現在、建設業・港湾運送業務・警備業務・医療関連業務・士業(弁護士や行政書士など)の5業種が派遣を禁止されています。
禁止の理由は、業務の遂行に差し支えるため、別の派遣制度が導入されているなど様々です。
その中でも、建設業の派遣禁止に焦点を当てて話していこうと思います。
派遣と請負の違い
「派遣」と「請負」の違いが曖昧で、どこを基準にして判断すればいいの?と思う方も多いでしょう。
派遣と請負の大きな違いは、「誰が労働者の指揮管理を行っているか」です。
派遣
自社で雇用する従業員を、他社に出向かせて働かせることを言います。
従業員は派遣先で働くため、指揮管理は派遣先の管理者が行います。
尚、従業員を一人親方と偽り、実質派遣にも関わらず表向きは請負として働かせることを「偽装請負」「偽装一人親方」といい、違法行為になるので注意しましょう!
請負
請負人(受注者)がある仕事の完了を約束し、発注者はその成果物に対して報酬を払うことを約束することを言います。
つまり、発注者は労働自体にお金を払うのではなく、成果物に対してお金を払います。
また、請負の場合発注者は基本的に請負人の作業に介入することはできません。
そのため、請負で来た労働者への支持管理は請負人側が用意する現場監督が行います。

なぜ建設業では派遣が禁止されている?
なぜ、建設業では派遣が禁止されているのでしょう。
建設業は、下請けが何重にも重なっているため雇用関係が不明確になりやすいです。
この状態で派遣を行うと、雇用関係がさらに曖昧になり、労働者の雇用改善に悪影響を及ぼす可能性があるとの見解から、派遣が禁止されています。
また、建設業の労働環境はまだまだ不安定です。
雇用関係を明確にし、アナログな労務管理も最新にしていくことで長く働ける環境を作ることが重要です。
その中で派遣を許してしまうと、期限のある派遣労働者の地位は不安定なので雇用関係の明確化、労務管理の塗り替えが難しくなってしまいます。
派遣は不安定要素になるので、禁止されているのです。
派遣を行った場合の罰則は?
派遣を禁止されている業務で派遣をしてしまった場合、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられます。
加えて業務改善命令や業務停止命令を受ける場合があります。
派遣禁止業務を受け入れた派遣先企業は、違反を改めることを勧告されます。
それに従わない場合は、企業名などが公表される場合があります。
また、派遣先企業は違法派遣を受け入れたとして「労働契約申し込みみなし制度」の適用を受ける場合があり、適用になると派遣元企業と同じ労働条件で派遣労働者に労働契約の申し込みをしたことになります。
派遣労働者が承諾すれば、直接雇用となります。
派遣禁止にならない業務
建設業の業務の中でも、派遣が違法とならないものも存在します。
- 施工管理業務
- 建設業の事務員
- CADオペレーター
施工管理業務
作業スケジュールの管理、品質管理、資材の発注、原価の管理、作業員の安全管理などを行う業務です。
建物の建設作業自体に関わるわけではないので、派遣も禁止されていないようです。
建設業の事務員
事務員は、事務所にて電話・メールの対応、事務機器の点検、事務用品の補充、請求書管理などバックヤードの仕事を行います。
直接現場に行くことはほぼないので、派遣も禁止されていないのです。
CADオペレーター
CADという作図ソフトを使って図面やデザインを作成する仕事です。
手書きで書かれた図面をトレースし、正確な図面に直すのです。
この仕事も直接現場に赴くことがないので、派遣での雇用も可能です。
従業員を守るために、違法労働供給を防ごう!
違法である派遣を是正していると、他社からの信用もなくなってしまいます。
また、従業員を不安定な労働環境に置いているということで従業員からの信用もなくなり、離職に繋がる可能性も十分あります。
法律をしっかり守って、従業員が安心して働ける会社に育てましょう!
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