2022年4月1日以降から、公共工事の契約は賃上げを行っている企業が優先されるようになりました。
この背景は、日本の労働分配率を高めるために賃上げが必要で、国や民間企業等が積極的に賃上げを進めていく必要があるからです。
労働分配率とは、企業活動によって生み出された付加価値全体のうち、どれだけ人件費に分配ししているかを表す指標で、これが高いほど従業員のモチベーションが保たれ生産性の向上につながります。
賃金が高くなると従業員の仕事に対するモチベーションも高まっていくため、これを推進するために賃上げが入札時の加点対象となっているのです。
賃上げに対応できないと倒産の可能性も…!?
建設企業が賃上げをする大きな理由は2点しかありませんが、これらの理由によりほとんどの企業が賃上げを実施しています。
実施している企業が大半のため、実施しないまたはできない企業は他企業と差別化され、人手を確保できない状況に陥ります。
そうなると、人が増えない上に公共工事の入札もしにくくなり、賃金の高い企業に人が流出してしまい最悪倒産に追い込まれる可能性もあります。
そうならないために、昇給やベースアップを実施していく必要があるのです。
「ベースアップ」という言葉になじみがない人もいると思うので、ここからは、ベースアップとはそもそもどういうものなのかを説明していこうと思います。
ベースアップとは
ベースアップ(通称ベア)とは、基本給が一律でアップすることを言います。
ベースアップは企業の業績や景気によって変動するため、個人の成果などは反映されません。
なお、ベースアップの金額は企業と労働組合が交渉をする「春闘(春季闘争)」によって決定します。
一度ベースアップを行うと簡単に戻すことは難しいそうです。
定期昇給との違い
定期昇給は、個人の社歴や成果、年齢に応じて賃金が増額される仕組みのことを言います。
個人の評価に合わせて変わるものなので、従業員一人一人で増える額が異なります。
賃上げとの違い
賃上げは、企業が定期昇給やベースアップなどの方法を使って従業員の賃金を上げることを言います。
つまり、賃上げが大枠としてありその中にベースアップと定期昇給が含まれるということです。
賃上げが増えている背景
きっかけは、2022年12月に日本労働組合総連合会が春闘で5%の賃上げを要求したことでした。
原材料価格高騰や円安、ウクライナ侵攻による物価上昇によって国民の生活が苦しくなり、経済活動が停滞しました。
そこで連合は、国民が豊かに暮らすためにはインフレ率を上回る賃上げが必要だと考えたのです。
2022年10月におけるインフレ率は3.7%だったため、連合は5%を超える賃上げを求めました。
賃上げをするその他の理由は、従業員のモチベーションアップと人材確保です。
どの業界でも人手不足が深刻化しているため、スキルを持つ人材の確保と今いる人材が他社に流れるのを防ぐことを目的に賃上げを行う企業が増えているようです。
要確認!ベースアップのメリット・デメリット
ベースアップにはどんなメリット・デメリットがあるのか気になりますよね。
確認していきましょう。
メリット
従業員のモチベーションアップに繋がる
ベースアップでは、個人の成果に関係なく従業員全員の給料が一律で上がります。
給料が上がることで従業員のモチベーションアップにつながり、生産性も上がることでしょう。
生産性が上がると企業の利益増加にもつながるので、好循環を生み出すことができます。
インフレの影響を減らせる
インフレの影響で従業員の生活が苦しくなっていますが、ベースアップを行うことでインフレによる生活への影響を減らすことができます。
従業員のことを第一に考えている会社として従業員の信頼度も上がります。
離職率が下がる
ベースアップを行うことで、従業員のモチベーションアップはもちろん、離職率も下がります。
経済が不安定な時に転職する人は少ないと思いますが、安定した時に「もっとたくさん給料をもらえる企業に努めたい」と思う人が多いと思います。
経済が不安定な時に何も対策を講じてくれない企業よりも、対策をしてくれる企業に入りたいと思うのが普通でしょう。
ベースアップなど賃上げの施策をすることで、インフレが落ち着いた後に離職を選択する従業員が減ります。
デメリット
企業の負担になる
ベースアップは昇給と違って全従業員に反映される賃上げなので、企業の負担が大きくなります。
定期昇給の場合は、勤続年数や成果、従業員数からある程度の負担金額が割り出せますが、ベースアップは連合との交渉次第なので負担がいくらになるか想定しにくいです。
そのため、予想以上の負担になるリスクがあります。
一度上げたらなかなか下げられない
基本給は、一度上げたら業績が悪化したとしても簡単には下げることができません。
ベースアップを行う際は、一気に上げるのではなく無理のない範囲で少額ずつ行っていきましょう。
賃上げ率の平均はいくらなの?
2023年の春闘での賃上げ予定企業は80.6%ですが、賃上げ率がどのくらいかも気になりますよね。
東京商工リサーチによると、賃上げ率は「3%以上4%未満」の企業が29.9%と最も多いようで、それに次いで「2%以上3%未満」が23.4%、「5%以上6%未満」が20.3%だったようです。
連合が5%を超える賃上げを要求しているわけですが、5%以上の賃上げを予定している企業は29.2%と3割にも及びません。
しかし、2022年10月の調査では4.2%のみだったので、連合の賃上げ要求が効いていると言えるでしょう。
ベースアップや昇給をして優秀な人材を確保しよう!
ベースアップは定期昇給よりも企業の負担が大きく、簡単には下げられないため慎重な判断が必要です。
建設業でも、賃上げは人材の確保や入札時の加点につながるため、余裕があれば賃上げを積極的に実施していくことをおすすめします。
賃上げをして従業員のモチベーションアップを促進していきましょう。
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