2021年11月に吉祥寺の道路が陥没し、ゴミ収集車落ちる事故がありました。
道路の陥没は予測できないものですし、自分も被害に遭う可能性があるので原因や見つけた時の対処法を知っておきたいですよね。
今回は、道路陥没のあれこれをご紹介していきます。
道路の陥没の原因はなに?
道路陥没がなぜ起きてしまうのか、原因ははっきりいって1つに絞ることはできません。
地質の状態は場所によって異なるので、道路が陥没する原因は様々なのです。
その中でも、下水道が原因になることが多いと言われています。
道路にある側溝や下水道管渠が経年劣化によって破損した部分に地盤材料が引き込まれ、それにより地盤のゆるみ・空洞化が発生してしまうのです。
特に都市部では下水道の老朽化が進んでいるため、陥没の発生数が多いのではないかと予測されます。
陥没は春~夏にかけて起こりやすい
北海道では、雪解けの時期になると道路がヒビや穴ぼこだらけになるそうです。
これは、道路の小さなヒビに水が染み込んで凍結し、それが気温が高くなって溶けることで道路の空洞の強度が弱まります。
そこを車が通ることで衝撃を受け、アスファルトが脆くなります。
凍結・融解・衝撃を繰り返すことで、道路のヒビや穴が拡大してしまうそうです。
この現象は寒さが厳しい北国以外ではあまり見られない現象です。
夏季になると、気温の高さでアスファルトが柔らかくなり舗装が陥没しやすくなります。
アスファルトが柔らかくなっているところに梅雨による連日の雨や豪雨によって地下水位が上昇が起こり、道路のひび割れに土砂が流れ込むなどして地下空洞の拡大が進みます。
これにより、夏場の道路陥没が増えるようです。
日本では毎年どのくらい陥没が発生しているのか
下のグラフは、平成20年から令和3年までの管路施設が原因の道路陥没件数の推移です。
画像出典元:国土交通省
管路施設が原因の道路陥没は年々減少傾向にあり、令和2年度からは3000件をきっています。
これは、下水道の長寿命化など老朽化対策を行ったことによる影響だと考えられます。
陥没が起きにくくなる工事が行われていると思うと安心できますね。
画像出典元:国土交通省
陥没の深さに関しても、約9割が50cm以下と浅いものなので吉祥寺のような大きな穴が空くことは少ないようです。
とはいえ、「自分が陥没に巻き込まれたら…」と考えるとゾッとしますよね…。
陥没の空洞はどうやって見つけているのか
深さ2m程度までの空洞は「地中レーダー」を使って調査します。
地中レーダーとは、電磁波を利用して地中の構造や埋設物を検知するもののことです。
地中レーダーを搭載した車を使えば、普通の車として走りながら道路内を調査できるので短時間で広範囲の調査が可能です。
しかし、2m以上になると地中レーダーでは空洞を検知するのが難しいです。
地中レーダーと組み合わせて写真撮影やボーリング調査を行うことで、詳しい空洞状況が分かり、現状把握や対応が可能になります。
ボーリング調査とは、穴を掘って地盤の状況や地層の深度を調べる調査方法です。
やはり実際に中を見てみないと、現状は分からないということですね。
道路の陥没や穴を見つけたらどうすればいい?
道路に陥没や損傷を見つけたら、「#9910」に電話しましょう。
この番号は、道路の異状に24時間対応しており、無料でかけることができます。
なお、警察に通報するのも大丈夫なようです。
もしも陥没で被害を受けたら、補償はでるの?
道路陥没により被害(怪我・車体の破損など)があったとしても、必ず補償を受けられるわけではありません。
しかし、国家賠償法2条1項の「道路、河川その他公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる」という規定により賠償請求ができる場合があるので、一旦警察に通報し事故証明をとってもらいましょう。
賠償請求をするのであれば、事故発生時の現場が補修されたり変わってしまう前に、早めに弁護士に相談してください。
ただし、事故の状況や道路の状態や損傷の場所などを細かく判断し判決を行うため、被害者に過失が合った場合(安全な運転をしていないなど)は過失相殺され賠償金が発生しない場合も少なからずあります。
また、道路の損傷が事故を起こすほどのものではないと判断されたら無責の判決になってしまいます。
勝訴したとしても賠償金を得るまでかなりの期間が必要となるので、短期間で補償を得たい場合は保険に入っていればそちらでお金を補うのがおすすめです。
私道が陥没したらどうすればいいのか
私道とは、個人や法人が所有している土地で道路として利用されているもののことです。
周りに住んでいる住民のための道路で、奥に進んでも行き止まりの道ってありますよね、それが私道です。
私道の場合、陥没や破損が生じたら土地の所有者が対応しなければいけません。
基本的に市区町村は対応してくれないので、修理費用も個人が負担することになります。
しかし、市によっては陥没の補修費用を負担してくれるところもあるようなので、ご自身が住んでいる市区町村のホームページを確認してみてください。
例として、東京都小平市では私道の補修費用の9割を負担し、工事も行ってくれるようです。
複数人で私道を利用している場合は公平に負担するのが普通ですが、強制できないので補修に賛同してくれた人たちだけで行う必要があります。
また、私道の舗装には共有者の同意が必要になる場合もあるので、修繕する前に民法での規定を確認してください。
尚、私道の補償はそれぞれの市区町村で助成金が用意されています。
一定の条件を満たせば助成を受けられるので、まずは私道のある市区町村に連絡し、現地調査を行ってもらいましょう。
舗装後だと、申し込んでも受けてもらえない可能性もあるので、必ず舗装前に申し込むようにしてください!
まとめ
道路陥没の発生数が多く、不安に思っている方も多いでしょう。
被害を最小限に抑えるためにも、少しでも陥没しているところを見つけたら通報して補修してもらいましょう!
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