「経験を積んで独立したい!」と思って働いている建設業者は多いと思います。
しかし、独立にはそれなりの資金や準備が必要になります。
事前に準備を終わらせて、いざ独立する時スムーズにいくようにしておきましょう♪
独立先の選択肢
独立する方向は一つではありません。
建設業の独立には、「個人事業主」「フランチャイズ」「法人」の3つの選択肢があります。
個人事業主
個人事業主の良いところは、開業に手間がかからず設立費用もない点です。
収入によっては税金が安くなる場合もあり、一番費用がかからない形態になっています。
始めは資金も少なく実績もないので、かかる費用の少ない個人事業主から始めてみるのも手でしょう。
ただし、会社に比べて社会的信用度がないため、融資が受けにくかったり仕事ももらいにくいといったリスクがあることは知っておきましょう。
個人事業主の手続き
〇開業届け
管轄の税務署に開業届けを提出する必要があります。
- ・事務所または自宅を管轄する税務署
- ・原則、事業開始日から1か月以内に提出
〇青色申告承認申請書(確定申告)
税金が優遇される青色申告をしておくと、確定申告を有利に進められるため提出をおすすめします。
- ・その月の3月15日まで/1月16日以降に事業を始めた場合は、事業開始から2か月以内に提出
- ・家族を専従者とする場合、「青色事業専従者給与に関する届出書」も同様の期限で提出
その他、国民保険・国民年金・労災保険への加入も忘れないようにしましょう。

廃業や退職時の生活資金を積み立てることができるため、小規模企業共済にも入ることをおすすめします。
フランチャイズ
フランチャイズでの独立派、リフォーム業で多いパターンのようです。
フランチャイズでは、特許取得済みの商材を使用できるためアピールポイントになります。
また、本部が資金や情報収集の力を持っているため、市場の動きやニーズを的確に判断してそれに合った商品を売ることができるのもメリットです。
本部のノウハウを活用して作業効率を上げたり収益を上げることができるため、スムーズに利益を得やすいです。
デメリットとしては、開業時に保証金や加盟金など一定の初期費用がかかることです。
加えて、売上の一部がロイヤリティとして本部に取られてしまいます。
ロイヤリティは数十万円など高額な場合もあり、利益がかなり削られてしまうリスクもあります。
販売価格や取扱商品にも制限がかかるため、自分の店でありながら自由にできないのもデメリットです。
フランチャイズの手続き
〇問い合わせ
フランチャイズ加盟店を募集している企業に問い合わせ・応募をする
事業内容や現状などを話し合い、加盟店にふさわしいか判断する
〇審査
- ・開業資金を用意できる人物か
- ・過去に自己破産していないか
- ・過去にトラブルはなかったか
- ・必要な資格を取得しているか
- ・配偶者の有無(いる方が有利)
などのことを審査し、信用できる人物だと判断されたら通過できます。
審査が通過できたら本契約です。
〇加盟費用
初期費用は150万円~300万円程度
その他研修費や機材費もかかるため、ある程度の資金をあらかじめ集めておく必要があります。
法人
法人化のメリットの一番は、やはり社会的信用度が高いことです。
個人事業主よりも仕事や融資が受けやすいため、事業がやりやすいのです。
また、節税対策もしやすかったり、社長が変わっても建設業許可を取り直す必要がないため事業継承がしやすいのもメリットです。
デメリットとしては、事業設立時にお金がかかる、個人事業主よりも経費がかかる、社会保険料がかかるなど、金銭面での負担が個人事業主よりも大きい点です。
開業資金が少ない場合は、直接法人にするのは資金的リスクが大きいためおすすめしません。
個人事業主で実績や資金を貯めて、余裕ができてから法人化することをおすすめします。
法人の手続き
〇法人登記
法人登記とは、社名や事業内容・事業の目的・代表者の名前などを一般に開示できるようにすることです。
これによりその会社が社会的信用を得たり、相手が安心して取引できるようになります。
法人登記には
- 定款認証の手数料
- 登録免許税
- 登記簿謄本・印鑑証明書代
- 印紙代
などにお金がかかります。
司法書士などに依頼すればもっと高額になるため、20万円ほどかかる場合もあります。
〇社会保険加入
法人の場合、1人も雇っていなかったとしても加入義務があります。
費用がかかるのはもちろんですが、手続きも多く手間がかかるので覚悟しておく必要があります。

このように、独立といっても3つの方向があるので、あなたの資金や希望に合わせてどの方向でいくのかよく考えて決めてくださいね!
独立までのステップ
独立といってもすぐにできるものではありません。
まずは、独立するまでにどのようなステップを踏む必要があるのか見ていきましょう。
建築経験を積む
独立するためには、まず経験を積んで技術力を磨く必要があります。
経験がないとクライアントや協力会社の信頼も得られないので、企業の社員になったり下請け会社の作業員になって経験や技術力を増やしていきましょう。
資格を取得する
建設業許可を取得・維持できるように、専任技術者の資格を取りましょう。
専任技術者になるには、建設業許可の種類や建設業の業種に応じた資格や経験を持っている必要があります。
要件としては、
- ➀国家資格等を持っている
- ➁実務経験が10年以上
- ➂許可が欲しい建設業種に応じた学歴と実務経験を持っている
のいずれかに該当する必要があります。
どれかをクリアした段階で専任技術者の資格取得を目指すといいでしょう。
建設業許可については後述します。
開業資金集め
独立にはそれなりにお金がかかります。
事務所や工具、経理などデスクワークを行うためのデスク・椅子・PC・固定電話・インターネット回線などなど…。
一から事業を始めるとなると全て揃えなければいけないので、どのくらいのお金がかかりそうか計算して、修業時代から開業資金を集めておく必要があります。
事務所を見つける
開業資金が溜まったら事務所探しです。
事務所がなければ事業を行うことはできませんよね。
従業員を他に雇う予定ならば、その人数がストレスなく働ける広さのある事務所を選びましょう。
価格も大事ですが、場所も重要です。
アクセスのしやすい場所にするのか、都心or地方どちらに事務所を構えるのかなど、自分が理想とする働き方に合った場所を選びましょう。
開業届けを提出する
一人親方として独立し個人事業主になる場合、税務署に開業届けを提出する必要があります。
法人化を目指している場合、個人事業主で実績を積んでから法人化することをおすすめします。
法人化のメリットは、社会的信用度が上がる・節税できる・業績悪化時の責任を限定できるなどです。
建設業許可を得る
建設業許可を取る主なメリットは
- 500万円以上の工事を請け負える
- 公共工事ができる
- 信用度が高まる
の3つです。
請け負える案件の幅が広がるため、得られる利益も増加するのです。
今後事業を拡大・安定させるためには必要なものなので、取得することをおすすめします。
仕事を受注する
仕事がなければ会社はやっていけません。
ゼネコンやハウスメーカーから仕事を貰う、知人に仕事を紹介してもらう、自分で受注するといった方法がありますが、独立後実績がない時に仕事に困らないように人脈を広げておくことも重要です。
しかし、最近は便利な建設業マッチングサービスがあります。
これを使えば、人脈がなくても職人が欲しい会社と簡単に繋がって仕事をゲットすることができるのです!
KIZUNAはマッチングサービスの中でも審査制で信頼度が高く、サポートも充実しています。
詳しく知りたい方、仕事が欲しい方はぜひ詳細を知っていってください♪
資金はどのくらいいる?
一人親方の場合最低100万円、従業員がいる場合最低200万円は用意しておくといいでしょう。
開業には、
- 事務所を借りるお金
- 工具代
- 重機代
- 従業員の給料2か月分
- 事務所内の家具
- インターネット回線
- PC・電話機などIT機器
など、最初の方はいろいろなものにお金がかかります。
しかし、中々100万や200万もお金が貯まらないこともあるでしょう。
その場合は、国の融資制度を利用しましょう!
日本政策金融金庫では、中小企業や小規模事業者向けに低金利で融資を受けることができます。
滞納がないなど社会的信用があり、自己資金がある程度ある人であれば融資を受けることができます。
しかし、審査の通過率はあまり高くありません。
審査の通過率を上げるには、専門の税理士に頼むのが一番手っ取り早い方法です。
もし融資をどうしても受けたい場合は、税理士を探してみてください。
独立は夢がある!?年収はいくらになるのか
大工の場合
大工の棟梁の場合は平均年収800万円、一人親方の場合900万円だそうです。
独立すれば発注者から直接仕事を貰うことができるので、手元に残るお金が企業に努めている時よりも多くなり収入が高くなるのです。
しかし、これはあくまで平均であり、雇われの時と変わらない人もいればそれ以下になってしまっている人もいます。
一人親方の場合、自分で仕事を探すし必要があるので、仕事が受注できなければそれだけ収入も減ってしまうのです。
内装工事業の場合
内装工で独立した場合の平均年収は、630万円だそうです。
室内で快適に過ごすための工夫(遮熱・防音など)を行ったり、フローリングやふすま等の内装仕上げを行う職種です。
繊細な作業だけでなく力も必要になり、建築にはかかせない仕事ですが、見習い期間が短く1人前になりやすいので、人数の多さから独立しても年収が跳ね上がらないのでしょう。
独立資金が少なく済むため独立しやすいのも理由の一つかもしれません。
とび職の場合
とび職は、独立すれば年収1000万円になることもできます。
というのも、とび職は高所での作業が多く危険を伴うため、専門性の高い職種でありどこでも重宝される存在です。
新築工事だけでなく改修工事でも活躍するため、建設現場に必要不可欠な存在なのです。
体力だけでなく創造力も必要になるなど、様々なスキルが必要になるため独立すると年収が高くなるのでしょう。
リフォーム業の場合
フランチャイズのリフォーム業の平均年収は500万円程度のようです。
しかし、単価の高い案件をいくつも受注したり営業を自社で行えるとなると年収は上がり、700万円~800万円になるそうです。
複数名でこなせば1000万円も夢じゃない職種のようです。
実は、リフォームはリフォーム費用が500万円以下なら無資格でも行うことができるため、素人でも手が出しやすい職種なのです。
しかし、より高い年収を得るためには、資格を持っていた方がいいでしょう。
建築士や施工管理技士などの資格を有していた方がクライアントの信用にも繋がるので、資格を取得することをおすすめします。
工務店の場合
一人親方で1000万円を稼ぐのは人も資金も足りないため非常に難しいです。
そのため、年収1000万円を目指すなら工務店として法人化し、従業員を雇って仕事の幅や事業を拡大していくのがいいのです!
上述したように、法人化すると社会的信用度が高まり、融資を受けやすくなったり求人も応募してもらいやすくなります。
事業を拡大して収益を増やすには、法人化を目指すのが一番なのです。
失敗の原因と解決策
独立は、必ず成功するわけではありません。
- 個人事業主の廃業率は、1年で37.7%、3年で62.4%
- 法人の廃業率は、1年で20.4%、3年で37.2%
と、3年で続けるのもかなり難しいことが分かります。
法人は個人事業主に比べると3年後の廃業率が低いですが、10年後の廃業率は64%まで上がってきます。
会社を10年維持することは、個人事業主はもちろん法人でも至難の業です。
何も考えずに独立してしまうと失敗してしまう可能性が高いので、失敗の原因と解決策をここで知ってから独立に臨みましょう。
【失敗の原因】
独立の動機が薄い
「上司に指図されるのが嫌だから」「自由に働きたい」などの薄い理由で独立するのは危険です。
経営が落ち込んでしまった時、独立に対する強い思いと信念がなければすぐに挫けてしまうからです。
そのため、独立を考える際は”独立の目的は何か、その目的があれば辛くても挫けずやれそうか”を最初に自問自答することをおすすめします。
手に職があるとはいえ、軽い気持ちで成功できる程甘くないのです。
独立に関する知識が少ない
独立する前に何も調べず突き進む人は早々いないと思いますが、準備するもの・注意点・リスク・失敗しない方法など、様々なことを調べてから行動しましょう。
知識不足だと失敗する確率も上がりますし、通らなくていい険しい道を進む羽目になりかねません。
何を始めるにも、未来を見越して下準備することが大事です。
この記事を見ているあなたは独立の知識を身に付けようと下準備をしているので、その点は安心です♪
金払いが悪い
独立したら、どんな支払いも自分の資金から出すことになります。
開業したての頃は資金が少ないため、支払いを先延ばしにしたり遅らせたくなる気持ちも分かります。
しかし、お金のやり取りは一番キッチリしなければいけません。
プライベートでもお金に信用がない人は嫌われてしまいますが、ビジネスだと嫌われるだけでなく会社経営に支障が出てしまいます。
銀行や取引先への支払いを遅らせてしまうと、「信用ができない社長・会社」というイメージが張り付いて融資や仕事を貰えなくなってしまいます。
出費がきつくても、支払いは期日内にしっかり行いましょう!
リスクを恐れる
独立・企業にはある程度のリスクが発生します。
新しい重機を導入する、ITツールを導入するなど、失敗のリスクはあるけど作業効率を上げてくれるものに投資することも大事です。
そういったリスクを冒せない、頭が固い、臆病な人は独立してもすぐに失敗してしまうでしょう。
人と違うことをするには、ある程度リスクを冒す勇気が必要なことを覚えておいてください。
他社との差別化ができていない
独立直後は他社との価格競争にさらされます。
というのも、独立したばかりで実績もなく知名度がない状態では、低価格にして依頼ハードルを下げるしかないからです。
しかし、低価格でやっている大手や低価格に特化している会社には到底敵いません。
あまり価格を下げてしまうと、そこから価格を戻せなくなり経営が立ち行かなくなるという最悪な事態も考えられます。
価格競争を避けて利益を上げるために、例えば
- ・○○資格(複数だとなお可)をもったベテラン施工員による丁寧な家造り
- ・ペットと安全に暮らすためのリフォーム
- ・抗菌/断熱に特化したリフォーム会社
など、自社の強みを活かしつつ他社と差別化できるようなコンセプトを見つけることが大事です。
また、今はネットで調べることが多いので、見やすいホームページを作成することもおすすめです。
建設業がホームページを作るメリット、ホームページ開設時のポイントなどまとめているので、こちらのページをご覧ください♪

仕事がない
仕事の当てがあまりない状態での独立はリスクが大きいです。
最初は、知人や昔の仕事仲間などを通してなんとか仕事をもらうことができるかもしれませんが、その後新規顧客や新しい仕事を受注できずにそのまま廃業・・・なんてことも。
独立する前に上司や取引先との飲みなどに積極的に参加して、仲良くなっておくといざという時に助けてくれるでしょう。
しかし、今はコロナ禍ということで飲みに行く機会も減って知りあうのが難しくなっています。
その場合は、最近急増している建設業マッチングサービスを利用しましょう!
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独立したての方の力になれるはず!
一人で抱えすぎる
開業当初は資金もないため、やることが多くても従業員を雇う余裕がなく何でも一人でやってしまいがちですよね。
しかし、それはかえって会社の首を絞めてしまうのです…!
会社経営では、今まで携わっていなかった事務処理や手続きなどのデスクワークも他人事ではなくなります。
このような事務処理は量が多い上に記入場所や確認書類が多いため、膨大な時間がかかります。
現場で力仕事を行いつつ、膨大な時間がかかる事務処理を1人で行うなんて至難の業ですし、体を壊して働けなくなる恐れもあります。
許容範囲外の仕事は他の人に任せる決断ができないと、余裕がなくて売上を上げることもできなくなってしまいます。
従業員を雇うのが難しいなら、アウトソーシングサービスを活用しましょう。
雇う場合の人件費・教育コストなどがかからないので、コスト削減できます。
アウトソーシングサービスの業者は、特定業務に特化した人材を多く用意しているので、クオリティの高い成果物を上げてきてくれることでしょう。
まずはアウトソーシングサービスで業務効率をアップさせ、資金に余裕がでたら従業員を雇う方向にシフトしてもいいと思います。
まとめ
独立を目指すのは素敵なことですが、開業することがゴールではありません。
利益を生み出し従業員を雇って会社を大きくしていかなければ独立の意味がなくなってしまいます。
独立で重要なことを簡単にまとめると、
- ・独立前にたくさんの情報を得る
・資金をある程度貯めておく
・リスクを恐れない
・失敗する原因を理解しておく
・自分で抱えすぎない
ここが特に重要な部分です。
情報を集めて、何十年と続く会社を立ち上げてください。
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