2021年3月ごろから、「ウッドショック」という言葉をよく耳にするようになりました。
ウッドショックとはどういうもので、日本にどのような影響を与えているのか、2022年には収まるのかなど解説していこうと思います。
ウッドショックとはどういうもの?
ウッドショックとは、住宅を建てる際に使用する木材の需要が増えたことで木材が不足し、木材の価格が高騰していることをいいます。
かつて起こったオイルショックになぞらえて付けられました。
ウッドショックの主な原因は、コロナウイルスです。
コロナウイルスに関係して、下記の4つの出来事が起こりました。
木材自体の減少
コロナ禍によって労働者が減ってしまい、製材工場の稼働率が低下して木材の供給量が減少してしまいました。
アメリカ新築・リフォームが増加
コロナ禍によるリモートワークの増加や、ロックダウンとその解除による反動需要の影響で、アメリカや中国では住宅需要が急増しました。
また、アメリカや中国で住宅ローンの金利が引き下げられたことも住宅需要に拍車をかけてしまいました。
中国での材木需要の増加
中国では、経済成長に伴い産業用丸太の消費量が増加しています。
しかし、この丸太は国内での生産が増えておらず、輸入したものが増加しているのです。
世界一の人口を誇る中国での輸入木材の需要増加も合わさり、木材不足に拍車をかけたようです。
コンテナ不足
コロナ禍でネットショッピングの需要が増え、世界的にコンテナ不足が起きてしまい、他国へ木材を運ぶことが難しくなってしまいました。
加えて、スエズ運河で起こったコンテナ船座礁事故により、日本へのコンテナ輸送がさらに遅れてしまっているのです。
ウッドショックはなぜ日本にも影響があるの?
ウッドショックの原因を見ると、海外での影響なので日本には関係ないのでは?と思われる方もいるでしょう。
しかし、日本の住宅建築に使われる木材の7割は海外からの輸入に頼っているので、海外での混乱が日本にも影響してしまうのです。
日本では、戦後の住宅需要により木が大量に伐採されたことで国内の木が少なくなってしまいました。
加えて、木は植林されてから木材として使用できるようになるまで30年以上かかること、林業に就く人員の減少などの理由により輸入に頼るようなって、国内の木材の供給は減少していく一方なのです・・・。
ウッドショックによる影響について
ウッドショックは建築業にどのような影響を与えるのでしょう。
木材価格の高騰
こちらのグラフは、2015年1月から2021年9月までの木材の輸入価格の推移を表しています。
グラフを見て分かるように、2021年3月から価格が急激に上がっています。
特に集合材や製材の価格上昇が激しいことが分かります。
加えて、下のグラフは木材や木製品の国内価格を表したグラフです。
輸入材の高騰を受け、現在の輸入材より安く手に入る国内木材を使用する企業が増えたことにより、国内の木材価格も一時的に高騰しています。
このように、輸入材も国内材も価格が高騰しているため、新築や注文住宅の価格も上がってしまっているのです。
住宅の値上げは、1棟あたり数十万円から数百万円にも上るそうです!
工期の遅れ
輸入に使うコンテナ不足により、木材の供給が遅れているそうです。
そのため、スケジュール通りに木材が確保できない業者が出ており、工期に遅れがでてしまっているようです。
ウッドショックはいつ収まるのか
「〇年〇月に収まる」といったはっきりとしたことは言えません。
ウッドショックがいつ収まるのかは、かなり不透明だからです。
しかしアメリカでは、2022年に住宅ローン減税が縮小したことから住宅需要が落ち着いてきているので、木材の高騰もここからゆるやかに減少していくのではないでしょうか。
しかし、ウッドショックが起こった大きな原因は”コロナウイルス”です。
コロナウイルスが収束する兆しがみえないと、ウッドショックが完全に収まるのはいつか判断するのは難しいのです。
住宅の購入を検討している人は、もう少し様子を見てみてもいいと思います。
住宅価格を抑える補助金について
ウッドショックはこのまま高止まりが続く可能性があります。
いつ収まるかの目途が立たないので、このままでは家を建てようと思っていた人は損をしないためにいつまでたっても家を建てることができませんよね。
そこで、補助金をうまく利用して、少しでも出費を抑えて購入する方法もあります。
2022年度に利用できる補助金をご紹介するので、ぜひ見ていってください♪
こどもみらい住宅支援事業(新築・購入)
子育て世帯や若者夫婦世帯による高い省エネ性能がある新築住宅または既存住宅の省エネ改修等に対して補助金を出すというもの。
【補助額】
新築の注文・新築の購入:住宅の省エネ性能に応じて60万円から100万円
リフォーム:実施する補助対象工事および発注者の属性等に応じて5万円から60万円
すまい給付金
増税による住宅取得者の負担を減らすための給付金。
消費税10%で、収入額の目安が775万円以下の多寡を対象に、最大50万円を給付してくれます。
こちらの給付金は、ほとんどの場合2021年度で期限が終わっていますが、
- 注文住宅の新築の場合:令和2年10月1日から令和3年9月30日まで
- 分譲住宅・中古住宅の取得の場合:令和2年12月1日から令和3年11月30日まで
上記の期間に契約した場合は、入居期限が2022年12月31日までに延長されています。
上記期間の契約に当てはまる方は、ぜひご活用ください!
また、2022年度も新たにすまい給付金が出される可能性もあります。
地域住宅グリーン化事業
地域における住宅の生産体制強化・環境負荷の低減のために、地域材を用いて省エネ性能・耐久性の高い住宅の整備を行い、加えて若者・子育て世帯に対して支援を行うもの。
【対象の建物と上限額】
- ➀長寿命型(新築):110万円/戸
- ➁高度省エネ型(新築):70万円/戸
- ➂ゼロ・エネルギー住宅型(新築及び改修):140万円/戸
- ➃省エネ改修型(改修):50万円/戸
- ➄有料建築物型(新築):1万円/㎡
今のところ2021年度までの案内しかありませんが、2022年も出る予定のようです。
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業
戸建住宅の高断熱化による省エネ・省CO2化に補助金がでます。
新築の場合はZEHまたはZEH+、リフォームの場合は断熱リフォームというように分けられています。
【対象の建物と上限額】
➀戸建住宅(注文・建売)
ZEHの新築・改修:55万円/戸
➁ZEH+に対する定額補助:100万円/戸
➂➀、➁に系統連系対応型蓄電池を設置低炭素化に役立つ素材を一定量以上使用、または先進的再エネ熱利用技術を活用する場合に別途補助:蓄電池2万円/kWh
➃既存戸建住宅の断熱リフォームに対し1/3補助(上限120戸)
蓄電池、電気ヒートポンプ式給湯器への別途補助
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業
住宅ローン減税
住宅ローンを使って住宅を取得する場合に、金利負担が軽減するものです。
従来の住宅ローン減税は2021年末で終了しましたが、2022年以降改正されて新たに利用できるようになりました。
制度期間:4年間の延長(2022~2025年まで)
控除率:新築・中古共通で0.7%(改正前は1%)
減税期間:新築。買取再販(中古のリフォーム住宅)は原則13年間、中古住宅は10年間
所得制限:上限2000万円
尚、国はカーボンニュートラル脱炭素社会を目指しているため、それに当てはまる省エネ性能がない住宅に関しては、2024年以降の新築は原則住宅ローンが受けられなくなるので、住宅取得する場合は注意が必要です。
住宅ローン フラット35 s
「住宅ローン フラット35」は、固定金利で住宅ローンを払えるので、借り入れた時点で返済額を確定することができます。
その中でも、フラット35 sは、通常のフラット35の借入金利に対して年間0.25%も低くなるのです!
【適用になる住宅】
- ➀省エネルギー性:断熱性など
- ➁バリアフリー性:高齢者が過ごしやすい受託
- ➂耐震性:強い揺れに対して倒壊・崩壊などしない程度の性能がある
- ➃耐久性・可変性:長期的にキレイな状態を保てる措置を講じた住宅
詳しくは↓

企業の方も、補助金があることをお客さんに伝えることで、ウッドショックの中でも安定した受注を受けることができます。
お客さんにとってお得な情報を提供してくれるお店は信頼度がアップするので、「ここにお願いしよう」という気持ちになりやすいです。
まとめ
ウッドショックの収束は、まだ目途が立っていません。
今後どうなっていくのか経過を見ながら、スケジュールを調整していくしかありません。
日本がウッドショックに影響を受けているのは、木材を輸入に頼りすぎているからです。
これを機に、林業の問題が見直され、国内の木材生産がもっと効率的に行えるようになることを願います。
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