建設業は、2022年現在も7割以上の企業が人手不足で悩んでいます。
人手不足の原因は、「長時間労働」「低賃金などイメージがよくない」などが主に考えられますが、”見て覚える”というアナログな教育体制によって人材が育っていないことも、人手不足の原因の1つとして挙げられます。
今回は、建設業の人材育成に焦点を当て、育成方法などを知っていきましょう!
建設業の課題
人手不足
やはり建設業で一番課題となるのは人手不足です。
昭和51年から令和3年までの就業者数の推移をみると、昔は就業者も年々増加傾向にあり高水準を維持していましたが、平成の終わりから令和に入ると徐々に就業者数が減っていき、低水準になってしまっています。
画像出典元:国土交通省
建設業の体制がなかなか変わらないため、若者が嫌煙するようになってしまっているのです。
職人の高齢化
画像出典元:国土交通省
建設業では約3割が55歳以上で、29歳以下は約1割にとどまっています。
高齢者数はどんどん増え一方で若手は減っていっているため、ジェネレーションギャップが大きく信頼性を築けない、良い育成環境が整わないなどの弊害があります。
このままでは高齢従業員が増え続け、一気に退職して人手不足がさらに深刻化する恐れがあります。
長時間労働
長時間労働が問題視されていますが、建設業では相変わらず長時間労働を行っている企業がはびこっています。
2020年の毎月勤労統計調査によると、建設業の双日労働時間は164.7時間で、全産業平均よりも30時間以上多いという結果になりました。
長時間労働がこのまま続いていくようでは、人手の確保は望めません。
しかし、2024年4月には労働時間の上限規制が適用されるため、もう少し緩和されると期待できます。
人材を育成しないと将来がない
今いる若手人材を育成していかないと、
- 技術を後継していけない
- 若手の可能性を潰してしまう
- 若手の離職に繋がる
などなど、様々なリスクが生じてしまいます。
「もっと早く対策していれば…」と後悔しないためにも、今から育成方法を知っておきましょう!!
今から始めよう!人材育成方法5つ
建設業・自社での基本やマナーを伝える
新入社員の中には未経験の人も含まれます。
そのため、まずは建設業全般での基本知識やマナー、社内での知識やマナーを伝えましょう。
基本を理解してもらわないと、実際に作業する際に連携がとれなかったり上司から怒られたりと、新入社員にとって大きなダメージを与えてしまいます。
上司とのコミュニケーションを頻繁に行う
建設業の作業はいろんな人が協力し合って行われています。
そのため、上司や同僚とコミュニケーションを取っておかないと作業に影響が出る可能性があります。
コミュニケーションを頻繁にとることで、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)も自然とできるようになりトラブルが起こりにくくなります。
従業員同士のコミュニケーションを活発にするための研修というものもあるので、ぜひ参加してみてください。
研修を実施する
研修をすることで、企業の目指す方向や理念、作業の流れなどの基本的な知識を新入社員に伝えることができます。
先輩が研修を行えばそこでコミュニケーションが生まれます。
また、社内研修以外に外部研修に行ってもらうことで、建設業界で働く基本知識やチーム研修などを学習してもらうことができます。
【外部研修の種類一例】
研修名 | 研修内容 |
新入社員教育研修 | 建設業で働く若手が最低限知っておくべき業界の仕組み・業務の流れ・マナーの習得 |
新入社員フォローアップ研修 | 配属後数か月の業務を振り返り、成功や失敗を改めて考える。
同期の経験を聞き業務遂行のヒントを得る |
各スキル習得研修 | 安全衛生責任者コース・施工管理業務習得コースなど、各スキルに合わせて内容が異なる。
なりたい職種の基本知識やスキルを習得 |
体験型研修 | 「施工ゲーム」「入札ゲーム」など、入札~竣工までをゲーム形式で学べるものや、ゲームを通してチームワークやコミュニケーションを学べるもの。
ゲームなので楽しみながら知識を身に付けられる |
OJTを行う
OJTとは、「On the Tob Training」の略で実践を通して仕事の仕方を学んで行くというものです。
建設業は体を動かす仕事が多いため、OJTがあっています。
直接ベテランの仕事を見ることができるため、効率のいい方法を学べるのもメリットです。
ベテランの職人とコミュニケーションを図る機会にもなります。
キャリアプランを立てて将来をイメージしてもらう
その仕事を続けていると、3年後・10年後・20年後にどうなっているかを明確に示してあげましょう。
やはり、自分の仕事が何に繋がっているのか、キャリアアップしたら何になれるかが不透明なままだと不安になってしまいます。
入社はじめにキャリアプランを明確にしてあげると、目標ができてモチベーションにも繋がります。
人材育成で使える助成金
人材育成をすることで助成金がもらえる制度があります。
コストの問題で人材育成が進まないという企業は、ぜひ助成金をお使いください。
ただし、助成金には対象と要件があるので確認してください。
人材開発支援助成金(建設労働者認定訓練コース)
経費助成
【受給対象】
- ・中小建設事業主
- ・雇用管理責任者の選任
- ・都道府県から認定訓練助成事業費補助金または広域団体認定訓練助成金の交付を受けて、認定訓練を行う
【対象労働者】
広域団体認定訓練助成金または認定訓練助成事業費補助金の交付対象となっているもの
【助成額】
助成対象経費の1/6
賃金助成/生産性向上助成
【受給対象】
- ・中小建設事業主
- ・雇用管理責任者の選任
- ・雇用する建設労働者に対して認定訓練を受けさせ、その期間通常の賃金以上の額を支払う
- 人材開発支援助成金(特定訓練コース/一般訓練コース/特別育成訓練コース)の支給決定を受けたこと
【対象労働者】
中小建設事業主が雇用している雇用保険の被保険者である建設労働者で、その中小建設事業主が認定訓練を受講させたもの
【助成額】
1日3800円 生産性要件を満たした場合は1000円割増
☆支給上限は年間1000万円
人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)
経費助成/賃金助成/生産性向上助成
【受給対象】
画像出典元:人材開発支援助成金公式ホームページ
【対象労働者】
次のいずれかに当てはまる雇用保険に入っている建設労働者であり、実際に訓練を受けた時間数が装訓練時間数の7割以上のもの。
・助成の対象となる技能実習を行う「Aの中小事業主」に雇用されている建設労働者
・助成の対象となる技能実習を行う「Bの中小事業主」に雇用されている建設労働者のうちお「Aの事業所」で働く建設労働者
・助成の対象となる技能実習を行う「AとBの中小事業主」と直接の下請け関係にある「Aの中小事業主」に雇用されている建設労働者
【助成額】
画像出典元:人材開発支援助成金公式ホームページ
人材育成で建設業の将来を明るく!
人材は確保するだけでなく自社で活躍できるように育てていかないと、若手の能力を潰してしまったり早い段階で離職されてしまう恐れがあります。
今は外部研修も充実しているので、社内研修に割く時間がないなど限界を感じたら外部に頼るのも一つの手です。
人材育成を成功させて、建設業で働く若手の可能性を広げてあげましょう!
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