人手不足解消基礎知識

義務化前に確認!建設キャリアアップシステム(CCUS)とは?メリットデメリットなど解説

「建設キャリアアップシステム」という言葉、建設業で働いている人は一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

しかし、詳しくは知らない、まだ導入していないという企業も多い事でしょう。

 

2020年1月には外国人技能実習生のCCUS登録が義務化されるなど、対応が必要になってきているため、今ここでCCUSについて詳しく知っておくことをおすすめします!

CCUSの説明だけでなく、申請方法もご紹介するので見ていってください♪

 

建設キャリアアップシステム(CCUS)とは

笑顔の建設技能者の画像

建設キャリアアップシステムとは、建設業技術者の本人情報・資格/社会保険加入状況・終業履歴などのデータを保存・蓄積し、建設業技能者の正当な評価や建設事業者の業務効率化に役立てる仕組みのことです。

 

CCUSの目的

技能者のスキル・キャリアを正しく把握する

建設業界では、様々な事業者の現場で経験を積んでいくのが一般的なため、個人の技術が正しく評価されにくいのが課題の一つにあります。

建設キャリアアップシステムは、技能者にICカードを渡し、その中に就業履歴を蓄積することで技能者の能力や適性を正しく把握することができます。

 

そのため、今までの経験を別の現場でもちゃんと把握してもらうことができ、スキルに見合った評価と賃金を受け取れるようにする目的があります。

 

建設業界の現状を変える

建設業界の正当に評価してもらえない、若者が定着しない環境をよくするためのシステムです。

建設キャリアアップシステムを多くの建設業が導入し、正当な評価をする会社が増えれば建設業のイメージもアップしに人手不足の解消にも繋がることでしょう。

 

業務の効率アップ

1人1人の資格・社会保険取得状況をカードを見ることで把握できるので、いちいち確認する手間がなくなり、業務効率アップを図れます。

 

導入メリットデメリット

次は、建設キャリアアップシステムを導入する際のメリットデメリットについてです。

メリットだけでなくデメリットも知ることで、より深く理解することができますよ♪

 

≪メリット≫

能力の高い人材を手に入れる

建設キャリアアップシステムを導入することで、今までの経験やスキルを正しく評価してくれる環境が整った会社だとアピールできます。

それにより、能力を持った人材を集めることができます。

 

元請け事業者にアピールできる

下請事業者の場合は、従業員の資格や経験を具体的にアピールすることができるため、「こんな技能者がいますよ」と元請業者に提示することができます。

能力に合った仕事をもらいやすくなるでしょう。

 

技能者が成長しやすい

建設キャリアアップシステム カードの種類

画像出典元:建設業許可申請PROセンター

カードにはレベルが4段階あり、そのカードを見ればどのくらいの技能者なのかが把握できます。

そのため、今後のスキルアップ目標を立てやすくなり、技能者が成長しやすい環境を与えることができます。

 

事務作業の軽減

資格・社会保険取得状況の確認の手間が省けるだけでなく、従業員名簿作成や施工体制台帳の手間やミスの軽減ができます。

 

 

≪デメリット≫

登録にパソコン作業が必要になる

建設キャリアアップシステムは、以前はインターネット申請以外にも郵送申請・窓口申請が行えていました。

 

しかし、2020年10月に郵送と窓口申請は受付を終了。インターネット申請のみになってしまいました。

そのため、登録にはパソコン作業が避けて通れません。

パソコンの方が手書きよりも手間が少ない訳ですが、パソコン操作に慣れていない人にとってはかなり手間のかかることでしょう。

 

しかし、書面申請を希望する人のために認定登録機関を設けているようなので、どうしてもインターネットは嫌だ!という方は、最寄りの認定登録機関を探して相談してみると良いでしょう。

 

費用がかかる

建設キャリアアップシステムを新規登録する場合、以下の費用がかかります。

  • 技能者登録料
  • 事業者登録料
  • 管理者ID利用料
  • 現場利用料

 

技能者登録料

簡略型:2,500円

詳細型:4,900円

認定登録機関:4,900円

 

事業者登録料

一人親方:0円

500万円未満(個人事業主含):6,000円

500万~1,000万円未満:12,000円

1,000万~2,000万円未満:24,000円   等

 

管理者ID利用料

1ID:11,400円

一人親方:2,400円

 

現場利用料

1現場:10円/1日1人

 

 

このように、登録には様々な料金がかかってしまいます。

 

マニュアルが膨大にある

建設キャリアアップシステムには、運用マニュアルが用意されています。

登録方法や管理方法が分からない人にとってはマニュアルがあった方が安心だと思いますが、このマニュアル、数100ページはありそうなほどページ数が多いのです。

 

また、よくある質問の部分も1000個近くあり、全部読むことなんて到底不可能です。

 

サポート体制が脆弱

サポート体制もあまりよくありません。

CCUSのサポートは

  • 問い合わせフォーム
  • よくある質問
  • CCUSチャンネル(YouTube)
  • 説明会

 

一見多いように思いますが、直接相談できる窓口が問い合わせフォームしかありません。

しかも、問い合わせフォームは返信に1週間ほどかかってしまうそうです…。

急ぎの場合は、お近くの認定登録機関で相談してみるといいでしょう。

 

義務化するって本当?

国土交通省は、令和5年度には建退共のCCUS完全移行およびあらゆる工事におけるCCUS完全実施を目指しているようです。

 

令和3年度以降で、第一段階として公共工事等でのCCUS活用の原則化を行っているようです。

最終的には全ての工事でCCUSが活用されるようにする算段なので、義務化されるのも時間の問題でしょう。

 

義務化された場合、導入しないと罰則が設けられるかもしれません。

そうなった時焦らないように、今の内からCCUSについて理解し、導入する準備をしておきましょう!

 

申請方法

では、建設キャリアアップシステムの申請方法をご紹介します。

技能者と事業者それぞれ登録が必要なので、確認していってください。

 

技能者登録

インターネットで申請するか、認定登録機関で申請するか選ぶ

 

【インターネットの場合】

  1. ➀必要な情報を入力し、利用申し込みを行う
  2. ➁登録料の支払い
  3. ➂確認・審査後、登録完了
  4. ➃キャリアアップカード、ご納車IDの受取

 

【認定登録機関の場合】

  1. ➀窓口で申請書を受け取る
  2. ➁申請書に必要な情報を記入し、登録料と一緒に専用封筒に入れる
  3. ➂窓口に提出
  4. ➃確認・審査後、登録完了
  5. ➄キャリアアップカード、ご納車IDの受取

 

技能者登録ページ

 

事業者登録

インターネットで申請するか、認定登録機関で申請するか選ぶ

 

【インターネットの場合】

  1. ➀必要な情報を入力し、利用申し込みを行う
  2. ➁確認・審査
  3. ➂登録料の支払い
  4. ➃登録完了
  5. ➄事業者ID、管理者IDの受取

 

【認定登録機関の場合】

  1. ➀窓口で申請書を受け取る
  2. ➁申請書に必要な情報を記入し、専用封筒に入れる
  3. ➂窓口に提出
  4. ➃確認・審査
  5. ➄登録料の支払い
  6. ➅登録完了
  7. ➆事業者ID、管理者IDの受取

 

事業者登録ページ

 

なぜすぐに値上げされてしまったのか

値上げの謎 画像

建設キャリアアップシステムは、開始前は100万人の技能者の登録を見込んでいたのにも関わらず、2020年3月時点の技能者登録数は22万人と、想定の5分の1程度しか登録者が集まりませんでした。

 

想定していた資金が集まらなかったため、深刻な赤字に陥ってしまいました。

 

運用資金を少しでも得るために、資本金500万円未満の事業者登録料は3000円、資本金500億円以上の企業の事業者登録料は120万円でしたが、値上げしてからはその2倍になっています。

現場利用料も1日1人3円から10円に値上げされました。

 

また、以前はあった電話での問い合わせも、資金不足の影響で廃止されてしまったそうです。

 

しかし、値上げや電話問い合わせの廃止などの影響でさらにイメージが悪くなり、登録者が増えない、という悪循環に陥ってしまっています。

 

建設キャリアアップシステムは今後の建設業にとって有益なものですし、技能者にとっても働きやすい環境を得ることができる制度です。

悪い制度ではないので、なんとか広まって赤字を回避してほしいものです。

 

まとめ

建設キャリアアップシステムについていろいろ分かったでしょうか。

まだまだ課題が多い制度なので、すぐに登録をしなくても原則化・義務化に合わせて登録の準備をしておいて、様子を見てみるのもいいと思います。

技能者が働きやすくなる素晴らしい制度だと思うので、周りの否定的な意見に惑わされず、メリットもしっかり認識しておいてくださいね!

 

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