東京オリンピックの開催などもあり、建設業界の需要は高まっています。
「世の中に必要な職業は?」というアンケートでも、10位に位置している重要な職業なのです。
それでも、建設業の人手不足はコロナになってさらに減少してしまいました。
これ以上の人手不足を防ぐため、その原因と改善策をこの記事で知って、人手不足を解消していきましょう!
建設業就業者数の現状
まずは、建設業就業者の現状を確認していきましょう。
上記のグラフは、建設業の就業者と就業率です。
これを見ると、近年は建設業の就業者数は右肩上がりに伸びていることが分かります。
このグラフを見ると、建設業はもう人手不足ではないのかも?と思うかもしれません。
次のグラフをご覧ください。
こちらは、2020年11月の産業別労働者過不足を表したグラフです。
これを見ると、郵便局や運輸業と同じように、建設業も不足超過であることが分かります。
以前に比べて就業者が増えてきているとはいえ、需要に対してまだ人手が足りていません。
建設業の人手不足という課題は、やはり今でも残っているのです。
建設業が人手不足な理由5つ
若者に人気がない
若者にとって、建設業は「きつい・汚い・危険」の”3K”のイメージが強いのです。
2018年に調査された建設業についてのアンケートでも、「建設業のイメージとして近いものはどれですか」という問いに対し、「きつい」「危ない」というイメージを持っているという回答が多かったようです。
その他には、「親方が厳しそう」「すぐに辞めてしまう人が多い」「上下関係が厳しそう」などのイメージがあり、ネガティブなイメージが多い印象です。
このような印象が根付いてしまうと、さらに若者離れが進行してしまうでしょう。
働く環境が整っていない
職業に就く上で、働く環境は一番重要視されます。
以前よりも労働条件や福利厚生を重んじる人が増えてきている中で、
- 収入が不安定
- 労働時間が長い
- 年功序列
- 仕事のきつさに給料が見合わない
などのマイナス要素があると、高齢者はもちろん若者にも敬遠されてしまいます。
自分の会社に働く環境に対するマイナス要素がないか、一度確認してみましょう。
職人の高齢化
若者の就業者が増えず、職人が高齢化してしまっているのも人手不足の原因です。
高齢の職人さんは、腕は確かですが年齢的に長く働き続けることはできません。
体力がいる建設業の現場仕事は、年齢を重ねるときつくなるのは必然です。
高齢の職人さんが同じような理由で退職してしまった場合、後を任せられる人材がいなくなってしまうのです。
離職率の高さ
建設業は離職率が高いです。
厚生労働省が提供している2019年度の「建設業における3年以内離職率」は、高卒が45.3%、大卒が27.8%です。
全産業の離職率は高卒が39.2%、大卒が32.0%なので、高卒の方の離職率が平均より6%も高くなっているのです。
離職率が高い理由としては、
- 長時間労働
- 休みが少ない
- 給料が見合っていない
- 納期が厳しい
- 上下関係が厳しい
などが挙げられます。
ストレスになる要素が多いため、離職する人も多いのではと考えられます。
離職の理由となる要素を減らしていくことで、従業員満足度が上がり、離職率も減らすことができるでしょう。
建設需要の増加
現在、「建設バブル」と言われるほどの高い建設需要が建設業界で続いています。
2021年の東京オリンピックだけでなく、この後にも建設プロジェクトが計画されているのです。
- 〇2025年の大阪万博
- 〇リニア新幹線の開発工事、駅の再開発
- 〇海外へのインフラ整備
その他にも、老朽化したインフラの維持改修や防災対策による工事など、建設需要は留まるところを知りません。
しかし、人手不足の現状で大型建設をしなければいけないとなると、建設業界はパンクしてしまい、既存の就業者全員が共倒れしてしまう可能性もあるのです。

このように、建設業が人手不足な原因はとても多いことが分かりました。これらの課題が自分の会社でも発生していないかをよく確認して、人手不足解消に動き出しましょう!
次の章では、人手不足の対策方法をご紹介いたします。
人手不足を解消する対策方法とは!?
従業員にアンケートをとる
まずは、既存の従業員に仕事や人間関係についてのアンケートをとってみるといいでしょう。
経営者や人事からは見えない現場の悩みや、不満に思っていることを発見することができるため、会社が抱えている課題を知ることができます。
なお、アンケートをとる際は匿名にするのを忘れないでください。
誰が何を思っているかを知るのも重要ですが、”自分が言った”というのが分かることを嫌がり本音を言えない人も多いと思います。
匿名で行うことで、安心して思ったことを伝えられるのです。
若者の建設業に対するイメージを変える
若者の人気を増やすには、建設業のイメージを払拭する必要があります。
イメージを変えるには、若者が興味を持ってくれるような発信を行って、より身近に感じてもらうのがいいでしょう。
TwitterなどのSNS更新を行い、現場で働く従業員の姿や人間関係、建設業あるあるなどを呟いて、「建設業って意外と楽しそう」「この会社は良さそう」と思ってもらえるように努力しましょう。
また、YouTubeで会社紹介や仕事の様子を紹介したり、TikTokで従業員の面白動画を投稿して若者の興味を引くのもいいでしょう。
Facebookだと若者はあまり見ないので、若者がよく見ている媒体を使って企業アピールをすることで、今まで興味を持っていなかった人に建設業や会社自体を知ってもらうことにつながるのです!
「やり方が分からない…」という方は、まずは建設業の他社のTwitterアカウントをのぞいてみましょう。
他企業のつぶやきを見ているうちに、どのような投稿をすればいいか分かってくるはずです。
まずは見様見真似でやってみてください!
働く環境を整える
やはり、求人応募者を増やすには働く環境、福利厚生を整えるのが一番です。
前述したように、従業員にアンケートをとっているとより改善点が分かるのでおすすめです。
どのような変更が考えられるのか、参考にしてみてください。
日給制から固定月給制へのシフト
日給制は、遅刻・早退・欠勤によって給料が変わるため、収入が不安定で離職につながりやすい点です。
固定月給制にすることで安定的に給料がもらえるため、給料面での不安が少なくなるでしょう。
しかし、それで離職しなくなるわけではありません。
固定給であっても正当な価格の給料を与えないと、正当な給料をくれる会社に転職される可能性もあります。
それを防ぐためには、従業員全員に正当な価格の給料を与える必要があります。
有給のとりやすさ
あなたの会社の従業員は、ちゃんと取りたい時に有給が取れていますか?
2019年4月から、労働基準法の改正により有給休暇の取得が義務化されたのはご存じでしょうか。
年に10日以上の有給休暇が付与されている従業員は、年5日の有給休暇を取得させなければいけません。
しかし、「目上の人が取っていないのに言いにくい」「取りたいと言えない雰囲気がある」など、日本人は特に空気を気にして言い出せない修正があります。
そのような部分でストレスがたまらないように、上司から有給休暇を取りたい日を尋ねるようにしましょう。
または、上司が先に取って、部下にも取るようにと声をかけるのもいいでしょう。
研修制度をつくる
建設業界は、職人の背中を見て学ぶという考え方がまだ残っているので、研修制度がある会社はまだ多くありません。
若者の離職を止めるには、研修制度を充実させて、いち早く技術を継承できるようにしましょう。
高齢化が進んでいるので、OJTを通して技術を継承することで、高齢の職人が辞めてしまっても技術を残すことができます。
そのためには、既存の従業員の協力が必要不可欠なのです。
また、どのような研修を行えばいいか分からない場合は、外部研修を受講しましょう。
教育センターなど、数々の研修実績があるところにお願いすれば、安心して若い従業員を任せることができます。
資格取得支援制度
建設業の仕事にはさまざまな資格が存在し、「宅地建物取引士」や「一級建築士」など、取得が必須なものもあります。
しかし、資格の受験にはお金がかかるため、何個も受けるのはきついです。
そこで、会社で資格にかかるお金を一部または全額免除してあげることで、資格取得のハードルが下がり、しっかりした知識と技術を持った建築士を育てることができます。
資格支援は従業員のモチベーションアップにもつながるでしょう。
正当な評価
建設業は高齢者が多いのも相まって、年功序列が当たり前という風潮があります。
年功序列を続けていると、能力のある若者が正当な評価を受けられないことに不満を感じて会社を辞めてしまうでしょう。
年齢に関わらず、能力のある者を評価する体制に切り替えることで、貴重な若手を手放さずに会社としての評判も上げられるでしょう。
年功序列が残っている場合は、今すぐ廃止するよう動き出してください!
余裕をもった工期を設定する
工期をギリギリに設定してしまうと、天候で作業ができない日が出てしまうと、別日にしわ寄せがいって長時間労働をしなければいけなくなってしまいます。
そのようなことが続くと、従業員が過労で倒れたり、不満がたまって離職につながったりします。
工期に余裕を持つことで労働時間を守ることができ、従業員の負担も減らすことができるのです。
ITツール・サービスを使う
最近は、業務削減のための施工管理ツールやCADシステム、作業員見守りシステムなど、建設業者の作業がもっと楽になるツールやサービスがたくさん出ています。
長時間労働や情報共有不足などに陥っている場合、このようなツールを導入して作業効率をアップすることで、従業員の満足度にもつながることでしょう。
ツールを導入する場合、自社に合ったツールはどれかを検討し、導入前に社内共有して従業員の反応を窺いましょう。
また、導入するツールはだれでも操作できる簡単なものであり、機能が多すぎないものにしましょう。
マッチングサービスを使う
建設業向けのマッチングサービスがあることをご存じでしょうか。
仕事が欲しい職人と、職人が欲しい会社を結び付けるのをお手伝いするサービスです。
サービスに登録して職人を募集している仕事内容を載せるだけでいいので、簡単に仕事相手を探すことができます。
早急に人手を増やしたい場合は、マッチングサービスがおすすめです♪

このように、人手不足を解消する対策方法は多くあることが分かりました。
自社に足りない部分は何かを明確にし、従業員の意見も取り入れながらイメージアップや環境の改善に努めましょう!
次は人手不足解消の成功事例を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
建設業の改善成功事例
建設業のイメージアップに尽力!株式会社松井建設
松井建設は、土木作業やクレーン作業を行う会社です。
労働環境の改善や、建設業のイメージアップを目的に、遊び心を取り入れた施策を行っているようです。
クレーンと「OJICO」というTシャツブランドをコラボさせてスタイリッシュでかっこいい色とデザインのクレーンを作るという前代未聞の企画を行い、新聞に取り上げられています。
また、「きつい・汚い・危険」の3Kから「かっこいい・キレイ・健康的」の新しい3Kを目指すために、作業服をキャメルのワッペンが後ろに付いているかっこいいデザインに刷新したようです。
このような努力で、若者にアピールできているようです。
充実の研修制度を持つ原田左官工業所
原田左官工業所は、左官工事やタイル工事を行っている会社です。
「中小企業・小規模事業者のための人手不足対応100事例」にも掲載されたことがあり、多くのメディアで人手不足解消の取り組みが取り上げられる注目の会社さんなのです。
30年以上前から職人の正社員化や女性雇用を積極的に行ったりと、昔から建設業の常識を逸脱するような取り組みを行っていたようです。
原田左官さんは研修制度にも力を入れています。
独自の職人育成システムを持ち、ビデオで職人の動きを何度も見て覚えていくトレーニングやOJT、現場職人による社内研修会なども行っているようです。
研修会では納得がいくまで施工法を学ぶことができるので、一人前になるスピードも早いでしょう。
https://www.haradasakan.co.jp/#indexTop
明確なコンセプトにより高学歴の技術者を集める株式会社平成建設
平成建設は、静岡にあるマンションや戸建て住宅の建設を行う会社です。
設計から施工までの主要工程を内製化し、「大工を育成する会社」というコンセプトを打ち出して他社との差別化を行っています。
現場での職人教育をしっかり行い、技能検定試験もあるそうです。
能力のある職人に成長し、自らの手で建物を造れるという部分が現場志向の学生に注目され、有名大学を卒業している新卒を獲得しているのです。
また、大工による木工ワークショップも行っており、地域住民とのふれあいなど新しいことに挑戦している点も人気がある理由の1つです。
https://www.heiseikensetu.co.jp/recruit/
話題性のある動画を投稿し注目度アップ!川邉組
川邉組は、大分にある土木工事会社です。
土木で筋肉を鍛えよう!という内容の「レッツ!ドボクサイズ」の動画を投稿したり、従業員が相撲をやっている動画を投稿したりと、従業員同士の仲の良さ、和気あいあいとした雰囲気を感じられます。
ドボクサイズの視聴回数は22万を超えており、建設業界のイメージアップにつながっています。
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今回は、建設業の人手不足について原因や解決方法をご紹介しました。
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