2025年、全国の小・中・高校生3000人に行った第一生命のアンケートで、「なりたい職業」について聞いたところ、小・中学生のトップ10に「建築士」がランクインしたそうです。
これは、マインクラフトという建築や冒険、サバイバルができるアドベンチャーゲームが流行し、そこで建物や構造物づくりにハマった子供たちが、建築に興味を持ったという背景があるようです。
せっかく子供たちが興味を持ってくれたのに、労働環境で悪いイメージを持たれたくないですよね。
そこで、今こそ「新3K」という新しいイメージを浸透させる必要があります。
ここで、新3Kについて知っていき、企業で何ができるのか見ていきましょう。
そもそも「新3K」とは何か

新3Kとは、「給与」「休暇」「希望」の頭文字をとったもので、建設業のイメージを刷新するための考え方です。
平成27年(2015年)に、国土交通省と日本経団連が提唱しました。
新3Kを提唱することで、建設業のイメージを良くし、業界の発展を推進するための国を挙げた取り組みです。
新3Kの内容は、以下のものになります。
| 給与が良い |
|
| 休暇がとれる |
|
| 希望が持てる |
|
従来の3Kとの違い
従来使われていた3Kは、「きつい」「汚い」「危険」の頭文字をとったもので、1980年代から使われ始めたと言われています。
3Kと言われていた職種は、建設業以外にも清掃員、介護、看護師があります。
これらは、肉体労働が多かったり、衛生上の配慮が必要だったりと、きついと言われていた職業になります。
しかし、このイメージを持たれたままだと、人手不足や離職の原因になるため、イメージを払しょくする新3Kへの取り組みが行われています。
新3Kが建設業で注目されている理由

なぜ、新3Kが注目されているのでしょうか。
それには、以下の理由があります。
- 深刻な人手不足
- 働き方改革による環境改善
- 建設業の需要増加
それぞれ見ていきましょう。
深刻な人手不足
建設業は深刻な人手不足にあります。
建設業の就業者は年々減少傾向にあり、高齢者の増加と若者不足も深刻です。
日建連が出している「高齢化の進行に関するグラフ」によると、2024年の55歳以上の就業者は36.7%、29歳以下の就業者は11.7%と、大きな差があります。
高齢者は体力面の問題で退職者が出やすい年齢なので、今後活躍してくれる若者を増やさなければいけません。
そこで、建設業のイメージを新3Kに変えて若者が入りやすくするため、新3Kへの取り組みが注目されているのです。
働き方改革による環境改善
長時間労働の上限規制など、2024年問題の解決に向けた取り組みが行われています。
このような国の動きをきっかけに、自社の労働環境を見直して改善する動きが活発になりました。
残業時間の短縮や週休二日制の導入、ITツールの導入による作業効率の向上など、各企業が働き方改革を積極的に進めています。
こういった流れを受けて、新3Kは建設業全体で勧めていくべきテーマとして注目されています。
建設業の需要増加
新築需要は伸び悩んでいますが、公共工事や補修・改装工事の需要は増加傾向にあります。
防災対策や老朽化したインフラの維持、住宅のリフォームなどの依頼が多いので、建設業の需要は増え続けると考えられます。
そうした時に、ネックになるのはやはり人手不足の部分です。
今後の需要も考えて、建設業界を盛り上げていくためには、新3Kによるイメージの刷新が必要不可欠なのです。
国土交通省が掲げる主な取り組み
この項目では、国土交通省が掲げる「新3Kを実現するための直轄工事の取り組み」を紹介します。
「給与」「休暇」「希望」の3つの各取り組みを見ていきましょう。
給与
「労務費見積り尊重宣言」を踏まえ、関東地方整備局の発注工事において、建設業の労務賃金改善に関する取り組みを推進するため、総合評価方式や工事成績評定においてインセンティブを付与するモデル工事を試行しています。
下請け企業からの労務費見積りを尊重する企業を、総合評価方式や工事成績評定において優位評価します。
令和2年には全国でモデル工事を発注し、約20件の実績を上げています。
休暇
直轄工事では、週休二日制を確保できるように適正な工期設定や経費補正を実施し、着実に広がってきています。
週休二日制の確保状況に応じて、労務費などの費用を見直すとともに、成績評定を加減点する「週休二日対象工事」を発注しました。
また、適正工期を設定するための具体的・定量的な指針を令和2,3年に策定・公表しています。
【主な内容】
- 施工実日数のほか、準備・後片付け期間、休日、天候等を考慮
- 余裕期間制度の原則活用
- 受発注者間の工事工程の共有
希望
建設現場の作業効率アップのため、i-Constructionの推進活動を行っています。
i-Constructionを進めていくためには、中小企業や地方公共団体等への裾野拡大が不可欠なので、「i-Construction大賞」で地方公共団体やベンチャー企業等の優れた取り組みを表彰しています。
その他、内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム等を活用し、民間から新技術の提案を受け、現場試行を行い、現場実装に向けた必要な基準類の整備等を推進しています。
具体例として、新技術の活用による監督検査の省力化があります。
従来は、鉄筋間隔の確認を手作業で行っていましたが、複数人必要でかなりの手間と時間がかかっていました。
ステレオカメラを導入したことで、システムによって簡単に鉄筋間隔の確認ができるようになり、省人化や作業効率アップにつながっています。
仮囲いデザインコンテスト
全国建設業協同組合連合会(全建協連)では、建設業の魅力発信のために「一緒に考えようKOJICHUプロジェクト」として、仮囲いデザインコンテストを開催しました。
施工中の仮囲いに、学生さんのデザインを実現しようとするプロジェクトです。
実際、最優秀賞に輝いた東洋美術学校の4年生チームが考えた「お弁当」というデザインが、東京駅前常磐橋プロジェクトA棟新築工事で披露されました。

このように、建設業の課題をなくし、イメージを良くするための国による取り組みが行われています。
今後も取り組みは増えていくと思うので、注目していきましょう♪
新3K以降の建設業の現状

新3Kが発足して以降、建設業の現状はどうなっているのでしょうか。
具体的には、以下のような動きが起きています。
〇女性比率上昇
具体的にどのような状態なのか説明します。
新卒者増加
2024年の建設業界への新卒就職者数は、過去10年で1.4倍まで増加しています。
理由としては、以下のものが挙げられます。
- 建設業の需要増加による応募求人の増加
- IT技術の導入による働き方の変化
- 働き方の多様性や福利厚生の増加

このように、新3Kを打ち出してから建設業の内情も少しずつ変わっていき、社内環境が改善していっていることで新卒者が魅力を感じるようになったようです。
これは、新3Kの実現に着実に近づいていると言えるでしょう。
女性比率上昇
建設業の女性就業者数は年々増加しており、2014年と2024年の数値を確認すると、10年間で12万人も増加しています。
そのうち、女性技能職の数は8万から12万と4万人も増加しています。
これは、新卒で建設技術者として就職する女性が増えていることが一つの要因です。
2013年の女性比率は16.2%、2023年の25.0%まで増加しており、新卒者の4人に1人が女性になっています。
現在の建設業における女性活躍の取り組みは次のようなものが挙げられます。
- 女性用設備の導入(更衣室/トイレ/休憩所)
- 作業服など備品の導入
- 平等な評価
- 休暇が取りやすい

しかし、全体で見た時に女性社員の比率が少ない点や、女性リーダーや管理職が少ない点など、まだまだ課題も多いのが現状です。
女性が働きやすい職場にすることは、新3Kの促進と建設業のイメージアップにもつながるので、今後も業界全体で進めていく必要があります。
新3Kの取り組みをアピールしている県も!
県を挙げて新3Kの取り組みを推進しているところもあります。
山梨県

山梨県は、技術者の高齢化や若者の人材不足が深刻であり、建設業に対するイメージを変えて、若手の就業者を増やしていく必要があります。
そのために、以下のような取り組みを行っています。
- 週休二日制モデル工事の取り組み
- 建設現場見学会
- 建設業企業合同説明会
- 技術者による出前講座
- ICT施工技術講習会の開催
- 施工時期の平準化(建設工事が特定の時期に集中しないように、年間を通して仕事量を分散させること)
このように、若者の就業者数増加や就労環境の改善など、新3Kにつながる取り組みを実施しています。
秋田県

秋田県でも新3Kの取り組みが行われており、週休二日制モデル工事や残業の削減、女性社員の増加により、「休暇」や「希望」の部分のイメージアップにつながっています。
また、秋田県内の建設業の初任給は、県内の他産業よりも高くなっており、年間賃金支給額も、年々増加しています。
このように、給与面や週休二日制、IoTの導入により、すべての人が働きやすい現場を作り上げています。
新3Kを進めて、建設業界を明るくしよう
新3Kは、建設業界を盛り上げる上で必要不可欠な取り組みです。
ずっと言われていることですが、建設業の人手不足は今でも一番の課題です。
この課題を解決する方法は一つではなく、いくつもの取り組みを掛け合わせていくことで解決するものだと思います。
すべての建設会社が同じ取り組みを行えば、必ず希望は見えてくると思うので、まずは職場環境から少しずつ改善していきましょう。
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