SDGsと共に、「グリーンインフラ」という言葉を聞くようになった方は多いのではないでしょうか。
グリーンインフラも、地球環境をよくする取り組みに対する考え方です。
建設業にも関係があり、すでに取り組みを始めている企業もいるのである程度知識を入れておいた方がいいです。
グリーンインフラについて分かりやすく説明するので、ここで知っていきましょう。
グリーンインフラとは
自然が持つ様々な機能を、災害防止や地球環境の改善、地域復興など持続可能な社会を作るために取り入れる考え方のことです。
自然環境の特性を生かしたインフラ整備を行うことで、防災・地域課題への対処を行うことになるとともに、素晴らしい景観を守ったり、生物の生息地の提供に繋がったり、レクリエーション等文化提供を行うことにも繋がります。
自然を尊重したインフラ整備を行うことは、人間だけでなく他の生き物にとっても行きやすい環境を作ることになるのです。
SDGsとの関係
自然の機能を活用してインフラ整備を行い、住みやすい街づくりや環境保全に貢献するグリーンインフラは、SDGsの掲げる目標と一致する部分が多いです。
グリーンインフラを推進していくことで、同時にSDGsの目標にも貢献していることになるのです。
建設業との関係
建設業は、環境や自然に関わる仕事やインフラ整備を行う仕事を担っているため、グリーンインフラの推進に欠かせない存在です。
ダムの建設・河川の保全/再生・建物緑化・海外防災林など、建設業の方が自然の保全と共に人が暮らしやすい環境を整えてくれているおかげで、私たちは住みやすい環境で生活することができています。
建設業の仕事そのものがグリーンインフラに貢献しているのです。
グリーンインフラが必要とされる背景
グリーンインフラという言葉は、アメリカで生まれました。
当時のアメリカでは、「経済成長」と「自然豊かで市民が健康的に生活できる社会」の両立が求められており、2007年に社会資本整備手法の一つとしてグリーンインフラの推進に関する協定が交わされました。
グリーンインフラの推進によって、
「国土の適切な管理」「安全で持続可能な国土作り」「社会課題に対応した地域社会の形成」の3つが求められるようになったそうです。
近年欧米を中心に取り組みが進められているグリーンインフラですが、
日本でも、人口減少や少子高齢化、気候変動に伴う災害リスクの増大といった課題に素早く対応しなければならなくなっており、
自然の機能を活用してより住みやすい環境に変えていくグリーンインフラの取り組みを通じて、そのような課題を解決しようという動きが出てきているのです。
どんな効果がある?
グリーンインフラの取り組みは、様々な効果をもたらします。
- 地球温暖化の緩和
- 自然生物の保護
- 浸水対策
- 防災
- レクリエーションや健康増進の場を提供
詳しく見ていきましょう。
地球温暖化の緩和
近年、ビルやアスファルトが空気を暖めて都市部の気温が上昇するヒートアイランド現象が深刻化しています。
ビルの間に緑を増やしたり、舗装や路盤に雨水を保持する機能を持たせて歩道の気温下げるなど、ヒートアイランド現象を防いで地球温暖化を緩和させることができます。
自然生物の保護
グリーンインフラは、野生生物の保護にも繋がります。
河川においては、寄せ土や石積み護岸にすることで生物が暮らしやすい環境を作ったり、海においては、階段状の緩やかな護岸を作ってアサリやカニなどの生物や海藻が育ちやすい場を提供します。
このように、インフラ整備を行うことで生き物が済みやすい環境を作ることができるのです。
防災
ダムを作ることで洪水や土石流を防いだり、道路付近に雨水を貯めたりゆっくり浸透させる機能を追加することで、都市部での浸水を防いでいます。
また、海岸付近に木を植えることで、津波の勢いを穏やかにしたり砂や風の被害を防ぎます。
グリーンインフラの取り組みは、環境に優しいだけでなく防災にも繋がるのです。
レクリエーションや健康増進の場を提供
河川付近を整備したり遊水地を作ることで、人々が安全に川遊びや散歩を楽しむ場所にもなります。
道を整備して人々が歩きやすくなることで、健康生活の促進にも繋がるのです。

このように、グリーンインフラの取り組みは一石二鳥どころか三鳥、四鳥とメリットがたくさんあります。
一つの取り組みを行うだけでも付随して他のメリットも付いてくるので、積極的に取り組みを行っていきましょう♪
国内の取り組みについて
日本国内ではそのような取り組みが行われているのでしょうか。
横浜市の治水対策とヒートアイランド対策
横浜市では、治水対策による保水・浸透の取り組みと共に、ヒートアイランド対策も行っています。
治水対策としては、公共施設や公園、歩道などに雨水浸透ますや雨水貯留タンクの設置を行っています。
また、土の中に砕石を詰めることで、雨水が地面にゆっくりと浸透するようになり洪水の緩和に繋がります。
ヒートアイランド対策としては、ビルや歩道周辺に樹木を植えることで日陰を作って気温の上昇を抑えています。
オフィス街に緑があるおかげで景観がよくなる効果も得られています。
東京のオフィス周辺緑化
東京の大手町や二子玉川では、「人間には自然と繋がりたいという本能的欲求がある」という概念を反映した空間デザインの手法である「バイオフィリック・デザイン」をオフィス空間に反映して緑の範囲を増やしています。
大手町では、オフィス街の中に森を再現したり、小さな公園のような場所に緑をたくさん植えて、オフィス街でも自然の中でリラックスできるようになっています。
二子玉川では、オフィス周辺に緑を提供したり、ビルの屋上を緑化したりしているようです。
大阪の健康促進のための公園
北大阪健康医療都市 健都レールサイド公園では、健康と医療のまちづくりを促進させる公園として整備されています。
公園内には、国立循環器病研究センターと市民病院の協力・監修のもと、健康遊具が27基、ウォーキングコースが4種類用意されているそうです。
これにより、地域市民の健康をサポートすることができます。
また、「緑の遊歩道」という場所もあり、そこには7種類の桜を栽培していて2か月の間桜を楽しむことができるそう。
遊歩道を歩くだけでなく花や樹木を楽しむことができる素晴らしい公園です。
茨城県のグリーンカーテンとグリーンホップ
茨城県守谷市では、グリーンインフラの一環としてホップを栽培しながらグリーンカーテンとして活用しているそうです。
栽培したホップはビールとして生産され、地元商店やふるさと納税の返礼品として多くの人に提供されています。
売上の一部は、グリーンインフラの資金に充てているそうです。
グリーンカーテンで気温を下げつつ、そのグリーンカーテンも人々が喜ぶものへと変換しているこの活動は、まさに一石二鳥で素晴らしい活動です。
グリーンインフラの課題はある?
グリーンインフラの課題としては、
- 普及しにくい
- 費用がかかる
- 省人化する必要がある
- 企業や自治体などが協力する必要がある
この4点が挙げられます。
普及しにくい
現時点で、グリーンインフラに関する技術指針が確立されておらず、様々な機能に関する数値による指標や評価方法についても明確ではありません。
そのため、公共施設などで普及しにくいのが現状です。
その中でも、自然災害に対する防災効果や安全性に対する技術指針が求められています。
費用がかかる
道を整備したり緑を植えたりと、グリーンインフラの推進にはある程度の費用がかかります。
しかし、グリーンインフラで整備することは費用対効果が高いとも言われています。
グリーンインフラは、時間が経つにつれ機能が高まっていき大きな効果をもたらすため、導入費用が高くても長い目で見たら低コストで済むということを理解しておきましょう。
省人化する必要がある
人口が減少する中で、グリーンインフラが劣化したり放置されないように、適切に管理していく必要があります。
人手が足りない中でも十分な管理が行えるように、IT技術を活用しながら効率よく管理していく必要があります。
企業や自治体などが協力する必要がある
グリーンインフラを推進していくためには、企業・国や地方公共団体・教育/研究機関・住民などが協働作業や合意形成をしていく必要があります。
横断的に連携が取れるよう、仕組みを整えていくことが重要です。
まとめ
グリーンインフラは、地球にも人にもいい影響をもたらすものです。
自然と人が共生していくために必要な整備なので、もっと国内で広がっていけばいいと思います。
建設業は特にグリーンインフラに貢献できる仕事が多いため、積極的にグリーンインフラを推進していきましょう!
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