一人親方が経営をしていく上で減らしていきたいと思うのが“税金”です。
納税は国民の義務ですが、できるだけ税金で出ていくお金を減らしたいというのが本音ですよね。
ということで、税金対策の方法をここで学んで、賢く節税していきましょう!
一人親方が支払う税金は4種類
一人親方が納めるべき税金は、
- 所得税
- 住民税
- 消費税
- 個人事業税
の4種類です。
所得税
会社からの給料や、商売をして稼いだお金にかかる税金です。
所得税は、1年間で得た所得(収益から費用を差し引いた金額)に対して課せられます。
所得が大きいほど所得税も大きくなる累進課税制度が適用されています。
一人親方は、確定申告に基づいて所得税が決まるということを覚えておきましょう。
住民税
地方税の一種で、都道府県が課税する都民税・道府県民税と、市区町村が課税する市町村民税の総称です。
教育・福祉・ごみ処理などの自治体が提供するサービスをまかなうために使われます。
住民税は、課税所得に対して一定の税率が科せられる「所得割」と、所得に関わらず一定の金額が科せられる「均等割」の二種類があります。
所得割の税率は一律10%(道府県民税4%と市町村民税6%)、均等割りの税率は自治体によって異なりますが、基本的に5000円(市町村民税3500円、道府県民税1500円)と決められています。
消費税
一番なじみのある税金だと思いますが、商品の販売やサービス提供などの取引に対して課せられる税金です。
一人親方が取引先から受け取る金額には消費税が含まれています。
ただし、消費税を納める義務があるのは基準期間または特定期間中の課税売上が1000万円以上の事業者です。
基準期間と特定期間は以下の通りです。
基準期間 | 特定期間 | |
個人事業主 | 前々年の1月1日~12月31日 | 前年の1月1日~6月30日 |
法人 | 前々年の事業年度 | 前年の事業年度開始以後の6か月間 |
上記期間の売上が1000万円以下の場合、消費税が免除されます。
個人事業税
都道府県に対して納める地方税で、個人事業主が事業で得た所得に応じた金額の税金が課せられます。
ただし、この税金は全ての個人事業主が納めなければいけないものではなく、年間年収が290万円以下なら課税対象外となります。
個人事業税の税率は業種によって異なりなすが、建設業は原則5%となります。
尚、個人事業税は経費計上できるので、納税する際は経費にすると節税できます。
今から実行できる!一人親方の税金対策
一人親方が納めなければいけない税金を踏まえて、ここから税金対策の方法をご紹介したいと思います。
できるものは全て行うことで、最大限に節税できます。
経費計上する
経費として計上できるものは漏れなく計上しましょう。
経費が増えると所得が減って税率も下がり、所得税や住民税が安くなるのです。
経費として計上できるのは、以下の項目です。
経費にできる項目 | 詳細 |
家賃・土地代 | 事務所を借りている場合、家賃を経費にできる。
自宅と兼用の場合、部屋の広さや使用時間などで事業用と個人用を分けて経費計上する(家事按分) また、駐車場代も経費にできる。 |
水道・光熱費 | 事務所で使っている水道・光熱費は経費にできる。
自宅の場合は家賃と同様に家事按分することが可能 |
通信費 | 携帯電話やインターネット通信料など。
自宅利用でも家事按分できる |
車両費 | 社用車のガソリン代・修理費・設備費・車検費用など。 |
事務用品費 | 仕事で使う文房具や封筒・はがきなど |
消耗品費 | 原則、使用機下が1年未満のものを消耗品として計上できる。
尚、ぱそこにゃコピー機も当てはまる |
交際費 | 接待などで利用したお店やゴルフなどの利用料などは経費計上できる。 |
広告費 | 事業を宣伝するための広告・宣伝費 |
会議費 | 会議の時に使った飲食店代など。 |
専従者給与 | 配偶者や子供などに事務作業を手伝ってもらう場合、その給与を経費計上できる。 |
諸会費 | 有料会員サービスに支払う費用も経費として計上できる。
労災保険特別加入団体の会費や事務委託手数料など |
損害保険費 | 万が一の事故や災害から事業を守るための損害保険も経費として計上できる。 |
尚、家事按分できるのは青色申告の場合のみになります。
上記のようなものが経費にできるので、漏れがないか確認しましょう。
所得控除をする
所得控除とは、一定の要件に当てはまる場合に所得の合計金額から一定の金額を差し引く制度のことです。
控除を行うことで、課される税額を減らすことができます。
控除にはいくつか種類があります。
基礎控除
今までの基礎控除額は38万円でしたが、2020年の法改正にともない48万円に引き上げられました。
ただし、所得金額が2400万円を超える場合、控除額も引き下げられるので覚えておきましょう。
配偶者控除
配偶者の所得が48万円以下(給与収入者の場合は年間103万円以下)の場合に受けられる控除です。
給与所得者の収入に応じて控除額が異なります。
尚、合計所得額が1000万円以上ある場合あるいは上記の専従者給与に当てはまっている場合は控除されません。
扶養控除
配偶者以外の子供がいる場合に控除されます。
扶養控除が適用になるのは、控除を受ける年の12月31日までに16歳以上になっている必要があります。
被扶養者の主な条件は、納税者と生計を一にしていること、年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入者の場合は年間103万円以下)であることです。
原則38万円となっています。
生命保険料控除
生命保険・介護医療保険・個人年金保険などに加入している際に受けられる控除です。
生命保険料控除には所得税で各4万円、住民税で各2.8万円の上限が設けられており、合計限度額は所得税が12万円、住民税が7万円となります。
社会保険料控除
国民健康保険料・国民年金保険料・労災保険料などに加入している際に控除を受けられます。
給与から控除される社会保険料以外に、本人または本人と生計を同一にする配偶者その他の親族が負担すべき社会保険料を支払っている場合に適用されます。
他の控除と異なり、上限がありません。
医療費控除
医療費が年間10万円を超える場合に控除が適用となります。
病院や歯医者での治療費・接骨院での施術費・入院費・通院時の交通費などが当てはまります。
医療費控除の限度額は200万円です。
地震保険料控除
支払っている保険料に応じて、一定の額がその年の契約者の課税所得金額から差し引かれる制度です。
これにより、所得税が最大5万円、住民税が最大25000円控除されるようになりました。
青色申告を行う
確定申告には青色申告と白色申告があり、白色申告の方が確定申告が簡単です。
しかし、白色申告は納税額が増える可能性があります。
一方、青色申告では65万円の特別控除を受けることができるので節税になります。
また、経費のところで説明した家事按分もできるのです。
ただし、青色申告をするには下記の条件に当てはまる必要があります。
・「青色申告承認申請書」を開業後2か月以内またはその年の1月1日~3月15日以内に提出すること
・所得に関する取引を複式簿記で記帳すること
・貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付し、3月15日までに提出すること
・電子帳簿保存またはe-Taxによる確定申告を行うこと
条件に当てはまっている場合は、ぜひ青色申告を行ってください。
少額減価償却資産の特例を利用する
少額減価償却資産の特例とは、30万円未満の減価償却資産については300万円を限度として全額を損金算入できる、中小企業等を対象とした制度です。
損金算入することで、負担する法人税が少なくなります。
毎年2年ごとに適用期限が延長されており、今年も2年延長されました。
ただし、少額減価償却資産の特例を受けられるのは
- 青色申告を提出している
- 資本金または出資額が1億円以下の法人
- または
- 常時使用する従業員数が1000人以下の個人事業主
上記の条件を満たしている場合のみです。
共済へ加入する
共済とは、病気や交通事故・災害などのあらゆる脅威に備えるための仕組みです。
掛け金が安く、支払う掛け金を経費計上できるのがメリットです。
共済には種類があるので見ていきましょう。
小規模企業共済制度
事業をやめたり、会社の役員等を退職した時などに備えて生活資金を積み立てておき、掛け金に応じてお金を受け取れます。
掛け金額は1000円~70000円の間で選べて、全額が小規模企業共済等掛け金控除として所得から控除されます。
加入資格は、常時使用する従業員数が20人以下の個人事業主やその経営に携わる共同経営者、役員、協業組合などです。
倒産防止共済(経営セーフティ共済)
取引先の倒産による連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するために、共済金の貸し付けを行うものです。
掛け金額は5000円~200000円の間で選べて、コチラも所得から控除されます。
家賃や保険料を年払いする
決算月間際に家賃の年払いを行うことで、1年分の家賃代を一括で経費に落とせるため節税になります。
年払いをするには、
- 契約に基づいたものであること
- 登記中に支払いが済んでいること
- 支払から1年以内に役務の提供を受けること
- 支払方法が毎期継続されること
- 収入と紐づいた支出でないこと
- 重要度の低い費用であること
この条件に当てはまっている必要があるので、覚えておきましょう。
法人化する
事業の運営に余裕があるようなら、法人化するという手もあります。
法人化すると、給与所得控除が受けられる・法人化から2年間は消費税免除・赤字になった時、10年間繰り越すことができるなどの恩恵を受けられます。
法人化することで節税しやすくなるので、もしできるなら法人化するのがおすすめです。
法人の節税対策は下記の記事で解説しているので、こちらも合わせてお読みください。
上手に節税するためのポイント
節税を行う上でのポイントをご紹介します。
確定申告を期限内に行う
これは当たり前のことですが、面倒くさがって後回しにせず、期限内に確定申告を行いましょう。
確定申告の提出期間は毎年2月16日~3月15日の1か月間で、それぞれの日付が休日に被る場合は翌日の月曜日が期限日になります。
提出期限は1か月と短いので、慌てないために早めに記入してしまいましょう。
また、直接提出だと混んでいて時間がかかる可能性があるので、e-Taxで作成すればネット上で提出できるので移動コストや並ぶ手間が省けます。
確定申告は毎年やってくるものなので、早めに手早く行うのがいいですね!
ビジネスカードを持つ
個人用のクレジットカードとは別に、ビジネス用のクレジットカードを持ちましょう。
ビジネスカードは、仕入れや経費など仕事関連の費用を支払うものです。
個人用と分けることで、プライベートで使ったお金と分けることができるため、経理処理の際に健さんが楽です。
また、ビジネスカードを作るとそのカードの年会費を経費計上できます。
年会費が高いカードであるほど所得から引かれる税金が増えます。
このように、ビジネスカードは個人用と分けて持っていて損がないので、ぜひ今から作ってください。
分からなければまずは無料相談に行く
節税について、何か分からないことや不安なことは多いと思います。
税理士に相談するのもいいですが、依頼には相応の費用がかかってしまいます。
まずは商工会議所や税務署など無料相談を利用するのがいいでしょう。
しかし、商工会議所を利用するには入会費が必要であること、税務署では節税の適切なアドバイスは望めないなどのデメリットもあるので、十分に検討してからどこに相談するのか決めてください。
税金を払わないとどうなる?
脱税で捕まっているニュースをたまに見ると思いますが、意図的に税金を支払わないと脱税の罪にとわれてしまいます。
脱税の刑罰は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、またはこれら両方ともになります。
しかし、何かやむを得ない事情があって税金が払えない場合は、脱税ではなく「滞納/未納」という扱いになります。
納期までに税金を納めないと、まず催促状が届きます。
催促状も無視すると、財産差し押さえなどの処分を受ける場合があります。
差し押え後も納税しないと、差し押さえられた財産を税金の一部として換金されます。
納税証明書が発行されなくなり、事業の存続が厳しくなります。
こんなことにならないように、しっかり期日までに税金を納めましょう!
うまくやりくりして支出を減らそう!
節税は、会社の経営にも関係してきます。
無駄に支払っている税金を減らすことで、他の重要な部分にそのお金を回すことができます。
会社の質を上げることに繋がるので、積極的に節税を行いましょう!
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