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建設現場で3Dプリンターが活用されている!メリットや事例など解説

3次元モデルを元に物体を生み出すことができる3Dプリンター。

今までは小物類の作成が主でしたが、最近は建築分野にも取り入られており海外では3Dプリンターを活用して建物や橋が作られ実際に利用されています。

このように、3Dプリンターには無限の可能性が秘められています。

 

今後は日本でも活用例が増えていくことを見越して、ここで3Dプリンターについて知っていきましょう。

 

3Dプリンターが注目されている理由

3Dプリンターが注目され始めたのは、基本技術の一つである「熱溶解積層方式」の特許が切れ、今まで高額だった3Dプリンターが低価格で手に入れやすくなったからだと考えられます。

また、粉末焼結積層(SLS)方式も特許が切れているので、ますます3Dプリンターに手を出しやすくなっています。

 

3Dプリンターで作れるもの

3Dプリンターではどんなものが作れるのでしょうか。

 

建設分野に限らず現在まで作られているものは、

  • 試作モデル
  • 製造業で使う工具
  • 歯型や臓器などの3D模型
  • 義手・義足
  • 3Dフィギュア
  • 服・靴
  • スマホスタンドや石鹸置きなどの小物

などなど、様々な分野のものが3Dプリンターで作られているのです!

 

既に私たちの日常に入り込んでいたなんて驚きですね。

 

3Dプリンターを建設業で利用するメリット

施工期間の短縮

3Dプリンターを使って1日未満で住宅が完成した例もあり、3Dプリンターを使えば施工期間を大幅に短縮できます。

 

金型を製作する必要がなくなるので、そこにかかっていた工数を削減することができます。

試作品も簡単に作ることが出来るため、開発にかかる時間や手間も削減できるのです。

 

材料費が減る

3Dプリンターであれば、データを保存しておくだけで好きな時に必要な分だけ製作することができます。

そのため、余分な在庫を抱える必要がなく材料費・廃棄ロスを削減することができます。

SDGsの観点においてもメリットですよね。

 

省人化できる

金型製作や在庫の作成がいらないため、少人数で作業を進めることができます。

手間が減ることに加え省人化にもなるのです。

 

人手不足が深刻な建設業にとって、少人数で作業ができるのは魅力ですよね。

3Dプリンターを取り入れることで、中小企業も大きなプロジェクトに関われる可能性も出てくるのです。

 

加工できる形状が増える

通常の建築方法では曲線構造の建造物は造るのが難しく、多くのコストがかかるものでした。

 

しかし、3Dプリンターを使えば曲線構造も従来より簡単に製作することができます。

そのため、よりデザイン性の高い建造物や省スペースでの建設が可能になるのです。

 

3Dプリンター活用に関する疑問に答える

どうやってものを作っている?

3Dプリンターの材料であるフィラメントは、熱で溶ける性質を持つプラスチックです。

読み込んだデータの形を元に、溶けたフィラメントを積み上げて立体を作り上げているのです。

元となるデータは、スキャナーで取り込んだりフリーのものをダウンロードして使用することもできます。

 

材料は何を使っている?

3Dプリンターでは、ゴム素材から金属まで幅広く造形することができます。

そのため、造るものによって材料は変わってくるのです。

 

  • ABS樹脂:電化製品の外装などによく使われる。強度のバランスが優れている
  • ASA樹脂:ABS樹脂と似ているが、耐候性があるため屋外での使用に向いている
  • PLA樹脂:凡庸プラスチック。造形不良が起こりにくく初心者向け
  • 石膏:造形時に色を付けることができるので、外観に用いられる
  • 光硬化性樹脂:透明度が高いもの、カラー対応のもの、ゴムのような柔軟性があるものなど様々な種類がある

このように、造るものによって使う材料も変えていきます。

 

建設許可は受けられるの?

受けられます。

日本でも、2022年2月に群馬で建てられた3Dプリンター建造物の倉庫が初めて建設業許可を取得しました。

 

日本では、床面積10平方メートル以上の建物を造るには行政からの建設業許可が必要になります。

それは3Dプリンター建築も同様です。

 

また、建築基準法により建物の骨格である「構造」も必要になるので、壁は3Dプリンターで作り、その支えとして鉄筋などを組み合わせることで建築基準法に則った建物にすることも必要です。

 

価格はどのくらい?

3Dプリンターは低価格化が進んでおり、業務用であっても100万円以下で購入できるものも出ているようです。

3Dプリンターを購入する際は予算だけでなく、何を造形したいのか、アフターサポートはしっかりあるか、などもしっかり検討して選ぶようにしてください。

 

3Dプリンターを使った建設物の事例

群馬で倉庫を建設

3Dプリンター建築 日本初 建設業許可

2022年2月、建設用3Dプリンターを開発する株式会社Polyuseが、3Dプリンターを使った建築物を完成させました。

日本初、「3Dプリンター建築で建設業許可を得た建物」です。

 

1パーツ造るのにかかる時間は約5時間で、合計12パーツでできているので建設時間は合計60時間となります。

3Dプリンターでは内壁と外壁を一気に作れるところがメリットのようです。

 

愛知で家を製作し、今夏発売される

3Dプリンター住宅 日本 スフィア

世界最先端の住宅開発・販売を行っているセレンディクス株式会社COOにより、3Dプリンターで造られた10平米の3Dプリンターの家が話題になっています。

 

住むための住宅としては広さが足りませんが、スタイリッシュな見た目でグランピング用として造られたようです。

最初は10棟がグランピング用として製作され、改良を繰り返して2020年8月には一般向けの販売も行うそうです。

 

ニューヨークの斬新な住宅

ニューヨーク homed ホームレスシェルター

ニューヨーク homed ホームレスシェルター

現代社会が抱える問題に住宅デザインを通して立ち向かっていくFramlabは、ニューヨークのシェルター問題を解決するための3Dプリンター建築「Homed」プロジェクトを開始しました。

ニューヨークのホームレス問題を解決するため、避難所となるシェルターを建物表面のデッドスペースを使って作り上げるというプロジェクトです。

 

3Dプリンターで六角形の住宅スペースを造り、印刷されたモジュールによって間取りを自由に変更することができるようになっています。

 

また、住宅ユニットの前面には「スマートグラス」が採用されており、住居者のプライバシーを守るだけでなくデジタルコンテンツを表示できるため広告やアートを写してオーナーの収益にも繋がります。

 

ロシアに建てられた住宅

3dプリンター住宅 ロシア 事例 Apis Cor

ロシアのモスクワに建てられた3Dプリンター住宅は、円形のフォルムでとてもかわいらしい見た目です。

室内も広く、快適に住めそうです。

 

こちらの住宅は、建材に廃棄ロスが出ることなく一般的な住宅に比べて60%もコストダウンできているそうです。

余分な工具や建材が発生しないため、材料費が抑えられて作業員の負担も減っているそうです。

 

まとめ

このように、3Dプリンターを使った建設物は世界中で広がりを見せています。

材料費や人件費が削減できるため、その分をデザインや品質向上に持っていけるのは建設業界においてとても魅力的な点です。

 

今後、3Dプリンターを使った建築が主流になっていくと考えられるため、今から導入を検討してみてもいいかもしれません。

ぜひ、3Dプリンターの可能性に注目していってください!

 

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