最近よく耳にするようになったDX(デジタルトランスフォーメーション)。
DXに取り組むことで仕事がしやすくなったり作業効率が良くなるため、今抱えている課題を解決できる可能性が広がります。
建設業も人手不足や高齢化など、深刻な問題を抱えているため、DXを知って取り組んでいくことでより明るい未来を手にすることができるでしょう!
ここでDXのことや他社の事例などを見て、DXをより深く理解しましょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
IT技術によって、人々の生活をより良い方向へ変えていく概念のことです。
DXには「広義のDX」と「狭義のDX」があります。
広義のDX
社会的文脈で語られるもので、デジタル技術の浸透が社会全体により良い影響を与え、変革をもたらすことを示しています。
狭義のDX
広義のDXとは違い、ビジネスシーンに限定して使われるものです。
データとデジタル技術を活用して、顧客のニーズに答えたり従業員満足度を上げるために製品やサービス・ビジネスモデル・企業文化や風土などを変革することで、競合に差をつけることを示しています。
建設業にDXが必要な理由と現状
DX必要な理由
コロナウイルス感染拡大により、一気にオンラインツールやITサービスの需要が増えました。
それは建設業でも同様で、ITツールを利用して作業の効率アップを行っている会社が増えてきているのです。
そんな中でデジタル化を行わずにアナログな方法で仕事を進めていたら、従業員の不満に繋がって離職が加速したり、仕事の速さや価格で他社に負けて、競合との顧客争いに負けてしまいます。
また、建設業は高齢化や人手不足・長時間労働が深刻な業界です。
IT技術を有効活用すれば、人手を補ったり従業員1人当たりの仕事量を減らして長時間労働を改善することに繋がるでしょう。
建設業のように課題が多い業界は、いち早くDXを取り入れることをおすすめします!
建設業の現状
このグラフは、国内の産業別DX進行状況です。
一番DXの取り組みが進んでいるのは情報・通信サービスで、その次に建設・土木業というのが分かります。
情報・通信サービスのDXが進んでいるのは分かりますが、建設業も負けずにDXを取り入れていることが分かります。
どの理由として、建設業はデジタル化と相性が良く、施工管理や現場でのロボットの利用・オンライン会議ツールでの情報共有、図面のデジタル化など、IT技術を利用して改善できることがたくさんあることが挙げられます。
また、コロナウイルスによるデジタル化の進行により、建設業界内でのDXへの注目度が上がったと考えられます。
このように、他社は既にDXが進んでいるため、もたもたしていたら追いつけないほどの差を付けられてしまいます。
そうなる前に、今すぐにでも取り組み準備を始めましょう!
建設業で活用できるDXは?
建設業ではどんなDXの取り組みが行えて、どんな課題解決ができるのでしょうか。
これを知ることで、DXへの期待度がさらに高まることでしょう。
早速見ていきましょう。
AIを活用したデータ収集
AIは、膨大なデータを収集して学習し、より良い結果を導き出すための予測を行います。
また、単純作業を高速処理してくれるという特長もあります。
これにより、技術者の作業データやノウハウを収集・蓄積を行い、集まったビックデータを分析して技術の見える化を行って技術の継承をしやすくしてくれます。
さらに、現場での事故や遅延が発生しそうな場所を予測してくれるため、作業時の安全や品質を保つ手助けをしてくれます。
単純作業を高速処理してくれることで、今まで人の手で行っていたため時間がかかっていた作業をAIに任せて作業効率をアップさせることができます。
AI活用のメリットデメリット、その他活用事例などを下記の記事で詳しく紹介しているので、ぜひそちらもご覧ください。
ICT建機
ICTとは、情報通信技術のことで、情報通信技術を用いたトラクターやブルドーザーのことをICT建機といいます。
ICT建機を使うことで施工面の状況や現場の状況がデータとして残るため、何か問題が起きたとしても原因をすぐに発見することができ、直す時間も大幅に削減できるのです。
遠隔から運転したり自動運転も可能になり、作業を並行して行うことができるため省人化が実現できるのです。
人手不足が深刻な建設業にとってはかなりのメリットでしょう。
3DCAD
今まで平面に描いていた設計図を、コンピューター上で3次元に拡張したものをいいます。
社内のペーパーレス化による省スペース化を実現することに加え、現場と本社で簡単に図面のデータ共有ができるため、移動コストや認識の違いを無くすことができます。
また、顧客への視覚的提案ができるため信頼度が上がる、デジタル環境でプロトタイプを作成できる、体積や質量などの求めるのに時間がかかる幾何情報を簡単に得ることができるなど、メリットが沢山あります。
BIM/CIM(ビムシム)
計画・調査・設計段階から3Dモデルを導入し、その後の施工や維持管理にも3Dモデルを連携することで情報共有を容易にしたり効率化を図るためのワークフローのことです。
BIM/CIMを導入することで、図面を視覚的に理解しやすくなるため生産性が向上します。
また、技術者がどんな情報元に判断し、どのような結果になったのかをデータとしても越してくれるため、初心者が後から技術を確認することができてノウハウの継承にも役立ちます。
設計から維持管理にかかる各情報を一元管理してくれるので、業務の効率化・安全性の向上など、様々な恩恵が受けられます。
施工管理ツール
施工写真・図面・工程表・作業報告など施工に関する情報をデータ上で一括管理できるツールやアプリのことです。
施工管理ツールを使えば、今までバラバラに管理していたデータを一元管理できる上に、場所に関係なく管理・確認・共有ができます。
モバイル対応のものも出ているので、現場から事務所に帰る手間なくその場でデータをアップしたり報告を行うことができます。
作業効率もアップするため、残業時間削減の手助けにもなります。
オンライン会議ツール
今や利用が当たり前となった、オンライン上で会議やセミナーができるツールのことです。
これらを使うことで、現場と本社が移動することなく話し合いや相談を行うことができます。
ビデオ会議を繋げながらデータやファイルの画面共有ができるため、図面の共有をしながら話すことができます。
ビデオを繋げることで現場の様子が把握できるため、本社と現場で認識の違いや温度差が生まれることを防いでくれる役割もあります。
これで課題解決♪建設業におけるDXの取り組み
建設業では、どのようなDXの取り組みが行われているのでしょうか。
ここでは建設業の取り組み事例をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
木造建築の施工/施工管理の企業
従業員数25名のS社は、施工から施工管理を自社で完結することにより、丁寧でありながら費用を抑えて他者との差別化を行っています。
しかし、技術者の高齢化やノウハウ継承に時間がかかっていることが課題でした。
ベテランの人に任せきりになってしまっている現状で、ベテランの人がお休みしてしまうと現場が対応できないなど、作業が属人化してしまい1人にかかる負担も大きくなっていました。
ベテラン技術者への依存体制を改善するためにDXの取り組みを始めたそうです。
【取り組み内容】
- ・ベテランによる遠隔での現場作業判断・支援
- ・施工履歴の保存
- ・ウェアラブルデバイス(身体に身に付けるコンピュータのこと)を使って現場作業員の視点を
- 共有し、会話できるようにした
- ・図面のデジタル化。チェック項目の表示や指示を行い現場の作業員はタブレットで指示内容
- をタブレットからすぐに確認してチェック効果を図面上に残すようにした
- ・施工履歴の一部をクライアントに共有
【取り組み結果】
- ・複数現場での現場判断ができるようになった
- ・ベテランが行っていた確認を若手でも行うことができ、ノウハウ継承ややりがいに繋がって
- いる
- ・利益が増えた
- ・受注可能数の増加/安定した受注が実現できるようになった
鹿島建設株式会社
大手総合建設会社の鹿島建設では、ロボットに溶接の作業を行わせて作業効率をアップしています。
溶接は骨組みとなる柱や梁の接合に用いられる技術ですが、有資格者が少なく、入職者の減少と高齢化により、溶接技術を持つ人は減ってきています。
しかし、高層ビルの新築計画などにより溶接の需要は増えていくことが予想され、この問題を解決するためにDXに注目したそうです。
【取り組み内容】
溶接作業をロボットに任せ、自動化することに着目しました。
溶接作業は繰り返し作業が多いため、まずは適用可能な部分から自動化を取り入れ、だんだんその範囲を増やしていくことにしたようです。
センサーで溶接個所をなぞるだけで形状を把握し、溶剤の量やスピードを自動で調整して溶接を行っていきます。
これにより、今まで不可能だった上向き溶接が可能になったそうです。
【取り組み結果】
- ・連続して溶接が行えるようになったため、品質が向上した
- ・溶接作業の安全性の向上
- ・溶接作業の平準化と工程の短縮に繋がった
アルメタックス株式会社
アルミ建材・電材・土木製品の製造販売をしている会社で、意匠性や機能性に優れた商品を必要な時に必要な量だけ納めることを強みにしています。
少子高齢化による住宅需要のの減少や大手アルミ建材メーカーの台頭をきっかけに、他社との競争に勝つためには業務改革を行う必要があると考え、DXへの取り組みを始めました。
【取り組み内容】
- ・3DCADの導入
- ・PLMシステム(製品ライフサイクル管理)の導入
- ・設計情報やノウハウを見える化した
【取り組み結果】
- ・設計部門から製造部門までの情報の一気通貫化による業務効率化
- ・設計情報や製造ノウハウの一元管理と全社活用による属人化の解消
- ・ペーパーレス化による情報精度の向上
- ・設計ルールと作業手順の標準化による品質向上
桂建設株式会社
地域密着型の建設会社。
人員不足が課題としてある状況で、施工の効率化と工期短縮を実現する必要性を感じ、DXの取り組みをはじめました。
【取り組み内容】
- ・ICT建機の導入
【取り組み結果】
通常多くの作業員が必要な施工内容にもかかわらず、ICT建機を導入したことで建機内のモニタ上で高さの管理ができたため、丁張りをする必要がなくなり省人化が実現できたようです。
効率のいい施工ができるようになったため、工期の短縮も可能になったようです。
このように、DXの取り組みは建設業の未来をより明るくするのです。
今できるDXの取り組みを、今すぐ行動に移しましょう!
まとめ
今回は、建設業を支えてくれるDXについてお話ししました。
DXを取り入れることで、作業効率がアップしたり従業員の満足度を上げられるだけでなく、最終的には顧客にとっての差別化ポイントに繋がります。
今DXの取り組みを行っている企業は継続し、まだの企業は今から始めてくださいね♪
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